中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】子どもが受験を嫌がったらどうする?

最近、知人の子どもが中学受験から撤退しました。

「本人にその気がないので」

これが理由です。

受験の世界にどっぷりと浸かっている私としても、考えるところがありました。

今回はそうした話題となります。

中学受験は誰のため?

言うまでもありません。

子ども本人のためです。

もちろん、中学受験など考えていないご家庭が多いのは承知しています。私のこのブログをお読みいただいているご家庭では少数派でしょうけれど、世間一般では、公立小学校→公立中学校→公立高校、というルートが一般的ですから。

 

しかし、御家庭で中学受験を考えたわけです。

その理由は、子ども本人のためであることは当然です。

◆地元の公立中学校が荒れているから

◆わが子には中学校で内申がとれそうもないから

◆流されやすいわが子は公立中学校に行くと遊んでしまいそうだから

こうした後ろ向きの理由もあるかもしれません。

しかしほとんどは前向きの理由だと思います。

◆中高時代にやりたいことがあるから

◆目指す大学があるから

◆高校受験を考えずにもっと深い勉強をしたいから

◆より良い環境で中高6年間を過ごしてほしいから

◆大学の付属校に入れてあげたいから

他にもまだまだあると思います。

いずれにしても、こうしたことを小学生の子どもが低学年のうちから自分で決めたとは思えません。

親が、わが子の幸せを考えて下した決断だと思うのです。

 

中学受験から撤退する理由

 

子どもの未来のために一度は下した決断を撤回するわけですから、それ相応の理由があるはずです。

 

◆経済的に無理だから

 これはやむを得ない理由です。

◆子どもに適性がないことがわかったから

 これはどうなんでしょう。

小学校低学年のうちは、夢を膨らませて受験塾に入れたものの、どうやらうちの子は中学受験には向かないことがわかった、そういうことなのでしょうか。

この場合の「受験に向かない」という言葉の内容が問題です。これが、中学受験をさせるより、地元の公立中学校に進学したほうが子どもにとってプラスである、という決断ならよいのですが、おそらくはそうではないのでしょう。

◆いつまでたっても自主的に勉強しないから

 これが一番多い理由だと思います。早い話が、親が疲れてしまったのです。勉強から逃げ出そうとする子どものお尻を叩き続けることに。

これは、「放っておいても目標に向けて自発的に勉強する子」という、ありもしない幻想を求めたにすぎません。

◆子どもが受験をしたがらないから

 つまり、子どもの自主性を尊重する(子どもの我儘を受け入れる)ということなのですね。

 

なぜ子どもは受験を嫌がるのか

 

これは簡単です。

勉強したくないからです。

ただそれだけです。

そこにあれこれ理由をつけているのにすぎません。

 

勉強は、ほとんどの子にとっては楽しくありません。いくらやっても成果が出ないとなおさらです。

そんな日々が、あと1年も2年も続くと考えると、さすがにうんざりします。

 

これは、小学生なら当たり前のことだと思います。

サッカーが上手くなりたいけれど、単調な練習ばかり続くのは嫌です。

ピアノが上手くなりたいけれど、毎日ハノンばかり弾くのは嫌です。

私立中学には行きたいけれど、毎日こつこつと勉強するのは嫌です。

 

だから、「もう受験しない」と言い始めるのです。

 

親の対応

 

これは2種類に分かれます。

子どもの要望を聞き入れるのか、聞き入れないのか。

 

聞き入れるのは簡単です。

◆やっぱり小学生に無理をさせるよりのびのびとさせてあげたほうがよい

◆親子関係を壊したくない

◆勉強をやめたら子どもの表情が明るくなった

◆結局のところやらされている勉強は本当の勉強とはいえない

◆自分から勉強するのでなければ意味はない

◆本人にその気がないのに受験させてもしかたがない

◆別に無理して中学受験しなくても、日比谷高校や翠嵐高校に行けばよい

 

いくらでも「理由づけ」が可能なのです。

しかも、受験から撤退すれば、親も楽になります。

 

しかし、子どもの要望を聞き入れないのは茨の道です。

そもそも子どもがそんな我儘を言い出すような親子関係であることに問題があるからです。

子ども本人が、親の判断に万全の信頼を置いていない証拠です。

 

親の覚悟

 

中学受験をするのには、実は親に相応の覚悟が求められます。

 

家族旅行にも行けなくなります。

親も家でダラダラと過ごすことができなくなります。

学校訪問にも行かなくてはなりません。

入試問題も(親が)解いてみなくてはなりません。

子どものスケジュール管理をしなくてはなりません。

塾の送迎も必要になるかもしれません。

食事を家族一緒に取る機会が減ってしまいます。

子どもの成績という現実をつきつけられてしまいます。

子どもの成績に一喜一憂する日々となります。

子どもに小言を言う回数が激増します。

ママ友の付き合いに気を遣う必要が出てきます。

夫婦の意見が分かれるかもしれません。

お金がかかります。

 

これらを、「親として当然のこと」として受け止められず、「子どものために払う犠牲」「子どもが可哀そう」と思うのなら、最初から中学受験など考えないほうがよいでしょう。

 

結局のところは、子どもの幸せを願う親の強い意志があれば、子どもの我儘など簡単に蹴散らせる(そもそも我儘を言わせない)ものなのだと思います。

 

★例外的対応として、塾通いを嫌がるのなら、いっそのこと塾に行かないで中学受験をするということも可能です。

それについては、ぜひ拙著をお読みください。

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