中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】子どもを本気にさせるのは親の演出

子どもがなかなか本気になってくれない。

よく聞く「愚痴」ですね。

しかし、その理由までは考えましたか?

文化祭で見た光景

先日、某私立校の文化祭にお邪魔しました。卒業生から「公演を見に来て」と招待されたのです。

公演は感動的な出来栄えでした。勉強も忙しいだろうに、よくその合間を縫ってみんなここまで完成させたものだ。不覚にも鼻の奥がツンとしましたね。最近涙もろいのです。

人気校の文化祭とあって、入場前には長蛇の列ができていました。その学校の在籍生徒の保護者や祖父母、卒業生の大学生、そうした人たちとともに、受験生親子も目立ちます。さすがに小6で文化祭に行く余裕は無いでしょうから、小学4年か5年生なのでしょう。みな立って並びながら勉強をしています。横目で見ると、「ああ、G塾の教材を開いているな」「S塾のプリントのようだな」などとわかります。これが気になるのは職業病です。母親がプリントを片手に子どもに一所懸命教えている姿もありました。見ていて私が教えたくなるのも、職業病です。

さて、私の前には受験生の子どもと若い父親が並んでいました。子どもは片手に問題集を持っていましたが、集中などしていません。行列に飽きた父親が、子どもにちょっかいばかりかけるからです。やがて父親主導でじゃんけんゲームが始まります。子どもは騒ぎはじめましたが、むしろ父親のほうがはしゃいでいます。はっきりいって、周囲から完全に「浮いて」いましたね。眉を顰める周囲の視線などお構いなしに、楽しそうにはしゃぐ父親でした。

 

行列に並ぶわずかの時間にプリントを覚えたからといって、大した勉強量ではありません。文化祭は「お祭り」ですから、はしゃぎたくなるのもわかります。ただ、はしゃごうとする子どもをたしなめるのが親の役割ですね。

 

どう考えても、隙間時間を無駄にしない習慣がついている子と、親が遊ばせている子では大きな差がすでについているのです。

 

子どもの本気は親の本気

 

子どもは親を映す鏡です。

親が本気にならなければ、子どもも本気になれません。

 

ソファに寝そべってテレビを見ながら「ちゃんと勉強しろ!」という親

子どもの勉強机の横で資格の勉強をしている親

 

どちらが子どもの「本気」を引き出すと思いますか?

 

「スマホばっかり見ない!」と叱りながら、自分は片時もスマホを手放さない親。説得力がありますか?

 

「別に近所の公立中学校でもいいだろ」と言われながら受験勉強に取り組めますか?

 

子どもが本気を出して勉強に取り組んでいないのは、必ず親に原因があるのです。

 

子どもの本気を引き出す演出プラン

 

まず、親が本気になりましょう。

正確にいうと、「本気になって」みせましょう。

これは演技でいいのです。子どもに親の本気を示すことが目的ですので、親までが冷静さを失ってはいけません。

 

兄弟で受験した場合、経験上、なぜか下の子のほうが伸び悩むことが多いのです。一人目の受験では無我夢中で親も並走したのに、それで受験というものが「わかった気になる」ことが弊害なのですね。下の子の受験にはそこまで真剣になれない。それは確実に子どもの成績に反映するものです。

 

次に、形から入ります。

お芝居でいえば、「役柄の衣装を整える」「舞台のセットを作る」作業です。家全体を、受験に本気で取り組むモードに演出してください。

私が子どもの学習環境を重視するのはそれが目的です。だから、リビング学習には反対の立場です。

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私がお勧めするのは、親も資格の勉強に取り組むことなのです。仕事に関係する資格なら一石二鳥ですが、そうでなくても良いと思います。「旅行業務取扱管理者」でもいいですし、「栄養士」でもよいでしょう。実際に資格試験を受験しなくても、そのための勉強は無駄にはなりません。

別に資格でなくても、例えば「英語を学び直す」でも、「歴史を研究する」でも「スペイン語をマスターする」でもかまいません。ある父親は、「東大に合格する」を目標にしました。別に本当に東大を受験するつもりはありませんが、東大に合格する学力を身に着けることにしたのだそうです。

「息子が筑駒を目指すなら、私も東大くらい目指さないとね」と言っていました。素敵なお父様ですね。机を並べて一緒に勉強している姿が目に浮かびます。

こうした、「勉強するのが当たり前」「勉強しなくてはいけない雰囲気」をつくるのが、演出なのです。

 

家族旅行もやめましょう。

別に数日程度の旅行で、合否に影響するほどの遅れは生まれません。

しかし、その気のゆるみが嫌なのです。

2月1日の入試本番一週間前に、家族旅行に行きますか?

その5日間が無駄にできないのなら、どうして夏の5日間は捨てられるのでしょうか。

 

私のピアノの師匠は、家族旅行するときには、旅先でピアノの練習環境を親が必ず確保していたそうです。どの町にもピアノが置かれたレンタルスペースくらいはありますし、それが無いリゾート地に行ったときには、ホテルのバーラウンジのピアノをラウンジが開いていない時間帯に頼み込んで借りたとか。毎日数時間ピアノを練習する習慣を継続する目的です。結婚するまで、包丁も持つことを許されなかったそうです。指の怪我が致命的だからです。そこまでストイックにピアノに向き合う。素敵ですね。

 

習い事も、辞める時期をきちんと決めましょう。世の中には、受験間際までバレエ(ピアノ・ヴァイオリン・野球・サッカー等)を続けていたのに受験がうまくいく子というのもいます。ただしこれは結果論ですね。不合格になった子も多かったはずですから。

 

子どもが率先して机に向かう。本気で集中する。そういう姿勢を作るのは、親の演出次第ですから。

 

こちらの記事には、子どものやる気を引き出す具体的な方法を書いています。ぜひお読みください。

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