元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】全国統一小学生テスト

SNSを見ていると、どうやら最近「全国統一小学生テスト」があったようですね。

今回は少し辛口の記事となります。

全国統一小学生テストとは?

ご存じかと思いますが、「四谷大塚」が主催するテストです。

このテストの特徴は3つあります。

(1)規模

とにかく規模が大きいのが特徴で、今年で20年目、のべ433万人が受験したそうです。

1回につき15万人、1学年あたり、1回につき2万~3万人程度でしょうか。

20年目ということは、2007年からですね。

ちなみに四谷大塚が東進ハイスクールを運営する「ナガセ」に買収されたのは2006年です。つまりこのテストは、ナガセの肝いりで始まったテストです。

 

(2)ご褒美

成績優秀者の中でも4年生の上位30名はニューヨーク、ボストン、ワシントンD.C.を中心にアメリカ東海岸を巡る『アメリカIvyLeague視察団』研修にご招待

何とも太っ腹なご褒美ですね。4年生の6月大会の上位30名が、アメリカ旅行(Ivy League視察団)に無料でご招待となります。

その他にも、決勝大会上位者にはiPadが賞品だそうです。

さらに、上位成績者には四谷大塚の特待生資格が付与されます。

 

(3)無料

こんなに規模が大きく、豪華賞品まであるテストが何と無料です。

公開模試の実施費用はどれくらいかかるでしょうか。

私の感触だと、5000円でやっとトントンかな、というところです。

模試専業会社の「首都圏模試」は、1回の模試が約6000円で実施されていますので、このあたりの金額が妥当なのだと思います。

仮に6000円として、これを年2回で30万人が受験すると考えると、18億円!

 

利点

 もちろん利点は、無料で子どもの「全国の小学生」に比したレベルが測れるところにあります。首都圏のように塾も情報も豊富な地域でない場合には、とても助かるデータでしょう。

 また、会場で模試を受けるという体験もできますね。

 

問題点

 問題点は2つあります。

(1)中学受験のレベルは測れない

中学受験は全国的なものではありません。首都圏・関西圏、さらにいくつかの地域でのみ争われる、きわめてローカルなものなのです。

首都圏なら、一都三県の中学受験生の中での立ち位置が問題なのであって、全国での立ち位置を知ることには何もメリットがありません。

中受のための模試ならば、四谷大塚の通常の模試(有料)か、日能研、SAPIXの模試を受けなくてはなりません。また、そこまでのレベルに達していない受験生の場合は、首都圏模試を受けることになります。

 

(2)無料である

 前述したように、模試の費用は年間18億円です(あくまでも推測。もしかしてもっと安いかもしれませんし、もっと高いのかもしれません)

これだけの費用を一営利企業に過ぎない塾が費やす理由はどこにあるのでしょうか。

HPにはこうあります。

「独立自尊の社会・世界に貢献する人財を育成する」という教育目標を掲げる四谷大塚は、中学受験指導のパイオニアとして、住んでいる地域や経済的な事情に関係なく、子どもたちに学力向上の機会を広く提供するため、「全国統一小学生テスト」を年に2回実施し、すべての小学生・年長生を無料で招待しています。

このテストにより、日本全国に埋もれている優れた才能を次々と発掘し、その力を存分に伸ばしていくことで、将来、世界をリードする新しい日本を築いていく人財が次々と育ってくれることを願っています。

これを鵜呑みにするは、私は業界に長くいすぎるのです。

私が推察するこのテストの目的はこの3つです。

①優秀者の引き抜き

 このテストで成績上位者になる生徒は、どこかの塾の最優秀層です。こうした生徒をうまく取り込むことができれば、合格実績に直結します。

②生徒募集につなげる

例えば四谷大塚提携塾の臨海セミナーはこうなっています。

返却方法    (一般生)テストを受験された教室にて手渡し
     (会員)WEB成績表
       ※紙での成績表は出ません。WEBにて閲覧していただきます。

実にわかりやすいですね。

すでに会員の生徒はどうでもいいのです。

それより、外部一般生を何とかして勧誘したい。だからこその「手渡し返却」です。もちろん手渡されて終わりではありません。そこで、何等かの勧誘が行われるのは常識です。

もちろんこれは、全国に散らばる四谷大塚提携塾が集客ツールに使うことを見越したテストだから当然です。

それゆえの「全国」テストです。

しかも必ず「会場」、つまり全国の提携塾での受験となっています。

集客の匂いしかしないですね。

 

②個人情報を集める

 住所・連絡先・氏名・在籍小学校名・学年、さらにそれに加えて成績。塾にとってはまさに喉から手が出るほど欲しいプラチナデータが集積できます。

 

こうした個人情報を塾に提供することに抵抗が無いのなら、無料ですし受験するのもよいでしょう。

その後の執拗な勧誘などは撥ね退けるメンタルの強さがあれば問題はないのかもしれません。

 

私なら、同じ個人情報を提供するのなら、きちんと対価を支払って適切な模試だけを受験することをお勧めしたいです。

 

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