
何回かにわけて、入試であと5点をもぎとる方法を考えます。
今回は、国語の漢字です。
狙われるのは同音異字・同音異義
入試で漢字が出題される意味は、二つあります。
・真面目に努力してきたかどうかをチェック
・最低限必要な語彙力をチェック
漢字は、国語の入試問題の中で唯一、「やりさえすれば確実に点がとれる」分野です。ここで点を落とすということは、真面目に取り組んでこなかったことを意味します。
また、中学生の学習に入るにあたり、最低限必要な語彙力・漢字力をチェックすることも重要ですね。
中には灘中の漢字問題のように、「音読み熟語のしりとり」を出す学校もありますが、いったい何をチェックする意図なのかは不明です。高校生数名にやらせてみたところ、3分で正解できた子は皆無でした。
そこでよく出されるのは「同音異字」「同音異義」の漢字になります。
まずは、1文字の漢字から見てみましょう。
はかる・・・計る・測る・量る・図る
これは頻出ですね。とくに計る・測る・量るは全て同じような意味なので混同しやすいのです。ただし、必ずしも×にできない使い方もあるので、出題・採点は要注意ですね。
「タイムをはかる」
さあ、これは「タイムを計る」か、「タイムを測る」か、どちらでしょうか?「量る」ではないことはわかるのですが、「タイムを計測する」と表現するとどちらの漢字でもよさそうに思えます。
文化庁の指針をまとめるとこうなります。
「測る」・・・平面的な長さ・深さ・距離・面積・角度など、定規や分度器・巻尺などで<ハカる>場合には「測る」を用いる。
例「水深を測る」「角度を測る」「距離を測る」「面積を測る」など
「量る」・・・立体的な容量・容積・重量・分量など、量や重さについて使う
例:「目方を量る」「体重を量る」「容積を量る」「分量を量る」など
「計る」・・・時間や数量など、時計や計算器で<ハカる>場合には「計る」を用いる
例:「時間を計る」「数量を計る」など
つまり、「タイムをはかる」は、「タイムを計る」でした。
さて、ここまではよいのです。これくらいなら間違える生徒は少ないのです。
本題はここからです。
「はかり知れない恩恵を受けた」
さあ、これはどの「はかる」でしょう?
もともと測定できない量ですが、いったいどの字がふさわしいかわかりますか?
「計り知れない」が正解です。
次にこれはどうでしょう?
「ハナコの心中を推しはかる」
これは、不足している情報や状況等から相手の気持ちを推測するということですね。それだと「推し測る」がふさわしいように思えます。
相手の心の量を考えると「推し量る」がいいようにも思えます。
実はこれはどちらでも〇です。
ただし、「推し量る」のほうが一般的に使われるようですね。
「勉強の効率化をはかった」
これは効率化を「意図」するのですから、「図る」になります。
「運動会の演目を皆にはかった」
これはたぶん入試には出ないでしょう。
相談するという意味の「はかる」は「諮る」です。これは中学生で習う漢字ですね。「諮問」という熟語も中学生で学ぶので、中学入試では出ないのです。
「王の暗殺をはかる」
計画を立てるのだから「計る」かなとも思いますが、これは「謀る」です。悪いたくらみを「謀る」際に使います。
これは中学生でやっと音読みが出てくる漢字です。「首謀者」という使い方ですね。訓読みの「はかる」で習うのは高校生です。音読みと訓読みで学年を分ける意味がよくわかりません。
もっとも、「敵にまんまとはかられた」の場合、「図られた」とも使いますからやっかいです。
このように、「はかる」の使い分けは微妙なものが多いのです。逆に言うと、入試では確実に〇×がつけられるものしか出題されないのです。
あたためる
温める・暖めるの2種類の使い分けはできていますか?
「部屋をあたためる」
これは大人ならすぐに「暖める」とわかります。
「心あたたまる話」
これも「心温まる話」だとすぐにわかりますね。
問題なのは、使い分けについて子どもに説明できるのかどうか、なのです。
「ああこれはね、抽象的なものをあたためるときは『温める』で、具体的なものをあたためるのなら『暖める』なんだよ」
こう説明されました。正しそうにも思えますが、生徒は納得しません。
「それじゃあお弁当を電子レンジであたためるは『暖める』ですね」
違いますね。弁当は抽象的ではありませんが「温める」です。
そこで次にこのように説明してみましょう。
「ああ、これはね、一部をあたためるのなら『温める』で、全体をあたためるのなら『暖める」なんだよ」
これは多くの国語教師が使う説明です。しかしこれも論理破綻します。
「部屋の暖炉に火をつけたが、部屋の一部しか温かくはならなかったので、エアコンもつけたところようやく部屋全体が暖まった。」
これは変ですね。部屋をあたためるのなら、たとえ一部だとしても「暖かく」でしょう。
「風呂の湯を温めた」
これは風呂全体ですが「温める」です。「暖める」とは使いません。
実はこの使い分けの説明は困難です。国語辞典をいくつか、文化庁の資料、さらにNHKの資料も調べましたが、曖昧な説明しか見つかりませんでした。
私は「言語学」の専門家ではないのでこれ以上はわかりません。
ただし、使い分けのコツは知っています。
それは、「逆を考える」ことなのです。
逆が「冷たい」になるのなら「温かい」を、逆が「寒い」になるのなら「暖かい」を使うのです。
不思議と、「冷たい」「寒い」は間違えないものなのです。そちらがわかれば、自働的に「暖かい」「温かい」の使い分けはできますね。
他にも入試に狙われる同音異字の漢字、同音異義の熟語を見てみましょう。
ここから先は、申し訳ありませんが「有料記事」とします。
ジュース1本分の値段ですので、ぜひお読みください。