
書店に行くと、「重大ニュース」の本が平積みされていました。
もうそんな季節になったのですね。
今回はこの話題です。
「重大ニュース」とは?
いうまでもなく、今年1年の主なニュースをまとめた書籍です。
大人向けのものでは仕方がないので、ここでは「中学受験用」のものを手に入れましょう。
実は、これを出版している塾は少ないのです。
通常、参考書というものは、一度作成すると数年間(場合によっては10年以上)改訂せずに売り続けられます。作成に手間はかかりますが、長い期間売ることで利益が出るのです。
しかし、この「重大ニュース」本は違います。毎年新規に作成しなくてはならないのです。したがって、かつては出版していた塾も撤退していきました。現在残っているのはこれくらいです。
◆日能研「2026年度中学受験用 2025重大ニュース」
日能研は、毎日新聞社が編集協力して出版しています。どちらが主導権を握っているのかまではわかりません。
前半は「ニュース解説」として、20テーマについて、それぞれ2ページ~4ページで解説があります。後半は、「中学入試対策予想問題編」となっていて、巻末に用語集や年表のような付録がつくスタイルです。
今回の20テーマはこうなっています。
・石破首相退陣
・令和の米騒動
・トランプ関税
・戦後80年の節目を迎えて
・ますます進む少子化
・大地震にどう備える?
・大阪・関西万博が開催
・インバウンドが過去最多に
・放送開始から100年
・男女雇用機会均等法から40年
・気候変動がもたらす気象災害
・AIの進化と私たちの生活
・これからの交通インフラは?
・日本の工業の現状
・日本の歴史遺産とその保護
・日韓国交正常化60年
・G7サミットの発足から50年
・ウクライナ侵攻から4年目
・緊迫する中東情勢
・新ローマ教皇「レオ14世」が誕生
どのニュースを取り上げるのかは重要です。
ずいぶん昔ですが、1993年に日本発のプロサッカーリーグ「Jリーグ」が発足したときは、多くの塾・出版社の「重大ニュース」本で大々的に取り上げられ、予想問題にもなっていました。もちろん入試には出ませんでした。入試で取り上げられる基準としてはこの2でしょう。
・小学生が知っておくべき常識
・地理・歴史・公民と関連づけられる知識
どう考えても、サッカーの知識はどうでもよい知識です。
「重大ニュース」作成者に、「中学入試社会科として重要か」という観点があるかどうかということですね。
この日能研の重大ニュースには、残念ながら「高市首相誕生」の情報が入っていません。出版が10月31日ですので、さすがに10月21日のニュースを入れるのは間に合わなかったのでしょう。
◆SAPIX「サピックス重大ニュース〈2026年〉―中学入試用」
私はこれを買いました。
別にサピックスのものだから買ったのではないのですが、編集方針がしっくりくるのです。
冒頭には、「私立中学校の先生に聞きました。小学生に知っておいてほしいニュースTOP20」という特集があります。これは気になりますね。
番外1 自由民主党新総裁に高市早苗氏
番外2 坂口志文教授、北川進教授にノーベル賞
これは、おそらくアンケートに間に合わなかったのでしょう。
1位・・・戦後80年と被爆80年
2位・・・コメの価格高騰
3位・・・猛暑と気象災害
4位・・・トランプ大統領の関税措置
5位・・・参議院議員通常選挙
6位・・・ガザ地区でのイスラエルとハマスの戦闘
7位・・・ウクライナ情勢
8位・・・外国人観光客の増加とオーバーツーリズム
9位・・・地球温暖化とその対策
10位・・・大阪・関西万博が開幕
11位・・・南海トラフ地震に備えた防災対策
12位・・・AIに関する国際会議や法整備
13位・・・2024年の出生数が70万人われ、合計特殊出生率は1.15
14位・・・選択的夫婦別姓
15位・・・海洋プラスチックごみ問題
16位・・・アメリカがパリ協定などから離脱
17位・・・外国人労働者の増加
18位・・・阪神・淡路大震災から30年
19位・・・トランプ大統領の「多様性」を否定する政策
20位・・・韓国大統領に李在明氏、日韓国交正常化60周年
なるほど。どれも大切な問題です。
もっともこのアンケート結果がそのまま目次になっているわけではありません。
目次はこうなっています。
第1章 政治・経済の動き
・参議院議員通常選挙で与党が過半数割れ
・コメの価格が1年間で約2倍に高騰
・約115兆円の2025年度予算案が成立
・石破茂首相の退陣表明を受けて、自民党総裁選挙を実施
・通常国会で選択的夫婦別姓について審議
・外国人労働者数は約230万人
第2章 激動する国際社会
・トランプ大統領が輸入品に高い関税を課すと発表
・ロシアとウクライナとの戦争が継続
・イスラエル軍と「ハマス」の戦闘が継続
・「アメリカファースト」を掲げるトランプ大統領
・韓国大統領に李在明氏
・2024年後半から2025年前半にかけてG7の首脳は7人中5人が交代
第3章 災害への備えと環境問題
・地球温暖化防止のためのさまざまな取り組み
・南海トラフ地震の新しい被害想定が発表される
・国内外で大規模な山林火災が発生
・ミャンマー中部で大地震
第4章 社会の動き
・大阪・関西万博が開催
・訪日外客数4000万人を達成か
・AI利用のルール作りが進む
・ラジオ放送が始まってから100年
・2024年の出生数が70万人を割る
第5章 理科ニュース
・群馬県伊勢崎市で41.8℃を観測
・2025年も変則的な進路の台風が上陸
・台風15号により国内最大級の竜巻が発生
・2025年9月8日未明に皆既月食
・大西宇宙飛行士がISS船長に
・カムチャツカ半島付近での大地震で日本でも津波警報
こちらも11月1日出版ですので高市首相ニュースは間に合っていませんが、「高市新総裁誕生」はしっかり解説してありました。10月4日のニュースを頑張って入れたのでしょう。
このほかには、
◆四谷大塚「ニュース最前線 2025 」
があります。
去年までは栄光ゼミナールも作っていたのですが、今年からなくなりました。10年ほど前に、栄光ゼミナールはZ会に買収されています。おそらくは、自前で重大ニュースを作る体力がなくなったのか、それともこれを導入すればよいとZ会に判断されたのか。
◆エデュケーショナルネットワーク 「重大ニュース 社会&理科の時事問題対策 2026年度版」
エデュケーショナルネットワークというのは、Z会がやっている、塾・学校向け教材会社です。栄光ゼミナールはZ会の傘下ですので、たぶん塾生にはこれを買わせているのだと思います。
ちなみに、「エデュケーショナルネットワーク」版は、中学受験・高校受験用となっています。高校受験用をアピールしないと全国で売れないからです。
さらに、新聞社・出版社が作ったものがこちらです。
◆朝日新聞・ジュニアアエラ編集部「2026年入試用 中学受験時事ニュース完全版」
◆学研「2026年入試用重大ニュース 時事問題に強くなる本」
◆毎日新聞「Newsがわかる総集編 2026年版 (毎日ムック) 」
◆読売新聞「2026社会科+理科 入試に勝つ新聞記事」
書店で手にとって気に入ったものを1つだけ買えばよいのですが、私だったら、新聞社・出版社のものは買いません。
なぜなら、新聞社・出版社には中学受験の専門教師がいないからです。入試問題を大量に研究し、生徒を直接指導している人間が関わっていないものは価値がないと私は思っています。
中学受験用の「重大ニュース」とは、「今年の重大ニュース」を取り上げるのではなく、「中学入試に出そうなニュース」を取り上げないと意味はありませんから。どうしても、新聞社・出版社系のものはその観点が不足します。
上位校を目指すならSAPIX版(予想問題が難しい)、それ以外は日能研版でしょうか。大人が読むならSAPIX版を推します。
勉強法
簡単です。読むだけです。もし予想問題等があればそれも解いておきましょう。
実は、重大ニュースについては、そのままダイレクトに入試に出されることは多くはありません。むしろ、それを題材として総合的な範囲からの出題となるのが普通です。
とはいえ、「こんなの知らないよ!」ではまずいので、1冊は読んでおくべきでしょう。
「オーバーツーリズム」など、今や入試の定番のように出題されていますが、これも最初に出題されたときには「重大ニュース」として知識があるかどうかで点が分かれたと思います。
また、最近は家庭で新聞を読まなくなりました。ネットニュースだけでは、新聞の代替になるはずもありません。
むしろ大人こそ読んでおくべきなのかもしれません。

