中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

共働き家庭の中学受験サバイバル|時間がなくても合格できる家庭の工夫

「共働き」

もう死語といってもいいかもしれません。母親が働く家庭は普通になりました。

東京都では2/3が共働きだそうですし。ダブルインカムが中学受験の学費を支えるという面もあるでしょう。

しかし、共働きは忙しい。子どもの中学受験に向き合う時間がなかなかとれません。

この記事では、そうした共働き家庭の中学受験サバイバルについて書くことにします。

共働き家庭が中学受験で直面する課題

東京では共働き家庭は2/3というデータを紹介しましたが、首都圏では、中学受験に挑むご家庭の約半数以上が「共働き世帯」と言われています。世帯年収と中学受験率の間には明白な関係性があることを考えると、うなずけるところですね。

しかし、仕事と受験勉強の世話の両立は想像以上に大変で、保護者からはこんな声がよく聞かれます。

「塾の送迎が遅くなり、帰宅後はバタバタ…復習が終わらない」

「仕事で疲れているのに、子どもの勉強も見なければならない」

「模試の結果を見ても、どうフォローすればよいかわからない」

「弁当持参の塾なので、結局はコンビニ弁当ばかりになる」

「保護者会や個別面談が平日なので無理」

「自分の仕事だっていっぱいいっぱいなのに、子どもに接するゆとりがない」

 

子育て世代は、仕事に置いても油の乗っている世代です。忙しいのは当然ですね。

 

共働き家庭の中学受験は、時間不足と親の負担感が最大の壁です。さらに、親が十分に関われないことから「うちの子は不利なのでは…」と不安を抱くことも多いでしょう。

しかし、工夫次第で共働き家庭でも十分に合格を勝ち取ることが可能です。そこで、まずは、実際に合格した家庭の工夫をご紹介します。

 

時間がなくても合格できる!成功家庭の工夫


朝時間を活用する

夜は疲れて集中力が落ちがちです。そこでおすすめなのが 「朝学習」です。この時間帯は、親子の生活時間がそろう唯一の時間帯でもあるのです。


例えば、平日は朝5:30〜6:30に算数の計算練習や暗記を行うと、効率がぐんと上がります。親が出勤前に学習をチェックできるのもメリットです。

 

あるご家庭では、朝の1時間が、親が本気で子どもの勉強に向き合う時間として、勉強部屋に父親と子どもがこもって、難問の解説や記述添削を本気でやったそうです。朝いきなり起き抜けで難問にチャレンジさせられる子どもも大変ですが、一瞬で目が覚めたことでしょうね。親だってぼやぼやしてはいられません。この「朝特訓」に備えて、父親は夜の晩酌をあきらめ、少しでも予習&早く寝ることに努めたそうです。

 

勉強時間の「見える化」

時間が限られる共働き家庭では、学習計画をカレンダーや予定表等で管理することが必須です。
「何をいつやるか」が明確になっているだけで、子どもも迷わず取り組めますし、親も仕事の合間に進捗を確認できます。

こういうと、すぐにスマホのアプリで家族のスケジュール管理、という発想になりがちですが、これはやめましょう。スマホを子どもに持たせるわけにはいかないからです。

お勧めなのが、ホワイトボードの活用です。

なるべく大き目のホワイトボードを家族皆が見られる壁に設置するのです。60cm×90cmくらいの大きさのものが理想的です。新聞見開き大ですね。そこに、やらねばならない課題やテスト予定などを書きこんでいきましょう。

こうした、別にデジタル化する必要のないものは原始的なアナログで対応したほうがはるかに効率的です。しかもこのホワイトボードは、家族の伝言板替わりになったり、備忘録としても活用できます。

あるご家庭では、子どもがそこに質問を書いておくと、夜遅くに帰ってきた父親が解答を書きこむ、そんなスタイルで運用しました。仕事で疲れて帰ってきたのに、きちんと子どもの疑問に向き合ってあげる、素敵なお父様です。

 

※ちなみに私が買ったホワイトボード(のうちの1枚)は以下のものです。安心と信頼のコクヨの90cm×120cmのホーロー製を選びました。ホーロー製は、何年たっても板面が新品同様の白さを保つのでお勧めなのです。

 

 

ボードサイズ

サイズは、60cm×90cmのこのサイズをお勧めします。それより一回り小さな45cm×60cmのほうが安くて設置場所を選ばないのでついつい魅かれるでしょうけれど、これだけ書ける面積が違います。

 

ホワイトボードの効用と選び方については以下に詳細にまとめました。

peter-lws.net

もっと詳しく知りたいかたは下の記事をお読みください。

peter-lws.net

 

役割分担を明確にする

父親は送迎、母親は丸つけや声かけ、といったように 役割分担を家庭でルール化することが大切です。どちらか一方に負担が集中すると、夫婦間の不満や子どもへのプレッシャーにつながります。

最悪なのが、父親と母親の意見が食い違うこと。

父:「そんな眠い目をこすりながら問題を解いても無意味だからもう寝なさい!」

母:「この問題が解きおわまでは寝てはダメ!」

 

父:「この問題は難しかったから、解けなくても仕方がないだろう」

母:「こんな問題まで間違えて! 塾で何やってたわけ?」

 

次にまずいのが、父親と母親の声かけがハモルことでしょうね。

父:「なんでこんなミスをした!」

母:「そうよ、あなたはいつも同じミスばかり!」

 

父:「最近集中してないのじゃないか? 効率も悪いぞ」

母:「そもそも学校から帰ってから勉強に取り組むのが遅いのよ!」

 

これでは子どもは家出します。

 

外部リソースを積極的に活用

お金で解決する、というと品が無いですが、上手に外部リソースを活用しましょう。何も父親と母親だけで頑張る必要はないのです。

・塾の自習室をフル活用する

・オンライン家庭教師で夜の時間を効率化

・必要に応じてベビーシッターや家事代行を導入

・祖父母に頼る

 

「全部自分たちでやろう」とすると共働き家庭は必ず疲弊します。お金で時間を買う発想は、中学受験サバイバルにおいて重要な戦略です。

 

共働き家庭がやってはいけないNG行動


塾に丸投げする

「塾に通っているから安心」と放置してしまうと、子どもの進捗を把握できず、気づいたときには取り返しがつかないこともあります。最低限、模試結果や宿題の進み具合だけは親もチェックしましょう。

「何かあれば塾から連絡があるはず」と言う考えは無謀です。塾では、一人一人の子どもにそこまで向き合えないのです。「最近成績が低迷しているな」と考えていても、そのままです。塾にはこちらから連絡するのが常識と考えてください。

 

過干渉になりすぎる

逆に、少しでも時間があると「勉強しなさい!」と口出ししてしまう家庭もあります。これは親子関係を悪化させ、反抗やモチベーション低下を招く原因になります。そもそも、子どもがチャレンジしようとしている学校の入試問題、親が4科目満点をとれますか? 親が子どもに構うのは本能のようなものですが、子どもはそれをどこまで受け入れるのか、計算して声掛けをしてください。

 

睡眠不足を招く生活リズム

共働き家庭ではどうしても夜型になりがちですが、小学生にとって睡眠不足は大敵です。夜遅くまで勉強するよりも、早寝早起きで朝の時間を活用する方が合格に近づきます。

「個食」という言葉がありますね。家庭でバラバラの時間にバラバラの物を食べているという意味です。中学受験をサバイバルするためには、「個食」は仕方がありません。親と子どもの生活リズムが異なるのですから、子どもの体調第一優先で考えるしかないでしょう。

 

模試の結果を感情的にぶつける

疲れているとつい「なんでこんな点数なの!」と感情的になりがちです。しかし、子どもは模試の結果に一番落ち込んでいる当事者です。保護者は「次にどう改善するか」を冷静に話す姿勢を持つことが重要です。

模試の結果は、子どもの学習状況を反映しているだけです。むしろ弱点をあぶりだす材料だととらえて、そこからどう学習するのかを考えるだけなのです。

 

リアルな1日のスケジュール例(小6秋)

ここでは、実際に合格した共働き家庭のスケジュール例をご紹介します。

平日・・・塾のある日

5:30 起床・朝学習(算数の計算演習30分+漢字10分+テストの間違い直し40分)

7:30 登校

16:30〜21:00 塾(軽食を食べてから塾に)

21:30 帰宅・軽食

22:00 就寝

平日・・・塾の無い日

5:30 起床・朝学習(算数の計算演習30分+漢字10分+テストの間違い直し40分)

7:30 登校

16:00〜19:00 過去問演習を中心に

20: 30 就寝

 

休日

午前:過去問演習(本番同様の時間割で)

午後:解き直し+塾の宿題

20:30就寝

ポイントは「無駄な時間を削ぎ落すこと」

時間第一優先で、たとえ終わっていなくても時間になったら打ち切る勇気が必要です。「終わるまで」スタイルの学習は、結局終わらないまま、エンドレスでやることになるからです。

また、睡眠時間の確保は最優先課題です。塾のある日にはどうしても就寝が遅くなってしまいますので、塾の無い日には少しでも早くなるようにしましょう。

 

共働き家庭を支える「親の関わり方」


子どもの努力を認める声かけ

共働き家庭では「ちゃんとやったの?」と、子どもが勉強していたのかのどうかの確認ばかりになりがちです。しかし、そんな声掛けは無意味です。「ちゃんとやったよ」としか返答が返ってきません。子どもがどれくらいの量の学習をしたのか、きちんと直接確認してあげてください。そして、子どもの努力を誉めてあげましょう。

もしかして「あれ、これしかやっていない」ということもあるでしょう(むしろ多い)。その場合は、しっかりと子どもを叱ってください。褒めるのと同じように、叱るのも子どもに正面から向き合うことですから。

 

「時間がない」ではなく「時間を工夫する」

共働き家庭には時間がないのは事実です。ただし、「できない理由」を探すよりも「どうすれば短時間で最大の成果を出せるか」を一緒に考える姿勢が大切です。

情報共有ツールを活用

夫婦の意志を揃えることが何よりも重要です。そのためには、夫婦で情報共有ツールを活用して、意思疎通を円滑にしてください。お互いが何をやっているのか、そして子どもに向き合う時間をどれくらいとれそうなのか、そうした情報を共有することが大切ですね。

 

学校説明会には早くから参加

中学校が主催する学校説明会、最近は土日開催や、「ナイト説明会」を開催するところも増えてきました。ある中学校では、平日の夜の説明会で、保護者にはサンドイッチとお茶が配られたとか。「お仕事帰りご苦労さまです。」というねぎらいですね。それを聞いただけでこの学校のファンになってしまいそうです。

しかし、相変わらず平日の昼間に説明会を実施する学校も多いのです。一般には、学校説明会は5年生から参加する方が多いのですが、共働きの場合には、前倒しして3年生くらいからまめに参加しましょう。その際には、夫婦で分担するより、できるだけ一緒に参加することをお勧めします。同じ説明会に参加した夫婦で話しあうことで、学校選びの意志が統一されていくからです。

有給休暇を有効活用

入試学年の1月から2月にかけては、親の出番が多いのです。そこで有給休暇をつかいましょう。また、それ以前であっても、夏休みや冬休みなど、子どもが家にいる日にはなるべく親のどちらかが休暇をとって付き添ってあげなくてはなりません。有給休暇を上手に活用するプランニングが重要です。

親も「受験サバイバー」であることを自覚

中学受験は子どもだけでなく、親にとってもサバイバルです。仕事に家事に受験サポート…全てを完璧にこなすのは無理です。だからこそ、「完璧を目指さない」と割り切ることが、家庭全体の安定につながります。

「理想の子ども」像が幻想であるのと同様に、「理想の親」も幻想です。

母親が仕事を持っていなければ、どれだけ子どもに向き合う時間があるだろう、そう羨ましく思うでしょうけれど、専業主婦だからといって子どもの受験勉強に寄り添っている母親はそんなに多くはないのです。

 

まとめ

 

・共働き家庭でも工夫次第で中学受験の合格は十分可能

・成功のカギは「朝時間の活用」「役割分担」「外部リソースの活用」

・やってはいけないのは「塾任せ」「過干渉」「睡眠不足」

・家族が一丸となり「一緒に走り抜ける意識」を持つことが、受験サバイバルを成功に導く

 

共働きだからこそ、子どもは自立心や計画性を育みやすいとも言われています。中学受験を「家庭の試練」ではなく「家族で挑むプロジェクト」と捉え、前向きに走り抜けていきましょう。

 

受験の関わり方について、この拙著も参考にしてください。