受験もそろそろ終わります。
みなさんは、受験が終わってから中学校が始まるまでの2か月間、どう過ごすか考えていますか?
今回は、そんな2か月の「お薦めの」勉強法について書きたいと思います。
塾に行く前に立ち止まって考えよう
いろんな塾で、「中学進学準備講座」「英数入門講座」のような講座が用意されています。
しかし、お薦めはあまりできません。
こうした講座を開催している塾は2種類あります。
(1)高校受験塾
公立中学生対象に、高校受験を目標とした塾があります。実は塾の数からいえばこちらが最も多い塾です。中高一貫校に抜けた生徒以外は、全員が高校受験をしますので、市場規模が大きいのです。
こうした塾は、中学生になってから自分の塾に通ってもらうための作戦として、小学校が終了するあたりからこうした講座を開講しているのですね。
したがって、そこに集まる生徒の大半は、中学受験未経験者たちです。また、教える教師も、公立中学生しか教えた経験がありません。
つまり、誤解を覚悟で言ってしまうと、生徒も教師もレベルが低すぎるのです。
レベルという言い方は不遜すぎますね。対象と目的が異なるというべきでした。
中高一貫校に進学する生徒にはお勧めできません。
(2)中高一貫校生用塾
鉄緑会・SEG・平岡塾・J-PREP等、最上位の大学を目指す生徒対象の塾をはじめとして、中高一貫校生対象を謳う塾は多数あります。
しかし、残念ながら、そうした塾の全てが中高一貫校生の指導に長けているとは言い難いのです。塾としても、大学実績が出そうな中高一貫校生をぜひ抱え込みたいのですね。そうした「営業上」の思惑だけで、看板を掲げている塾がとても多いのです。
ちょっとネットで「中高一貫校生 塾」と検索すると、そうした塾が「おすすめの塾」として多数紹介されていますが、鵜呑みにしてはいけません。
本来は、中学生になってから、周囲のクチコミ情報を参考に探すほうがよいのです。
また、ある程度知名度の高い中高一貫生対象の塾は、やたらに進度が早いのが特徴です。お子さんの理解スピードを超えた英語・数学の授業を展開されると、せっかく楽しみにしていた「英語」「数学」が嫌いになることでしょう。
何をどこまでやっておくべきか?
【数学】
使うべき教材は、検定教科書か「体系数学」です。
◆検定教科書
検定教科書については、どの出版社のものでもかまいません。
個人的なお薦めは、数研出版の「これからの数学」です。
なかなか意欲的な構成で、作成者の数学に対する思いが感じられる教科書です。
これらの教科書の、中学1年生用のものを1冊、4月までに済ませてしまいましょう。
実は開けばお分かりいただけますが、中学1年の教科書は、びっくりするほど「易しい」のです。
ちょっと拍子抜けするレベルです。
だから、どんどん先に進ませたくなりますが、ここはぐっとこらえて、基本を丁寧に学びながら、「数学的な」考え方をじっくりと学びましょう。
こうした学校教科書の優れている点は、教科書ガイドや問題集・ドリルが豊富に展開されているので、親が教えやすく、演習もやりやすいのです。
◆体系数学
採用している私立中学が多数あります。これは、算数が得意だった生徒向けにお勧めです。ただし、「自学自習」は無理ですね。数学が教えられる親が使って教えるのには非常によくまとまっています。
このテキストに加えて、周辺教材も書店で入手可能です。
多くの私立中学では、中1で「体系数学1」を終了するペースですが、さすがに2か月でこれを終わらせてはいけません。検定教科書2年分くらいのボリュームがあるからです。出来るところまで進めてみるくらいがちょうどよいでしょう。
検定外教科書には、他にもこのようなものがあります。
『システム数学』(啓林館)
『プライム数学』(Z会)
『アドバンスト数学』(Z会)
どれも工夫がこらされた教材ですが、特別に体系数学より優れているとは私には思えませんでした。
さらに、こうした検定外教科書は、一般消費者へ販売していないのがやっかいです。学校専用教材として、書店には置かないのですね。
その意図は正直よくわかりません。
「スペシャル感」を演出したいのでしょうか?
その点、体系数学は、一般書店でも本教材・問題集・解説本まで入手可能なのが素敵です。
【英語】
お勧めの教材は、普通の学校教科書です。
◆ NEW CROWN(三省堂)
◆NEW HORIZON(東京書籍)
◆Here We Go! (光村)
◆ONE WORLD (教育出版)
◆Sunshine (開隆堂)
◆BLUE SKY (啓林館)
いわゆる検定教科書として思いつくのはこれくらいです。
お勧めは、
◆ NEW CROWN(三省堂)
◆NEW HORIZON(東京書籍)
のどちらかです。
おそらくは、私立中学の大半が、このどちらかを採用しています。
一度手に取って見てください。
みなさんが中学生時代に使っていた教科書とは全く別物だと思います。
教科書も、日々進化しているのです。
QRコードで音声がすぐに聞けたり、ダウンロード教材があったり。
ドリルやワークブックが充実しているのも教科書の特徴です。
まずは、このどちらかの中学1年生用を手に入れて、それを2か月間で終了させましょう。
まったく英語未習の生徒でも、それくらいのアドバンテージを持って中学の授業に臨めば、すくなくとも「苦手意識」を持たずにスタートを切れるはずです。
検定外教科書
その他、私立中学でよく使われている「検定外」教科書には、こんなものもあります。
◆NEW TREASURE(Z会)
◆Birdland (文栄堂)
◆PROGRESS IN ENGLISH (エデック)
昔は検定外教科書といえば、PROGRESS 一択でしたが、今は NEW TREASUREかBirdland を使う学校のほうが多いと思います。
これらに手を出してはいけません。
もし学校が採用していたら、学校の授業が始まってから、先生の指示にしたがって、きちんと予習・復習をすすめればよいのです。
これらの検定外教科書をお勧めしない理由は一つです。
つまらないからです。
これを使う生徒に、「わからせよう」「英語の神髄を伝えよう」という意図はゼロとしか思えない本なのです。
ただただ早いスピードで先へ進ませることを目標にしています。
また、解答も解説も無ければ、音声データも入手できません。
適切な指導者のもとで扱われる必要がある教材です。
中学生に上がる前の、「英語ってどんな教科なのかな?」と好奇心で目を輝かせている子に使う教材ではありません。
国語・理科・社会は省略
本当は、世界史や世界地理など面白いので学ばせたいのですが、せっかく中学の先生の授業を受ける前に、余計な知識を入れないほうがよいでしょう。
したがって、これらの学習は当面不要です。
ブラインドタッチを身に着けておこう
ほとんどの学校で、パソコンを普通に授業で使います。
ブラインドタッチができないとお話になりません。
やり方は簡単ですね。
キーボードを半角英語入力モードにして、ローマ字を練習するだけです。
注意点は3つです。
◆ノートPCのキーボードではなく、フルサイズのちゃんとしたキーボードを使う
◆手を置く位置=ホームポジションを崩さない
◆キーボードを絶対に見ない
有線式なら1000円程度で、無線でも3000円以内で買えます。ここはぜひ無線式を購入してください。できればBluetoothキーボードがお勧めです。学校によってはiPadを全員購入の場合もありますが、その際にもこのキーボードは有効です。
別に銘柄は何でも良いと思います。
今ちょっとアマゾンを覗いてみると、エレコム・バッファロー・ロジクールといった知名度のあるブランドの無線式のものが、何と千数百円でいくらでも売っています。Bluetoothキーボードになると少し高くなりますが、3000円くらいでもありますね。
テンキー付きのフルサイズのものならどれでも構わないとおもいます。
ただし、薄型や小型のものは避けましょう。ある程度の打鍵感があるものでないと練習にはなりませんので。
キーボードを見ないためには、キーボードに置いた手の上に布をかぶせるとか、段ボールで覆ってしまうとか、やり方はおまかせします。
最初に、aiueoをひたすら繰り返し、次にkakikukeko、sasisuseso、というように50音を繰り返す。
最後に、単語を入力して実践力を鍛える、そんなやり方ですね。
ネットを探せば、入力練習アプリやページがいくつもありますので、利用するのもよいでしょう。
本当は、英文入力にも習熟してほしいところです。
英単語のスペルのマスターにも有効だからです。
ただ、それは次のステップ、日本語入力が完璧になって、思考のスピードで入力できるようになった次ですね。
思い切って、英語入力から先にマスターするというのもアリです。
もともとキーボードの構成は、英文入力に有利なように作られています。
ただし、英語が未習の生徒にとっては、つらいですね。英単語を知らなすぎますので。
ある程度英語ができる生徒なら、こちらから入るのもよいでしょう。