中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

中学受験『成功家庭』の共通点とは?これからは「半リビング学習」が成功への秘訣

お子さんは、普段どこで勉強していますか?

自分の部屋=勉強部屋ですか?

それとも、リビングルームですか?

今回は、両者のメリットとデメリットを徹底比較し、正解を提示しようと思います。

1.リビング学習のメリットとデメリット

【メリット】

◆子どもの様子がつかめる

◆親が干渉しやすい

◆子どもはすぐに親に質問できる

 

メリットは3つですね。とくに、親が子どもの様子をつかみ、集中していないときには注意をすぐできるというのが最大のメリットでしょう。

とにかく子どもというものは、親の監視の目がないと勉強に集中できませんからね。

問題を解いているはずなのにぼんやりしていたり、答え合わせも適当だったり。

親だって忙しいのです。夕飯の支度をしながら目の届くところに子どもがいる安心感は大きいのです。

 

【デメリット】

◆集中できない

◆うるさい

◆小言をつい言いたくなる

◆邪魔

◆机の高さが高すぎる

◆暗い

 

リビングルームは家族の生活の場です。

夫婦の会話もあれば、弟や妹がテレビを見ています。人の出入りも多いのです。とてもじゃないけれど、集中できる環境とはいえません。冷蔵庫も近くにあります。ちょっと勉強していたかと思うと、すぐに立って冷蔵庫をのぞき込んでいませんか?

また、子どもの様子も気になりますね。

「ちゃんとやってるの?」

「その問題、間違えてるでしょ!」

「なに、その字は!」

「1問にどれだけ時間かけてるの!」

「いつまで算数をやってるの! 理科は?」

「苦手な科目を後回しにしない!」

「ほら、姿勢!」

もうきりが無いほど小言が繰り出されます。

それは子どもにとって果たして良い環境でしょうか?

親にとって良い環境でしょうか?

そして、何より「邪魔」です。

リビングの真ン中を占拠していますので。

「ちょっと静かにしてよ! 問題解いてるんだから!」

そんな子どもの文句を素直に聞きますか?

まるで腫れ物に触るようにして子どもに接することがはたして良いことなのかどうか。

 

2.自室学習のメリットとデメリット

このメリット・デメリットは、リビング学習の裏返しです。

【メリット】

◆静かで落ち着ける環境

◆親の小言が無い

◆親も子どもにいらつかない

◆邪魔にならない

◆適切な机の高さ・明るさ

【デメリット】

◆やらなくても怒られない

◆ついさぼってしまう

◆親に質問しづらい

◆意外にはかどらない

 

子どもは、一人で何時間も机に向かうことができない生き物です。自室に4時間こもっているからといって、4時間勉強に集中しているはずはないのです。

しかも、子ども一人では、自分で自分のコントロールができません。集中と弛緩のタイミングを自分で作れる子どもはいないのです。

結局のところ、部屋にこもっているだけで、大して勉強がはかどらないのです。

 

3.半リビング学習のすすめ

 

リビング学習か、それとも自室学習か。

両者のメリット・デメリットを考えた、解決策を考えました。

子ども専用の勉強机を、リビングルームの隅や廊下の隅などに置くのです。

勉強部屋以上リビングルーム未満といったところでしょうか。

これを私は「半リビング学習」と名付けました。

イメージとしてはこんなかんじですが、ここまで本格的な勉強スペースでなくても良いと思います。机だってこんなしっかりした勉強机でなくてもいいのです。引き出しも不要です。ガラクタ倉庫になるだけですから。

学校の机のサイズは定められています。旧JIS基準だと天板サイズが400mm×600mm、新JIS基準だと450mm×650mmです。私も自宅でセカンドデスクとして愛用しているのは、ニトリで買った480mm×950mmのものです。たしか6000円くらいでした。横が広くて使い勝手は良いのですが、子ども用としてはここまで横幅が広いと弊害があるのです。「半リビング学習」用のデスクは、天板サイズが最小のものをお薦めします。机面が広いと、そこにノートや参考書等が積まれたままになるだけで、結局は狭い作業スペースで勉強する羽目になるので、意味が無いのです。上のイラストの少年もそうなりかかっていますね。最小の天板サイズにして、勉強終わりにはかならず全てを片付けさせて何も置かないようにするのがコツです。学校用の机でも良いのですが、さすがにあれがリビングに置かれていると違和感あり過ぎですね。ネットで探していたら、ちょうどよさそうなのを見つけました。

サンワダイレクトのものです。パソコン周辺機器でおなじみの会社ですね。パソコンデスクという位置づけなのでしょう。天板サイズの奥行が450mmで、幅は600mmから各種そろっています。ちゃんと筋交いも入っているので良いのではないでしょうか。

※「リビングデスク」で検索すると、折り畳みのものがたくさん出てきますが、横揺れするのでお薦めしません。子どもが消しゴムを使うたびに揺れるのは駄目ですね。「パソコンデスク」で検索したほうが良いものが見つかると思います。

 

※問題点

こうしたデスクの高さは、だいたい70cmとなっています。

 

小学生男子の平均身長は、11歳~12歳にかけて、143cm~151cmです。女子は145cm~150cmですね。

この身長に合う机と椅子の高さはこうなっています。

身長143cm・・・机:60cm、椅子:36cm

身長151cm・・・机:63cm、椅子:38cm

 

つまり、70cmのデスクでは高さが合わないのです。実はリビングルーム学習の最大の問題点はこれなのです。

椅子は、高さ調節できるものがいくらでも見つかるのですが、デスクは難しいですね。足台を用意して乗り切るという手もありますが、微妙な高さの足台は売っていないと思うので、DIYでしょうか。

 

子どもの成長を考えると、机も昇降式がベストなのですが、重くて大仰で高価です。そこで、手頃なものを探していたら、この商品を見つけました。

同じくサンワダイレクトのものです。amazonでも公式サイトでも19800円となっていました。

上で紹介したシンプルなものに比べると、「教室っぽい」のが気になりますが、いかにも「勉強専用!」 という雰囲気はあります。可動部分があることは気になりますが、このあたりが妥協点でしょうか。とくにお子さんが低学年の場合は良さそうです。

 

さて、「半リビング学習」のメリット・デメリットは、「自室学習」と「リビングルーム学習」のちょうど中間です。

家族の生活空間にいるが、完全にそこにはいない

静かではないが、許容できる範囲

親の目が行き届くが過干渉にならない

 

私が学生時代にアルバイトをしていた塾を思い出します。小規模な塾でしたが、教室の外の廊下に、ずらりと机が並べられていて、みなそこで自習していたのです。当初は別途自習室を設けていたらしいのですが、そこに先生を常駐させておく余裕が無いことから窮余の策として、廊下に机を並べたそうです。

廊下ですから人の通行も多く、静かな環境ではありません。それでも人気のスポットで、授業の無い日でもそこでテキストを開いている小学生や中学生を見かけました。教師は通りすがりに生徒のノートをのぞき込んでアドバイスをしたり、あるいは通りかかった教師を生徒が呼び止めて質問をしたりしていたものです。

 

私が考えている「半リビング学習」は、ちょうどそんなイメージです。

 

あるご家庭では、子どもが高校生になった今でも「半リビング学習」を継続しているそうです。もう習慣となっているのですね。「おかげですっかりテレビから遠ざかってしまいました」とお母様は笑っていらっしゃいました。

 

※勉強机の問題についてはこちらでも詳しく記事にしています。

peter-lws.net