
「反抗期」
よく聞く言葉ですね。
「うちの子は今反抗期真っ盛りで大変!」
「もう親のいう子となんか聞きやしない!」
さて、みなさんのお子さんはどうでしょう?
今回の記事では、中学受験と反抗期の関係について、また乗り切り方についてまとめて見たいと思います。
※私は児童心理学の専門家ではありません。ただ、中学受験の小学生を大勢教えてきた経験があるだけです。今回の記事やアドバイスは、あくまでも私の狭い体験の範囲にしかすぎないことをお断りしておきます。
「反抗期とは?」
親や周囲の大人、あるいはルールや体制からの指示に対して、意味もなく無条件で抵抗したり拒否する態度を示す時期のことですね。
この「反抗期」には、幼児期の第一次反抗期と思春期の第二次反抗期の2回あるそうです。第一次反抗期はいわゆる「イヤイヤ期」ですね。さらに最近では、「中間反抗期」まであるそうです。中間反抗期が小学校低学年から中学年の時期、第二次反抗期が小学校高学年から中学生・高校生くらいの時期だそうなのです。
「それじゃずっと反抗期じゃないかい!」と思わず突っ込みたくなります。
名称や定義はともかくとして、この記事では、「反抗期」は、小学生高学年で親のいうことに「反抗」ばかりするようになる時期と考えることにします。つまり、中学受験の最も大切な時期の「反抗期」について考える記事です。(中高生の反抗期もそれはそれでいろいろ大変なのですが、まずは目前の中学受験を突破することを考えたいですね)
反抗期の原因
これも専門家の方によると、
◆自我の発達
◆ホルモンバランスの変化
◆脳の発達
◆親との距離感の模索
とありました。
なんでも、子どもの自我の発達や精神の成長にとって大切な期時なのだそうです。
したがって、対応としては、
・子どもの意見を尊重し、親の考えを押し付けない
・子どもの声をよく聴く
・感情的にならず冷静に対応する
・適度な距離をとって見守る
そんなことが大事なんだとありました。
「誰もが経験する自然で大切な成長過程だから心配しないで」と書いてあるものも多いのです。
しかし、そう聞いてどう思われますか?
「それはそうなんだろうけど、現実的ではない!」
そう思われますよね。
なんだろうな。こうした「専門家」の方のアドバイスって、何か他人行儀というか当事者意識に欠けるというか。ピンとこない気がします。
しかも多くの場合、「勉強を無理強いすることは逆効果」なんて書いてあったりもするのです。思わず「おい!」と声が出てしまいます。
「誰もが経験する大切な過程」なんて言われても、実際には反抗期などなく順調に受験生活を送っている子もたくさんいますので。
中学受験という難題に向けて努力中の親子にとって、そんな「ぬるい」ことを言っている余裕がない、というのが本音だと思います。
中学受験と反抗期の関係
反抗期のタイミングは様々です。だいたい中学生あたりのようですが、中学受験期に重なることが多いのです。反抗期のタイミングとしては早いほうですね。
その原因は簡単です。
受験勉強・塾通い・成績、そうしたプレッシャーがかかる中、親からの干渉が多くなることで親子の衝突が起きやすいのですね。
いわば「外的要因」による反抗期の惹起というかんじでしょうか。
さて、この「反抗期」が中学受験にマイナスであることは言うまでもありません。
「勉強したくない」
「塾に行きたくない」
「受験したくない」
この三大「ない」を口にする子が増えるのです。
あげくのはてには、「親に言われたから嫌な受験勉強をさせられている」などといった、本末転倒の被害者意識まで登場します。
何とかしようと思って、口うるさく注意をし続けることで、さらに親子関係が悪化しますし、親だって疲弊します。しかも効果がみこめないのです。
「いっそ中学受験をやめたら」
こうした後ろ向きの考えまで頭に浮かんでしまう方もいるでしょう。
しかし残念ながら、受験をあきらめたからといって勉強をしなくていい理由にもなりませんし、問題を先送りしただけなのですね。
反抗期が無い?
周囲の大人たちにリサーチしてみたのです。
「反抗期ってどうだった?」
するとこんな声が集まりました。
「反抗期? そんなものなかった。親に確認したから間違いない。小さい頃から本をたくさん読んで『神童』だった(自分で言っちゃった)。だから、周囲の大人が自分に何を期待しているのかはわかっていたし、そのようにふるまうことも上手だったから」
「自分には無かった。親とは良い友達のような関係で仲が良かった。でも自分の姉は思い切り反抗していたな。もともとわがままで自己中心的な姉だったから、自分がとる態度で親が傷つくことなんかお構いなしだった」
「自分が中学生のころ家業が傾いて大変だった。反抗期なんて贅沢なことをやっている場合じゃなかった」
「同級生たちは親に反発している様子だったけど、自分はそんなことなかった。理由はわからないけど、反抗する理由が無かったからじゃないかな」
「小学生からずっとサッカーをやっていたから、反抗する暇なんかなかった」
「バレエの先生がものすごく厳しくて、それに比べれば親は仏レベルに優しく思えた。反抗なんてするわけない」
集まった声のほとんどが、反抗期が無かった、というものでした。
単に忘れているだけの可能性もありますが、私にとっても深く頷ける結果だったのです。
もしかして、「反抗期」にも、「真の反抗期」と「作られた反抗期」の2つがあるのかもしれません。親や環境や本人の努力では何ともならない「真の反抗期」以外にも、実は「反抗期的」なだけで反抗期とはいえない現象もあるのでは?
例えば、生徒の親からとてもよく依頼されることがあるのです。
「親が言っても言うことを聞かないので、先生から言ってくれませんか?」
たしかに教師の私が話をすると素直に聞いてくれる生徒ばかりです。私の指示やアドバイスに意味もなく歯向かったり反抗する生徒には出会ったことは皆無です。
それなのに親の指示には歯向かうのですね。これって、子どもは相手を見て態度を変えているということに他なりません。それははたして「真の反抗期」なのでしょうか?
もしかして周囲が「反抗期」というレッテルを貼っているだけでは?
反抗期が無い条件
私なりに考察してみました。ホルモンバランスや脳の発達に由来する「反抗期」は、本人にはどうにもならないのかもしれません。ここで考えるのは、「どうにかできる」反抗期です。
◆経済的困窮
過去の話ではないですね。昨今の経済状況を考えると、十分考えられます。
学校に通う・勉強をする、ただそれだけのことにもお金はかかります。まして受験をしたり私立中高に通うためには多額の費用がかかります。
もしそれを支える十分な経済力が家になかったなら。たとえあったとしても、余裕が無かったとしたら。
子どもとしても、親に「反抗」なんかしている場合ではありませんね。中高生がバイトで学費を稼ぐわけにもいきませんが、少なくとも「勉強をさせてもらえる」環境には感謝こそすれ、「反抗」するなんてとんでもない話です。
もし「家にお金が無いから〇〇が買ってもらえない/〇〇に遊びに行けない」そんなことを言い出して暴れるようなら、反抗期以前の問題です。完全に子育てに失敗しています。人としての正しいあり方から叩き直すべきですね。
そう考えると、「反抗」するのにも経済的な余裕が必要なのでしょう。
◆家庭環境
たとえば、離婚(死別)によりシングルマザーで子育てをしている方もいます。子どもが中学受験をしたいと言いだしました。親としても子の夢はかなえてあげたいですよね。そうして必死で仕事をしている母親に子どもは「反抗」しますか?
もしそういう子がいたら、甚だしい心得違いを説教するべきですね。母親の気持ちを考えれば、反抗などあり得ないと思うのです。
◆思いやり
上の兄弟が親に反抗しているのを見て、自分が反抗する気がなくなる。これも何人もから聞きました。親が悩んでいる・困っている姿を間近に見ているからこそ、親への思いやりが芽生えるのです。あるいは、上の兄弟を反面教師とするのでしょうね。「反抗期って格好悪い」ということでしょう。
◆賢い
幼少期より読書をたくさんしています。読書体験というのは、実生活の疑似体験と同じ意味を持ちます。子どもにしては豊富すぎる「疑似体験」を通じて、親の悩みや心配事にも気が付けるようになるのです。
こうした子に「反抗期」など訪れません。
生徒たちを見ていても、本当に賢い子たちは、親に素直に従っている子ばかりでした。親に反抗する子は、やはりそれなりの子だったように思います。
中学受験期の反抗期への対処法
◆親を尊敬する
これが一番理想的だと思います。
子どもが親をリスペクトしているのです。そういう親の言うことに、歯向かう子どもはいないでしょう。
尊敬する内容は、もちろん学習面が一番わかりやすいですね。子どもが中学受験をすると決めたときから数年間、親が本気で勉強すれば、中学入試問題くらい簡単に解けるようになります。そういう親なら子どもだって従います。
もちろん、勉強以外でも良いと思うのです。ある生徒の母親は、常日頃父親のことをほめてばかりだったそうです。これはうわべだけでなく、本当に母親は夫のことを尊敬していたのですね。それを見聞きして育った子は、やはり父親を尊敬するようになりました。母親の指示にはたまに逆らったとしても、父親には素直に従うのだとか。
◆親が子どもに何も隠さない
あらゆることを、子どもに隠さない家庭もありました。そのことで、子どもの精神的成長を促したのです。そのご家庭では、親から一方的に子どもに何かを押し付けるということがありません。必ず、指示の理由とともに子どもに話をし、納得させるようにしていました。
「ま、親が私に〇〇中に行ってほしいって希望もわかるからさ。それに〇〇中には私のやりたい部活もあるし、その先の進路にもつながっているから。だから、親の言うとおりに勉強するのもありかなって。だってそれって結局私のためになるんだもの」
こんなことを言えるまでに子どもが成長すれば、反抗期も訪れません。
◆夫婦で役割分担
母親が反抗を受け止めるのなら、父親は甘えを許さない毅然とした態度。あるいはその逆でもいいですね。
最近の受験生に見られる傾向として、夫婦が二人そろって受験に前のめりになり過ぎるのです。夫婦で協力するのは大事ですが、子どもに接するときの役割分担も大切です。
「甘えは許さない!」という厳しさも大事なのです。ただし両親そろってそれだと子どもは息が詰まり過ぎます。どちらかが安全弁となっていてこそ、親の厳しさも効果を発揮するというものでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 中学受験の時期に反抗期で「勉強しない」と言われたらどうすればいい?
A.対応は2つだけです。それでも強引に机に向かわせるのか、あるいは放っておくのか。前者は有効ですが、親にも相当なエネルギーが必要です。後者は楽ですが、確実に成績は下がります。
勉強をする・しないについては、子どもに決定権はありません。子どもは勉強をしなければならない年代だからです。
ただし、勉強の種類は調整できるでしょう。中学受験勉強をしないという選択肢を選んだとしても、他の勉強をやらせられるだけです。そのことを子どもにきちんと伝えて、選ばせることはできます。
「勉強する・しない」の二択ではなく、「受験勉強をする or 他の勉強をする」の2択であることを理解させましょう。
Q2. 小学生の反抗期で塾に行きたがらないときの対処法は?
A. 塾を辞める。これが答です。
塾は、親が子どもに頼んで「通っていただく」ものではありません。親が子どもの未来のために、無理をして「通わせてあげている」ものなのですから。
もし「塾に行きたくない」というのなら、無理に行かせる必要はどこにもありません。すぐに辞めればいいのです。
ただし、その場合でも、「塾に行かなければ勉強しなくていい」はずもありません。「塾にいかなくても勉強は継続」しなくてはならないのです。しかも塾に頼れない分、勉強はより大変になることは間違いありません。
そこまで理解していて、それでもなお「塾に行かない」という選択肢をとる子はどれだけいるのでしょうか。もし「塾に行かなくても〇〇中には受かってみせる!」という意志が強固なら、見込みがあるお子さんです。
※塾に行かずに合格するためのやり方をまとめた本を書いています。
Q3. 反抗期の子どもに親ができる声かけは?
A. とくにありません。特別視せず、普通に接するだけです。反抗期だろうが何だろうが、もし親に言ってはいけない言葉を発したのなら厳しく注意します。子が親に使っていい言葉・使ってはならない言葉はありますので。子が親に向かって、「うっとうしい」「邪魔」「うざい」「あっち行って」「放っておいて」なんて言葉を使うのなら、そもそも親の躾が間違っていたことを示すものだと思います。
Q4. 中学受験の勉強中、反抗期がひどいと合格は難しい?
A. そのとおりです。中学受験は時間との戦いです。親に反抗している時間がもったいない。無駄な時間です。ただし、言葉では反抗しても、ちゃんと本人の意志で勉強を継続しているのならその限りではありません。親への反抗を勉強をしない動機付けに使っているのなら大問題です。
以前に書いたこの記事もぜひお読みください。
