中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

私立中高「同族経営」の実態|保護者が知らないメリットとデメリット

 

「同族経営」という言葉がありますね。創業一族が企業の役員に名を連ね、代々継承していくイメージです。

学校にも「同族経営」が多いことに気が付きましたので、少し調べてみたのです。

※特定の学校を持ち上げる意図も貶める意図もありません。「同族経営」が悪いというつもりもありません。あくまでも「私見」というより「感想」レベルの記事ですのでご容赦ください。

 

渋谷教育学園渋谷・幕張

ご存じの人気校、渋谷渋谷&渋谷幕張も思い切り同族経営です。

系図を簡単に抜粋でつくってみました(誤りがあるかもしれません)

現理事長の田村哲夫氏からみて整理します。


◆父:田村國雄

1902生

1937 目黒商業女学校校長

   目黒学園理事長

   渋谷教育学園理事長

1970 死去

 

◆長兄:田村邦彦

1927生

 目黒学園女子高等学校教諭

 田村学園理事長

 青葉学園理事長

 田村学園学園長

2020 死去

 

◆本人:田村哲夫・・・田村國雄の二男

1936生

1962 渋谷教育学園常任理事

1970 渋谷教育学園理事長

1972 渋谷女子高等学校校長

   幕張高等学校校長

   青葉学園理事長

2022 渋谷教育学園学園長

 

◆長男:田村聡明

1968生

 渋谷教育学園幕張高等学校副校長

 渋谷教育学園幕張高等学校校長

 学校法人青葉学園東京医療保健大学・大学院副理事長

 学校法人幕張インターナショナルスクール理事

 

◆甥:田村嘉浩・・・田村邦彦の長男

1961生

 田村学園常務理事

 多摩大学目黒高等学校校長

 田村学園理事長
 

◆長女:高際(旧姓田村)伊都子

 1966生

  東洋英和女学院中高教諭

 渋谷教育学園渋谷中高副校長

 渋谷教育学園渋谷中高校長

 

ここまでが、学校法人関係です。

渋谷教育学園といえば、てっきり田村哲夫氏が一代で築き上げた学校グループだと思っていたら、そうではなかったのですね。弱冠26歳でお父様がつくった渋谷教育学園の理事に就任しています。

現在は、渋谷幕張の校長を長男が、渋谷渋谷の校長を長女が、そして学園全体を哲夫氏がみている、とそういう構図なんだと思います。

さらに、甥の田村嘉浩氏が、多摩大学、多摩大学目黒中学・高等学校、多摩大学附属聖ヶ丘中学・高等学校、目黒・大森双葉・三宿さくらの3幼稚園を擁する田村学園の理事長を務めています。

 

その他、弟の田村英雄・その息子の誠章・嘉章氏がそれぞれ、ランドコンピュータの会長・取締役・社長を務めていますが、このランドコンピュータは母体が渋谷教育学園です。HPにはこうありました。

当社は、学校法人渋谷教育学園の傘下にあった日本コンピュータ学院が起源となっております。1971年1月に田村哲夫(学校法人渋谷教育学園元理事長、学校法人青葉学園元理事長)、田村邦彦(学校法人田村学園元理事長)、田村秀雄(現 名誉会長)が発起人となり、日本コンピュータ学院から分離独立する形で、株式会社日本コンピュータ学院研究所を設立し、同年、6月に社名を現在の株式会社ランドコンピュータ(英文表記:R&D COMPUTER CO.,LTD.)に改名しました。

 

学校法人というのは同族経営が多いのですが、まさに華麗なる一族という感じです。

 

※渋谷教育学園渋谷・幕張についてはこちらにも詳しく書いています。

peter-lws.net

 

西大和学園

 こちらも同族経営ですが、渋谷教育学園と較べるとだいぶシンプル?です。

 

◆田野瀬良太郎
1943 生
五條市議会議員
奈良県議会議員
衆議院議員
財務副大臣

1986 学校法人西大和学園設立
1993 衆議院議員
1998 自治政務次官
2004 財務副大臣
2010 自民党幹事長
2014 大和大学学長

 

◆田野瀬太樹

1971 生

2008 学校法人西大和学園 理事長

 

◆田野瀬太道

1974 生

2012 衆議院議員

2020 文部科学副大臣

 

◆田野瀬夏子

西大和学園カリフォルニア校 理事

 

西大和学園のグループはこうなっています。

・西大和学園中学校・高等学校

・西大和学園カリフォルニア校(NAC)/西大和学園海外教育センター

・大和大学白鳳短期大学部

・なかよしこども園

 

創業者の田野瀬遼太郎氏と長男の太樹氏が国内の学校法人を、長女の夏子氏がカリフォルニアの学校法人を仕切っている、というのが私の理解です。

そして、二男の太道氏が父親の地盤を引き継いで政治家になった、と。

 

昭和女子大

◆人見圓吉

1883 生

1920 日本女子高等学院(後の昭和女子大学)創立

 

◆人見楠郎

1916 生

1974 第二代理事長

 

◆人見楷子

2000 第三代理事長

 

現理事長の山崎日出男氏は、官僚畑を歩いてこられた方で、人見一族ということではなさそうです。また、現総長は坂東眞理子氏で、人見楷子氏は名誉理事長となっていました。

どうやら、この学園も、シンプルに3代にわたって継承したが、今は違う、ということなのでしょうか。

この学園の「人見記念講堂」にクラシックのコンサートを聴きに行ったことを思い出しました。

 

その他

 調べていくと、いくらでも出てきます。きりがないので、ざっくりと紹介だけしておきます。

 

◆頌栄女子学院

 こちらは、1884年に岡見清致が創立した学校です。ひ孫の岡見 清明氏が現在の校長・理事長となっています。

 

◆帝京大学

1931に前身の学校を冲永荘兵衛が創立したことに始まります。

・帝京大学理事長 沖永佳史

・帝京大学中学校・高等学校 理事長補佐 沖永寛子(帝京大学常務理事)

・帝京八王子中学・高等学校 理事長 沖永寛子

・帝京平成大学 学長 沖永寛子

・帝京科学大学 理事長・学長 冲永 莊⼋

・帝京科学大学 副学長 冲永 隆⼦

・帝京科学大学 評議員 冲永 佳世⼦

・帝京中学校・高等学校(帝京学院) 副理事長 冲永 聡子

 

まだまだ沖永一族がいそうですが、調べきれませんでした。

 

同族経営の是非

 

これについては正直なところ何ともいえませんね。

 

営利目的の私企業であるのなら、同族経営はマイナスである場合が多いというのが世間的な評価でしょう。大塚家具やロッテのお家騒動などその典型例でしょうか。

まさか創業者の子孫が、優秀な経営遺伝子を持っているなどあり得ませんから。

老舗の割烹が、幼いころより修行させていた息子に跡を継がせるのならわかります。

和菓子屋の親父が、息子に無理やり跡を継がせるなどと言う話もあるでしょう(昭和か?)

しかし、それなりの規模の企業ともなると、経営者一族による私物化は許されません。社会に貢献する役割が生じますので。何より社員とその家族を守る義務も生じます。さらに株主の利益を守る義務ですね。

それでもなお私企業において子どもに跡を継がせたり一族で役員を占める例が多いのは、単に株の所有割合に基づくものなのでしょう。株主が一族で占められているのであれば、株主の利益を守るというのは普通です。

日本の上場企業の約半数が同族経営だという話も聞きました。それもまた日本的資本主義のありようなのかもしれません。

 

話を戻しますが、どうして学校法人に同族経営がこんなに多いのかは不明です。

学校法人はその公益性から法人税等が免除されている組織で文科省の管轄下にあります。最も「同族経営」と遠い位置にありそうなものですが、もしかして利潤を追求しないという性格が遠因かもしれません。

本来学校というものは、教育理念が優先して創立されるものだと思います。教育に対する熱い情熱があってこそはじめて作られるのですね。創業者の子弟ともなれば、そうした情熱に触れる時間が最も長いでしょうから、それが同族経営につながることもあるでしょう。

 

メリットとしては、創業理念が継承しやすいことがあげられるでしょう。昨今、学校法人の経営に、いわゆる「企業家」が携わる例も増えています。それが必ずしも悪いとばかりはいえませんが、教職員・生徒にしてみれば不安材料です。経営が安定していることはメリットといえるかもしれません。

デメリットとしては、経営の風通しや教職員のモチベーションがあげられるかもしれません。また、第三者のチェックが働きにくいことも考えられます。しかし、このデメリットに関していえば、まさに千差万別、学校によるとしかいえないでしょうね。

 

学校選びに際しては、設備や制服など表面的なことに目を奪われがちですが、学校法人の運営体制についても目を向けることをお勧めします。

 

 

ちなみに、同じ教育関係でも、塾・予備校は営利企業ですので、話は別ですね。

河合塾など、現6代目理事長まで、ずらりと河合一族ですし、日能研の二つの法人の社長は創業者の息子です。

あ、日能研は株式会社ですが、河合塾は学校法人でした。ドルトン東京学園の理事長は、河合塾の理事長が兼任しています。