中学受験のプロ peterの日記

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【中学受験・高校受験】物語文読解のセオリー

今回は、中学受験・高校受験に共通する話題です。

入試物語文読解のセオリーについてまとめてみます。

セオリーその1・・・「そこに書かれてある内容だけから読解する」

 

「セオリー」と大げさに言うほどのことではありませんでしたね。

入試問題は、長い物語文のほんの一部を抜粋して使用します。

そのために、書いてある部分だけからは登場人物や背景についてわかりにくいのです。

 

そのため、「思い込み」「あてずっぽう」で解釈するという「失敗」をしてしまうのですね。

 

生徒によく質問します。

私:主人公は誰かな?

生徒:タロウ

私:タロウはどういう人物だ?

生徒:どういうって?

私:年齢は?

私:多分小学生。6年生かな。

私:どうしてそう思った?

生徒:・・・・・・。

私:どこかにそう判断できる描写があったかな?

生徒:・・・・・・。

 

こんな調子ですね。

読んだ印象で、何となく「小学6年生。僕と同じくらいだよ」と思っただけで、その判断の根拠を示すことができないのです。

これは「当て推量」にしかすぎません。

しかし、丁寧に見ていくと、そう判断できるヒントがあるかもしれません。

「タロウたちは、学校生活最後の運動会に向けてリレーの練習を始めた。」

もしこう書かれていれば、「あ、小6か中3か高3のいずれかだな」と判断できます。さらに、「同級生のタケシのお兄さんが今年高校に進学した」とあれば、小6か中3だとわかりますね。

「卒業式が終われば、みなバラバラになってしまう。もうこいつらと遊べないのか。そう思うと・・・」などという表現でもあれば、中3の疑い濃厚です。大半の小学生は、そのまま地元の公立中学に進学しますので、全員がバラバラになるということは考えにくい。高校に進学するのなら、バラバラになるという表現はわかります。

 

こうして、文章に書かれてある内容だけから物語世界を把握するのがセオリーなのです。

 

※注意・・・読んだことのある文章の場合

 すでに既読の作品から出題される場合があります。記憶が確かであるのなら、それは「ラッキー」です。 物語を構築する世界も登場人物やその背景もすでに知っていますので。ただし、「昔読んだことがあるよなあ。主人公誰だっけ?」レベルの記憶なら要注意ですね。頭の中で記憶がすり替わっている可能性が高いです。曖昧な記憶に頼ることは危険です。

 

セオリーその2 登場人物を整理する

 

これも基本中の基本です。

物語は「芝居」です。

みなさん、シェイクスピアの書いた作品は、その全て(詩を除いて)が「戯曲」であることはご存じですよね。

「オセロ」も「ロミオとジュリエット」も「マクベス」も「ハムレット」も、その全てが劇の脚本として書かれました。

たしかに、過去に読んだシェイクスピア作品を思い出すと、普通の小説を読んだかのように勘違いしていましたが、戯曲でしたね。

「物語は芝居である」

こう理解してしまえば、やることは簡単です。キャストのリストを作ることです。

仮に全役者が10名のお芝居だったとしましょう。しかし、今見ている(読んでいる)場面にはその全員が登場するわけではありません。舞台上には3人の役者が立っています。男が2名に女が1名。どうやら男2名は兄弟で、女1名は兄の同級生のようですね。年齢は、10代半ば、高校生くらいでしょうか。口調の激しさや動作等からそれぞれの人物の性格や状況が見えてきます。

 

セオリーその3 舞台の背景を理解する

 お芝居が演じられているセットに注目しましょう。そこはどうやら学校の教室のようですね。黒板があり机と椅子が見えています。先生の姿が見えないところから、放課後のようです。窓から夕陽が見えています。登場人物の服装からすると、暖かい季節のようです。あ、会話からゴールデンウィークにどこに行くのかという話題が出てきました。4月の終わりごろのようですね。 この学校、なんだか古い教室のようです。田舎の学校なのか、それとも昭和あたりの時代なのか。会話からは現代のお話のようですね。都会の学校というより田舎の学校が舞台だとわかってきました。

 

こうして、登場人物の会話や情景描写(舞台のセット)から、いったい物語がどこを舞台としているのかを探っていきます。

・場所

・時代

・季節

・時間

これらを把握することで、より物語が理解しやすくなるのです。

 

セオリーその3・・・場面転換が重要

 

お芝居なら、舞台が暗転してセットが変わります。当然時間も経過します。

場所が変われば、物語の内容も変化します。別の場所で別の登場人物が話し合っているのです。

時間が経過すれば、物語は動いています。時間が経過すれば、登場人物たちの行動や心情も変化します。

 

※わかりやすい場面転換とは限らない

 てっきり放課後の場面だと思って読み進めていたら、場面は知らないうちに変わっていて、実は帰宅後の公園での会話であった、そんなことはよくありますね。

ぼんやり読んでいると、こうした「見えにくい」場面転換に気づかないことがあります。

場合によっては、過去を振り返っている場面であったりもするのです。

それに気が付かないと読解は崩壊します。

場面転換は最重要な読解ポイントです。

 

セオリーその4・・・心情の変化に着目

 

ほとんどの入試に扱われる物語は、主人公の心情変化がテーマです。何かのきっかけがあって、主人公の気持ちが変化していく、そこに注目した問題が大半を占めています。

登場人物の気持ちの変化と、それをもたらしたきっかけとなる出来事にとくに注意しましょう。

 

セオリーその5・・・感情移入しない

読書なら感情移入は当然です。そうでないと面白くないですから。しかし、国語の入試問題の読解において、感情移入はご法度です。それはミスリードへとつながるからです。

あくまでも第三者の立場から客観視してください。あなたはお芝居の舞台を見ている観客にすぎないのです。その視点から読解していきましょう。

 

過去にも同様の記事を書きました。ぜひお読みください。

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