中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

小説入門

今回は、書棚を眺めていて紹介したい本を発掘したので、その話題です。

「高校生のための近現代文学ベーシック ちくま小説入門」というタイトルです。

第一部には、小説読解の基礎的な知識や読解方法が書かれています。正直いってこの部分はいらないかな。いちおう高校生向きの小説作法入門ということなのでしょう。ただし、6ページだけしかないのでよしとしましょう。

第二部に、短編が紹介されています。

第1章 出会いの物語

・ボッコちゃん(星新一)

・ふたり(角田光代)

・孤独(中島敦)

・忘れえぬ人々(国木田独歩)

第2章 秘められたもの

・子供の領分(吉行淳之介)

・満月(吉本ばなな)

・乞食王子(石川淳)

・黒猫(E・A・ポー)

第3章 向こう側の世界

・銀の匙(中勘助)

・気になった魚(竹西寛子)

・闇の絵巻(梶井基次郎)

・ひよこトラック(小川洋子)

第4章 語りの力

・箪笥(半村良)

・どよどよ(小池昌代)

・人情噺(織田作之助)

・蠅(横光利一)

第5章 私らしさを探して

・裸になって(林芙美子)

・四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて(村上春樹)

・濠端の住まい(志賀直哉)

・四月の魔女(レイ・ブラッドベリ)

 

なかなかのセンスだと思いませんか?

レイブラッドベリと志賀直哉が隣り合っています。

それにしても、村上春樹のタイトルは長いですね。最近のラノベみたいです。

語句解説が載っているのは、中高生にはありがたいのかもしれません。「下足番」「悪所通い」など知らないでしょうから。

また、作品ごとに読解問題が数問あって、最後に解答・読解ポイント・作品解説が出ています。星新一を読解? とも思いますが、小説を読まない高校生向きなのでしょう。これも不要といえば不要ですが、勉強にはなると思います。

 

私は「短編アンソロジー」として購入しましたが、中3~高1くらいでこの1冊をテキストとして読解の授業などやってみたいですね。

 

編者は二人、紅野 謙介と清水良典とありました。

紅野 謙介氏は近代文学研究者であり日大文理学部長で、清水良典氏は文芸評論家です。

悔しいことに、私のもっているものは旧版で、3年前に改訂版が出ています。これが1100円ならとてもお得だと思います。

 

シリーズでこういうものもでています。

既読の作品が多かったので私は買いませんでしたが、小説の入門としては悪くないと思います。

 

日常のほころび(ミケーネ)
ピアノ(芥川龍之介)
わかれ道(樋口一葉)
最近のある日(ガルシア・マルケス)
件(内田百閒)
怒りの大気に冷たい嬰児が立ちあがって(大江健三郎)
気がかりな痕跡:指(津島佑子)
普請中(森鴎外)
七話集(稲垣足穂)
秘密(谷崎潤一郎)
さよならクリストファー・ロビン(高橋源一郎)
弓浦市(川端康成)
湧きあがる想い(円地文子)
絞首刑(ジョージ・オーウェル)
それから(夏目漱石)
ボトルシップを燃やす(堀江敏幸)
歩行(尾崎翠)
飛翔する言葉(津村記久子)
新釈諸国噺 裸川(太宰治)
海と夕焼(三島由紀夫)
どんなご縁で(耕治人)
一言主の神(町田康)

 

こうしたアンソロジーの良いところは、未知の作品・作家に出会えることにあると思います。それで気に入ったらその作家の他の作品を読むのもよいですね。