
私の仕事は生徒を志望中学へ導くことです。
その仕事に35年以上携わってきました。
今や、教え子の子どもを教えることもあります。歳は取りたくないものです。
今回は、そんな私の愚痴ではなく、子どもたちの英語についてのお話です。
1.卒業生に聞く
どんなに熱心に指導した生徒でも、受験が終わればそれで縁が切れます。それでいいのです。私の仕事はそういうものだと思います。しかし、中学生になってからもたまに顔を出す子がいるのです。また、非常勤学生講師の採用・研修を担当していたときには、大学生になった教え子にもずいぶん遭遇しました。
中1になった彼らが今の時期に顔を出すと、最初の定期試験について聞くことにしています。
どの中学校がどんな定期試験を出題するのかは興味がありますし、中には私のためにわざわざ定期試験の問題を持ってきてくれる子もいます。中学校の先生が、「小学生対象の中学入試」という縛りから解放され、リミッターを外して作った問題は大変興味深いものがあります。
もちろん生徒たちの勉強の様子についても根掘り葉掘り聞きます。とくに気になるのが英語なのです。
中学受験では算数・国語・理科・社会の4教科を徹底的に鍛えられた子たちです。その貯金があるので、この3教科の最初の定期試験は問題なく乗り切れる子が大半です。しかし、英語は違います。本当なら中学に上がる準備として英語も小学生のうちからきちんと学ばせてあげたかったのですが、中学受験のためには切り捨てざるを得なかった教科です。それだけに、中学生になってから本格的に取り組んだ英語に、きちんとついていけるかどうか、そこがとても気になるのです。
そうすると、あることに気づきました。
小学生のうちから英語を学んでいたり、帰国生であったりする子の英語力が高いのはわかります。教え子にもそうした子は何人もいました。純ジャパなのに、小6で英検3級取得者など普通にいましたね。
しかし、その英語のアドバンテージが、中3になるころにはなくなっているのです。
中学受験が終わってから、必死になって英語に取り組んだ子たちが、2年以上がんばると、かなりのレベルに到達できるようなのですね。
あらためて思います。
勉強習慣の確立した子は強い。
2.英語のレベル
先日のニュースで、中高生の英語力が向上しているとの文部科学省の公表データが報道されていました。
「英語教育実施状況調査」によると、こうなっています。

なるほど。たしかに向上しているようですね。
ちなみに「CEFRA-1以上相当」と言うのは、実際に検定試験は受けていないけれど、それくらいの英語力がある、ということだそうです。
なんだか曖昧で「恣意的」に操作が可能な気もしますが、まあいいでしょう。
ところで、高校生ではこうなっています。

こちらも向上が見られます。
ところで、CEFRの指標と各種英語検定試験との比較は、文部科学省の資料によればこうなっています。

つまり、中学生の55%が英検3級以上(相当)、高校生の52%が英検準2級以上(相当)ということですね。
これは納得いく結果ではありますが、正直な感想としては、「それだけ?」というものです。そもそも中学校では全員がA1相当の英語力を身に着けるのではなかったのかな?
また、この調査は学校へのアンケート形式で集計していますので、「盛って」いる可能性は否定できません。
一般に、共通テストレベルでは英検2級、難関大学レベルだと英検準1級が必要と言われていますので、まだまだ不十分ですね。
3.必要な英語力
はっきり言いましょう。
「大学合格のための英語力」が必要です。
かつては、日本の英語教育は遅れている、中高大で学んでも話せるようにならない、などと批判されていたものでした。
しかし、その「役に立たない」はずの英語をきちんと学んだ者は、世界で活躍できていたことも事実です。
まして今の学校教育の英語は進化しています。
学校で学ぶ英語をベースに鍛えれば、十分留学にも対応できるはずなのです。
実際に中高一貫校に進学した子たちは、「英会話」教室などに通っている子はいません。多読、文法重視、ディベート、方法論は様々ですが、大学入試に通用する英語を取得するのにみな必死です。
その第一歩が、中1の今回の定期試験でした。
そこで点数が思わしくなかったのなら、中学3年間分の「学校検定教科書」を夏休み中に終了させましょう。
そうすれば9月からの英語の授業ではだいぶ余裕が出てくるはずです。