
受験を数か月後にひかえたこの時期になって、「僕、受験しない!」と言い出す子がいます。
今回はその理由と対処法を考察します。
「受験しない!」
子どもが「受験辞める!」「地元の中学に行く!」と言い出しました。
親としては、「どうして?」「せっかくここまできたのに!」と動揺しますね。
いったいどうして子供たちはこの後におよんでこんなことを言い出すのでしょう?
答は簡単です。
子どもだって「不安」なのです。
6年生になって、急にテストが増えてきました。それも、「〇〇中学合格可能性30%」などと判定されるテストです。
塾の教師も、急に厳しくなってきました。「こんな問題間違えてるようじゃ、どこにも受からないぞ!」「〇〇中学に行きたいのなら、これくらいはやれ!」と煽ってきます。(ちなみに私はこうした煽り方は嫌いですので絶対にやりません)
勉強も難しくなってきました。
親も、成績表や偏差値表を見てはため息をついています。
「どうして真剣にやらないの!」と怒られることも増えました。
子どもの心は萎縮します。
がんばってるつもりなのに、偏差値が下がってきたよ。
やる気が無いって怒るけど、僕なりに一所懸命やってるんだよ。
でも、たしかにこの成績じゃあ〇〇中学は受からないよ。
落ちたらお母さん泣くよなあ。
お父さんは激怒するに決まってる。
僕だって落ちるのは嫌だよ。
でも、どうせ落ちるに決まってる。
だったら、受験しないほうがましだよ。
そうしたら、もう勉強しなくていいんだよね。
タロウ君もハヤト君も受験しないっていうし。
一緒にサッカーやってたほうが楽しいよ。
↓
「ぼく、友達と一緒に公立中学に行きたいから受験しない」
大人でも、失敗することが確実なのにチャレンジはしません。
成功の可能性が5割を切るチャレンジはしたくないという心理は正常です。
たとえ失敗確率が1割であっても、「失敗するくらいなら最初からチャレンジしない」場合も多くあります。
まして12歳の子どもです。
受験、そしてその結果から逃げたくなるのは当然です。
子どもの言い訳
子どもって、言い訳の天才ですね。それも、すぐにわかるような幼稚な言い訳から、大人でも騙される巧妙な言い訳まで。
塾をさぼったA君のところに電話をしたところ、子どもが「行った」と言い張ったことがあります。
「A太君は今日お休みされていましたが・・・」
「えっ? 時間通りに家を出て、さっき帰ってきましたけど。ちょっとA太、塾行ったわよね?」
(背後で「僕行ったよ」と答える声)
「子どもは行ったと言っています」
「いや、1時間目の私の授業には確かにいませんでした。他の教師にも確認しましたし、出席簿にもそう記録されています」
(後ろで子どもが何やら言い訳をしている声)
「A太は、一番後ろの席に座っていたから、先生が見落としたんだと言っていますが」
わずか20名程度の教室です。
そんな訳、あるかい!
こういうことがあるから、授業開始後30分で連絡無く欠席している生徒には電話をかけるシステムにしました。
これなどまだ可愛いものですね。
なかには、事前に塾に欠席連絡が入る場合も。
「B子の母ですが、今日は塾は休みます」
可愛い声でしたので、一発でバレました。
中学受験から逃げ出すのにも、親が納得できる言い訳が必要です。
・サッカーを続けたいから、受験しないで地元の公立中学に行きたい
・友達と離れたくないから、受験しない
・高校受験で行きたい学校がある
・習っているバレエ(orサッカーorピアノetc)を辞めたくないから受験しない
いくらでも言い訳は出てきます。
もちろん、嘘というわけではありません。
しかし、受験をしたくない一心で編み出した「思い込み」です。
「子どもの意志尊重」という逃げ
子ども本人の意志を尊重する。
一見良いことのように思えますが、こと受験という過酷な試練に関しては、そうとは言えません。
受験する・しないという根本的な決断については、親が親の責任においてするべきなのです。
親がわが子の将来を考えて下した判断なら、それを貫く勇気が親にも必要です。
対処法
本当は、「予防」すべき案件でした。
中学受験をするかどうかの判断を子どもに委ねてはいけなかったのです。
例えば、お子さんの健康を考えて心を込めて夕飯を作ったとしましょう。
「僕、これ食べたくないから食べない。チョコレートを食べる」
そう言って夕飯に手をつけずにチョコを食べるのを許しますか?
「そうだね。食べたくないなら無理しなくていいんだよ。チョコを食べなさい」と?
受験という、子どもの未来に直結する判断については、子どもには選択肢を与えるべきではなかったのです。
それでも「受験したくない」と言う余地を与えてしまったら?
私のお勧めは「取り合わない」です。
しかしそれができない親子関係がすでにできてしまったのなら仕方がありません。
せめてお子さんの受験に対する、つまり不合格に対する不安を取り除くようにするしかないでしょう。
具体的には、「安全校」を充実させることしかありません。
合格がほぼ確実に見込め、楽しい中高生活が想像できる学校をきちんと用意してあげることで、お子さんの「恐怖」と「不安」を減らしてあげましょう。