
社会科で大切なのは、知識と思考力です。
もう少し具体的に言うと、語彙力と論理的思考力です。
いずれにしても得点するためには、「語彙力」は欠かせません。知らない語句があればそれがそのまま「穴」だからです。
何回かに分けて、入試で出そうな(頻出の)語彙を取り上げたいと思います。
私が実際に過去の入試問題でも何度もみかけた語句です。
その語句を答えさせる問題を想定して取り上げました。
たとえば、「産業の空洞化」
もううんざりするほど何年も出題され続けています。実のところ、すでに「手垢のついた」「時代遅れ」の語句なのです。これは、日本の輸出が絶好調で円高だった、つまり日本の経済力が文字通り世界第二位だった時代に問題視された事象なのですね。労働力の安い発展途上国に日本の工場が次々と移転していた時代です。
しかし、今や状況は様変わりしました。円高は遥か昔の夢となり、日本の経済力は衰退の一歩をたどっています。もしかしてこれからは、海外の企業の工場が、労働力の安い日本に移転する時代になるのかもしれません。
しかし、意外に社会科の出題は保守的なのです。中学校の社会科の先生方が不勉強で情報をアップデートしていないとは思えませんので、「小学生だからなあ」というブレーキが働いているのでしょうね。
そのあたりも考慮して語句をピックアップしてみます。
私が思いうかんだ順にとりあげます。
拒否権
これはもう「頻出1位」にしたいくらいですね。漢字3文字指定でどれほど出されたことか。
これもよく考えると、冷戦時代の遺物です。もちろん現在でもウクライナに関連してロシアの拒否権発動は話題になりましたが、冷戦時代のソ連はひどかったですから。
戦後のソ連ーロシアは300回以上拒否権を発動しています。そのうちの半数が冷戦時代です。
ちなみに次に多いのは予想どおりアメリカですが、八十数回です。次いでイギリスが30回ちょっととなっていますので、ソ連ーロシアは突出していますね。
これが国連の、とくに安保理の改革が叫ばれる理由の一つともなっています。
これと関連して、「安全保障理事会」は、構成国と合わせてよく出題されるのです。
もちろん「常任理事国」も出ます。
象徴
もちろん憲法第一章第一条が出題されるのです。
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
この「象徴」の部分が空欄となって漢字で書かせる、というのが定番です。
関連して「国事行為」という語句もよく出ますね。
ただ、不思議なことに、「7条解散」についてや、「国事行為の具体的な内容」、「象徴の本質的な意味」までは深堀しないのが普通です。天皇制については議論もあり、出題しづらいのでしょうね。
非核三原則
「核兵器を、作らず・持たず・持ち込ませず」
1967年に佐藤栄作首相が表明しました。
これが主因となって1974年にノーベル平和賞を受賞したのはご存知のとおりです。
非核三原則が提唱された背景は複雑ですが、小笠原返還が1968年、沖縄返還が1972年、
中国の核実験成功が1964年というあたりがヒントです。
実際に三原則が守られているのかについては微妙(守られていない)ですが、入試ではそこまでは問われません。シンプルに「作らず、持たず、持ち込ませず」を答えさせる問題ばかりです。
一票の格差
選挙イヤーにはよく出題されますね。
これもシンプルに「一票の格差」を答えさせる問題ばかりです。
最近「中選挙区制」が議論の俎上に乗ってきましたね。それと関連させて出題したくなるワードです。
都心回帰現象
ひと昔前は、「ドーナツ化現象」が良く出題されましたが、さすがに時代遅れになったのか、見かけなくなりました。そのかわりに出てくるようになったのが「都心回帰現象」です。
〇〇〇〇現象に当てはまる語句を答えよ、といった出題のされ方が多いですね。生徒の一人は「ドーナツ現象」と書いて私に怒られました。「漢字指定だろ!」といって。
その他にも、「ストロー現象」「スプロール現象」も狙われるかと思いましたが、出題はほとんど見かけません。それよりも「スポンジ(化)現象」のほうが狙われそうな予感がします。人口減少によって、都市で空き家や空き地が小規模な単位で散発的に発生する現象です。まさにスポンジ状態ですね。また、海外資本が投機目的でマンションなど買いあさることも原因の一つです。
国権の最高機関・唯一の立法機関
これは、憲法41条の穴埋めで出題されます。
第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
「これを、〇〇の最高機関であって、国の〇〇の立法機関」と出すのですね。
場合によっては、「最高」「立法」の部分を答えさせることもあるので要注意です。
排他的経済水域
これを「200カイリ漁業専管水域」と覚えていたとしたら、それは古すぎます。
1960年代に、各国が次々と「漁業専管水域」を設定しはじめました。日本は反対の立場だったのですが、やむを得ず、1977年に「漁業水域に関する暫定措置法」を施行します。
当初は、「漁業水域」と「大陸棚」の二つの概念に分かれていたのですが、1994年発効の「海洋法に関する国際連合条約」によって、この二つはまとめられ、「排他的経済水域」となりました。
大陸棚の地下資源も重要ですからね。
ということで、今は「排他的経済水域」という語句を使います。
ただし、遠洋漁業が衰えた理由を問われるときには「200カイリ漁業専管水域を各国が主張するようになったため、漁場での操業が難しくなったことや・・・」という文脈なら問題ありません。
裁判員制度
これも頻出です。シンプルに「裁判員制度」という語句を答えさせる問題が大半ですが、中には記号選択で「裁判員制度について正しいものを選びなさい」という場合もありますので、内容まできちんと理解する必要がある語句ですね。
ただし、制度を導入した理由や問題点については導入当時ならともかく、今はあまり見かけなくなりました。
ここから先は、申し訳ありませんが「有料記事」とします。40ほどの語句を取り上げて解説しています。
ジュース1本分の値段ですので、ぜひお読みください。