先日、ある「中学受験専門家」という人が、「教科書ワークを繰り返しやれば受験に必要な学力はつく」と書かれているのを読んで、目が点になりました。
それをきっかけに考えたことがあるので今回の記事にします。
中学受験をする子供たちの分類
中学受験を考える子にも、様々な子がいる。この当たり前のことを私はつい失念していたようです。日ごろ教えている子たちが、最難関の中学を目指す子が中心だったのが原因です。
中学受験をする子にも、実は様々な学力の子・家庭環境の子がいるのですよね。
(1)学力最上位層
開成・麻布・桜蔭・女子学院・筑駒・渋々(女子)といった最難関校を狙う受験生たちです。親の意識も高く、親自身がこうした学校の出身である場合も多いですね。
子どもたちの学力も高く、高校受験生を凌ぐ学力を持っています。6年後には東大の駒場キャンパスで再会する子たちです。
(2)学力上位層
2番手グループというのは気の毒ですね。(1)の子たちと較べれば2番手集団となってしまいますが、十分に最上位層に近いグループです。
駒東・栄光・海城・渋々(男子)・豊島岡・洗足・鷗友・フェリスといった進学校に加えて、早慶の附属を狙う子が多い層です。
(3)学力中堅層
最も人数の多い層ですね。中央・法政・立教・明大・青学等の付属校や、広尾学園・都市大附属・桐朋・芝・頌栄・東洋英和・大妻・横浜共立といった学校あたりがターゲットでしょうか。
この(2)と(3)の境目は曖昧です。
(4)学力下位層
桐蔭・桐光・日大系・帝京・桜美林・サレジアン・江戸川女子・安田学園・大妻多摩・昭和女子大附・かえつ有明・跡見、このあたりを受験する層です。
入試問題も難しくはないですし、普通に頑張ればこのあたりは十分狙えると思うのです。
ここまでが、私の頭の中にある中学受験マップだったのです。
日能研・四谷大塚の偏差値でいえば、45以上でしょうか。
私の中では、日能研・四谷大塚の偏差値というのが「標準モデル」として認識されています。そこで40台というのは要努力レベル、少なくとも50以上を目指そう、というかんじですね。
偏差値40というと、上から84%レベルです。1000人いたら、上位840番ということになります。さすがにここのポジションで満足しているようでは困ります。
しかし、四谷大塚・日能研偏差値で45の学校は、首都圏模試偏差値では60に相当するのですね。
偏差値60といえば上位16%です。
ということは、首都圏模試を基準に考えると、私が「学力下位層」と思っていたレベルは「学力最上位層」とういうことになります。ちなみにサピックス偏差値で60となると、筑波大附属や慶應湘南藤沢レベルとなります。
つまり、上記の(4)の下に、さらにこうした層がいるのです。
(5)首都圏模試上位層
(6)首都圏模試中堅層
(7)首都圏模試下位層
大西学園・駿台学園・貞静学園・武蔵野中学・上野学園・修徳・自由の森学園・アレセイア湘南・成立学園・相洋・共栄学園・鶴見大附属・帝京・国士館・目白研心
首都圏模試で40前後の学校をさがすと、まだまだありますね。
こうした学校の多くは、なぜか情報公開に積極的でないような気がします。
・学年別生徒数
・受験結果・・・募集定員・出願者数・受験者数・合格者数・進学者数
・入試問題
これらがきちんと公表されている学校はほとんどありません。
それでもいくつかの学校の入試問題を見て見ると、決して「教科書ワーク」レベルではありませんでした。教科書ワークをいくらやりこなしても、おそらく半分くらいの得点しかみこめないのではないでしょうか。
やはり、中学受験を本気で目指すのなら、小学校の学習で支障があるようではお話にならないのです。
緊急避難的受験
しかし、実は中学入試にはもう一つの方向性があります。
それは、何としてでも地元の公立中学進学を回避するための、いわば緊急避難的受験とでもいうべき受験です。
◆地元の公立中学が荒れている
◆小学校でイジメに合っていた
◆公立中学で内申がとれそうもない
◆不登校
他にもありそうですが、本来なら中学受験をする段階にはないけれど、それでも地元の公立中学を回避しなくてはならない、そうした子もいるでしょう。
その場合は、「定員割れレベル」の学校の中から受験校を探すことになります。
しかし、実はそうしたレベルの学校の中にも、なかなか良い学校というものはあるのです。先生方が親身であったり、生徒同士が仲良かったり。大学実績を期待するレベルではないけれど、温かい雰囲気の中で6年間過ごすことができる、そうした学校です。
ただし、残念ながらそうした学校は減りました。だいたいが共学化・校名変更・進学校化に舵を切っているからです。
そうしたレベルの学校を受験するのなら、教科書ワークをやりこなして、少なくとも小学校の学習内容は完璧にしておく、そうした準備で何とかなるのかもしれません。
※注意
不登校については要注意です。実は公立中よりも私立中のほうが不登校に厳しい場合が多いからです。また、学習困難レベルの生徒の場合、公立中のほうが手厚く税金が投入されていたりもします。
より一層慎重な学校選びが求められます。