
もし塾から電話がかかってきてこう言われたらどうでしょう。
「A太君はカンニングをしています」
今回はカンニングについての話題です。
子どもはカンニングする
私は、生徒性善説には立っていません。
35年におよぶ経験がそうさせてはくれないのです。
子どもは、カンニングをしてしまうものである。
これは真実です。
ただし、全員ではありません。
(1)低学年のカンニング
小1~小4くらいまでのカンニングは可愛いものですね。
まるでカメのように首を伸ばして前の子の答案をのぞき込んでいる子などよく見かけます。
「自分の力で解かないと何の意味もないからな」
そう声掛けしたところで、全くやめません。
これが「悪いこと」であるという認識すらないのです。
そういえば、私が小学校1年の最初のテストを受けたとき、隣に座っていた女の子がほとんど私のほうに体の向きを変えて全て丸写ししていたことを覚えています。私の名前まで書き写していたのでした。
「それはカンニングっていって悪いことなんだよ」と教えてあげた可愛い思い出です。
低学年のカンニングは可愛いものですが、もちろん放置してはいけません。
きちんとそれが「悪い」ことであることを教えてあげるのも仕事ですね。
やがて自分で勉強して点をとる「快感」を知るようになると、次第にカンニングはしなくなります。
これが正常な成長です。
(2)高学年のカンニング
残念なことに、小5、小6になってまでカンニングを続ける子がいます。
これは明らかに「意図的」なカンニングです。
高得点をとることが目的です。
そんな子たちにも2種類います。
自分の力でも高得点が取れるのにもかかわらず、どうしても不安からきょろきょろしてしまう子。
そして、明らかに勉強していないので、カンニングをして点を取ろうとする子。
すでにカンニングせずにはいられない状態になっています。
こうした現場を見つけると、私はこう対処しました。
まず、いったん全員に鉛筆を置かせます。
「テストは自分の力で解かなければ何の意味もない。隣の子の答案が気になっても、絶対に見てはダメだ!」
テストを再開しますが、案の定、カンニングは続きます。
そこでその生徒の正面に仁王立ちして睨みます。
何度もカンニングしようとして顔をあげるたびに私と目が合うのです。
何度も何度も。
私が自分のカンニングに気づいていることが明らかなのに、止められないのです。
もう「重症」ですね。
親は信じない
誰だってわが子のことは信じたい。
だから、「カンニングしてるの? 塾から電話があったけど!」と子どもに尋ね、
「僕、絶対にしてないよ!」と子どもに言われれば、それを信じます。
すると、「わが子に濡れ衣を着せようとしている」と塾に矛先が向くのは当然です。
それがわかっているので、大半の塾はカンニングは放置せざるを得ないのです。
ある時、女子生徒の父親から激しい苦情をいただきました。
「うちのA子が、隣のB美がいつもカンニングしてくるので、落ち着いてテストが受けられないといっている! 今すぐB美を辞めさせろ!」
もっともな言い分ですね。まじめに努力しているのに、その成果を盗まれるのは誰だって嫌に決まっています。
しかし奇妙なことに、カンニングの常習犯はA子のほうなのです。むしろB美はいつもカンニングされている被害者なのでした。
いったいA子がどうした心の働きで親を動かそうとしたのかはわかりません。
対処
子どもを受け入れてあげてください。
ただし、子どもの言い分を全て真に受けるという意味ではありません。
嘘をついたりカンニングをしてしまう。弱い心の働きも含めて、すべてを受け入れてあげてください。
テストについても、得点だけをとりあげて責めることをせず、その内容をきちんと見てあげてください。
努力している、その過程を評価してあげてください。
結局のところ、自分で努力している子ほど、カンニングすることを嫌悪するものですから。