元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

親は子どもの究極の味方だが、それは子どもの言い分を全て信じるという意味ではない その2

親がわが子を信じるのは当たり前です。

しかし、時として子どもは親に嘘をつくことがあります。

 

「ちゃんと宿題終わったの?」

「う、うん」(実は終わっていない)

 

「ここにあったチョコレート、食べたの?」

「食べてないよ」(口の周りにチョコがついている。ギャグ漫画みたいですが、何人かの母親から実例として聞きました。ほほえましいですが)

 

思い当たることもあるのではないでしょうか?

塾においても、多くの事例があるのです。

 

誘拐された!

 

何度か紹介した事案ですが、あまりにも「ひどい」話でしたのでもう一度。

B太君は、その日塾を休みました。家からの事前連絡もありません。ただし、目撃情報はあったのです。

「B太なら、さっき塾に来る途中に見かけたよ」

どうやら、塾のある駅まではやってきたものの、そのまま逃亡したようでした。

こうした生徒はたまにいます。宿題をやってこなかった、小テストが受けたくない、なんとなく気分がのらない、そうした理由です。別に塾が嫌いな様子もなく、来れば楽しそうに授業に参加しているのですが、ふとさぼりたくなってしまったのでしょう。

しかし放置するわけにはいきません。

別に事件に巻き込まれるような地域ではありませんが、それでも職員室にいた教師と受付にいた職員が総出で近くの書店・コンビニ・公園など、子どもが時間をつぶしそうな場所をしらみつぶしに探します。

もちろん家庭にも電話を入れます。

もしかして家の近所に帰ってきているかもしれません。家族総出での捜索活動が行われます。

授業終了後は、全職員で捜査の網を広げます。もう勤務時刻はとうに過ぎていますが、B太君が見つかるまでは帰るわけにはいきません。

結局、B太君は、塾からも自宅からも遠く離れた駅で、駅員に保護されたのでした。

どうやら電車に乗ってあちこちさまよい、最終的に駅員が、夜遅くにホームにいた子どもを不審に思って保護したということでした。

もっともそのあとすぐご家庭から連絡があったのではなく、深夜近くの時刻になってご家庭に連絡をしたところ、「2時間前に保護されました」と聞いたことで判明したのです。

それならそうと早く連絡してくれ! と思いましたが、まあご家庭も動揺していたのでしょうから。

それでも何事も無くて良かったです。

どっと疲れて職員一同帰宅し、これでこの件は終了のはずでした。

しかし、翌日事態は動きます。

家に帰って親に責められたB太君は、親にこう言い訳したのです。

「塾の前で、知らないおじさんたちに車で誘拐された」

塾の前まで行ったとき、知らない数人の男たちが、B太君を車に連れ込んで誘拐したのです。そしてその後夜遅くになって駅で解放された。それがB太君の言い分でした。

ありえません。

通塾の時間帯は、大勢の生徒たちが塾にやってきます。子どもを送ってきた保護者もいます。そんな人たちの目の前で誘拐?

もちろん誰一人として目撃していません。

どこをどうひねればそうした発想に至るのかわかりませんが、子どもらしいといえば子供らしい幼稚な言い訳ですね。

しかし、B太君の親は子どもの言い分を100%信じたのです。

警察に通報し、現場検証が行われ、塾は管理責任を問われる事態となったのです。

あれだけ家族や塾に迷惑をかけておいて、さらに警察まで巻き込むとは。

もちろんすぐに狂言であることはバレましたが。

しかし最後までB太君の親から謝罪の言葉はありませんでしたね。

 

基本的に子供たちは「まじめ」で「素直」です。

しかし、まだまだ判断力や社会性、モラルは未発達です。

それを、何かあればその都度「機会指導」して育てていくのも親の仕事です。

それは子の言い分を全て信じる、ということとは次元の違う話です。