元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】海外帰国生の勉強の目安


今回は、海外在住の子が、日本に帰国して、日本の中学受験をすることを前提に、何をどれくら勉強すればよいのか、そのあたりの目安をまとめます。

これは海外帰国生以外にも、地方から首都圏に転居しての受験という場合にも該当します。

1.海外帰国生に求められる4科目のレベル

まずここを確認しましょう。

大前提として、「海外帰国生にも国内受験生と同等レベルの4科目の学力は求められる」ことを強調しておきます。

ほとんどの帰国生入試は、いわば「帰国生優遇入試」となっています。英語と日本語作文、あるいは英語と面接、簡単な算国のテストと面接、そういったように、試験科目数が少ないところがほとんどです。また受験日程も、東京・神奈川の入試解禁日である2月1日以前の1月、あるいは12月頃から入試が行われています。

帰国生にとってはこんなにありがたい話はない入試制度です。

そこで、「英語力で突破できるから、あとは算数と国語を少しやっておけば大丈夫」となりがちです。

しかし、断言できますがそれは大きく間違っています。

たしかに入試は突破できるかもしれませんが、入学した後が大惨事です。

帰国生獲得に注力している学校といえども、入学者に占める帰国生の割合はせいぜい1割程度です。多くても2割は超えないでしょう。

そうすると、8割・9割の生徒は、「4科目の一般入試を突破してきた国内受験生」ということになるのです。

当然、帰国生入試で進学してきた生徒たちにも、同等の学力が求められます。

 

志望校の「一般入試」の入試問題が解けるレベルを基本と考えましょう。

 

2.最低ラインの4科目の学力

そうはいっても、海外で4科目の受験勉強をするのは困難です。

そこで、「せめてこれくらいは」という最低ラインの4科目の学力の目安を示します。

最近は海外でも受験可能な模試もありますし、国内の知人に頼んで申し込みだけしてもらい、入試問題を海外で解いて得点を計算することも可能だと思います。

そうして受験すべき模試は、以下の3つです。

◆四谷大塚の模試

 中学受験の老舗の四谷大塚の実施する公開模擬試験を受けてみましょう。ここでの最低ラインは「偏差値40」です。

◆日能研の模試

 日能研も、首都圏をメインに、関西や地方にまで広がっている大規模塾です。教材体系・テスト体系を自前で作成し、授業提供できる塾としては、四谷大塚と並んで双璧です。生徒の学力層も同等ですので、こちらの模試の最低ラインも「偏差値40」です。

◆首都圏模試

 塾ではなく、「首都圏模試センター」というテスト専業の会社が実施している模試です。小規模塾が多く加盟していますが、大手では、市進学院や栄光ゼミナールが採用しています。この模試の特徴としては、四谷大塚や日能研の模試とくらべると、模試を受ける生徒の学力層が低いことがあげられます。四谷大塚や日能研で偏差値40くらいの生徒だと、首都圏模試では50以上は出せるでしょう。

 

これらの模試を受けると、模試受験者の分布に基づいた偏差値表が参考になります。各中学校の合格可能性が80%ラインの偏差値で学校を一覧にしたものですね。

 

受験する学年にもよりますが、例えば小5のはじめにこの模試を受けて、偏差値が40だったとします。そこから1年間で10あげて50を目指す、そうした目標設定ができてきます。

 

ここ段階では、「帰国生入試」を考慮せずに中学校を見てください。

仮に進学したとすると、どれくらいの学力の同級生に囲まれることになるのかを知っておく必要があるのです。

 

※SAPIXの模試はお勧めできません。理由は簡単です。難しすぎるからです。SAPIXの偏差値表の50のところには、サレジオ・東京農大一・暁星・学習院女子・中大横浜といった学校が並んでいます。いずれも日能研や四谷大塚では60近く、首都圏模試では70となっている学校です。

学力に自信があり最難関校を目指す受験生にはお勧めしたい模試ですが、帰国生には荷が重すぎると思います。

もちろん、海城・渋谷渋谷・聖光といった、帰国生入試最難関校を目指しているのなら、SAPIXの模試で、一般受験でも合格できるレベルを確かめるのは良いと思います。

 

3.親が過去問を解いてみる

 行かせたい学校の過去問を親が解いてみましょう。学校にもよりますが、合否ラインは7割とお考えください。子供が〇年後にそのラインに到達しそうかどうかを確かめてみます。

 

4.帰国生入試だけに絞るのは最後の手段

 どうしても上述したレベルにお子さんが達していない、達しそうもない場合には、最後の手段として帰国生入試のみにしぼった対策を立てるのもやむをえません。まずは合格しないことにはじまりませんので。

英語・面接・作文、あるいは基本的な国語の問題等、志望している学校の試験科目に特化して勉強します。

ただし、進学した後には相当苦労することは覚悟してください。

幸いにして帰国生入試は早めに終わりますので、そこから4月の中学入学までの2か月間は、必死で国語・理科・社会の勉強に取り組んで、一般受験生に何とか追いつく努力をする必要があります。