あと30日で受験が終わります。
1月校の受験、そして2月1日からの数日間はあっという間に過ぎ去ります。
みなさんは、その後の過ごし方を考えていますか?
今回は、受験まで1か月を切った今だからこそ考えたい、親のみなさんへのアドバイスです。
中学受験終了後の虚脱感
中学受験は親子の二人三脚で進みます。家族みんなの協力体制のもと、受験を迎えます。
これまでの数年間は、おそらく受験生である子ども中心に全てが成り立っていたことだと思います。
旅行を我慢したり、テレビを見なくなったり。
或る意味、家族だって多くのものを犠牲にしていたといえるかもしれません。
しかし親ですから、犠牲になったという感覚はゼロでしょう。
しかし、そうした無我夢中で過ごした受験は、あと少しで終わるのです。
保障しますが、受験が終わった後、子どもは何をしていいのかわからなくなります。
そして、親も、次の動きが見いだせず、虚脱感を味わうはずです。
解放感を楽しもう
プロジェクトスタイルの仕事をしている方なら同意いただけると思います。
大きなプロジェクトを推進しているときって、物凄く忙しいですが、ある意味とても充実しますよね。やっとの思いでプロジェクトが終了し、成果が出ました。
その後って、妙な虚脱感に襲われませんんか?
すぐに次のプロジェクトに移る気力はなく、この仕事が終わったらやろうと思っていた自分の趣味に時間をかける気力もなく。
ただぼんやりとしてしまう。
或る意味中学受験は、子どもの未来をかけたビッグプロジェクトでした。
それが終了すると、虚脱感に襲われるのは当然でしょう。
しかし、それを虚脱感といってしまってはもったいない。
「解放感」と思いましょう。
まだ中1ですから、親が完全に手を放すわけにはいきませんが、子どもを導くのは、子ども自身と、そして学校になります。
もう親の出番はほとんどなくなるのです。
子どもへの接し方や導き方を大きく変えるときが来ました。
ただ、残念ながら、そのことに気づいている親は非常に少ないのです。
受験が終わった直後に最も多く受ける相談はこれです。
「先生、次の塾はどこがいいですか?」
この相談が、2月の第一週、子どもの合格発表直後にもう出てくるのです。
ちょっと待ってください、正気ですか?
今、やっと数年がかりのプロジェクトが終了したところなのですよ。
親子ともどもゆっくりと解放感を味わって、自分自身を見つめ直したり、遠い未来に思いを馳せる時間をつくりませんか?
私が言うべき言葉ではありませんが、「受験病」に侵されているとしか思えません。
「中学受験の次は、大学受験に向けて塾に早くから通わないと!」
「鉄緑会の席ってすぐに埋まるから急がないと行けないんですって!」
「みんなもう次の塾を決めたらしいよ。出遅れた!」
これは、もしかして親も「解放感と言う名の自由」から逃げたいのかと思えてしまいます。
まるでエーリヒ・フロムの「自由からの逃走」さながらですね。
趣味を見つけよう
今まで時間がなかなか取れずにできなかった趣味に時間を使える時が来ました。
◆推しのライブに行くために海外まで一人で行く母親
◆ミュージカルを見るのに夢中な母親
そんな話を聞きますが、実に素晴らしいですね。
親がそうして充実した日々を送っていることが、子どもとの距離感を上手にするコツのように思います。
子どもと一緒に英語を学ぶ
実は、一番お勧めなのがこれです。
2月・3月の2か月間、子どもと一緒に英語を学ぶのです。
もちろん、すでに子どもが英検準1級であるとか、親がネイティブさながらの英語力を持っている場合は別ですが。
社会に出てからは、とくに英語を必要とする仕事ではなかった。
子どもも、英語はほとんど学んでこなかった。
こうしたご家庭、たぶんマジョリティの中学受験生のご家庭向けへのアドバイスです。
2・3月の2か月間は、中学に向けた準備の期間です。
とくに英語・数学の2科目は重要です。
中学校で夏までに学ぶくらいの内容を先取りしておくことをお勧めします。
だからといって、すぐに塾を探すのはちょっと待ってください。
たしかに塾に丸投げしてしまうのは楽ではあるのですが、問題点があるのです。
◆「中学準備講座」的な講座を開催している塾のほとんどが「公立中学生対象の高校受験塾」なのです。
そのため、私立中学受験を済ませた生徒たちには、「易しすぎる」のです。
中学受験勉強を通して、スピードや理解力を鍛えてきた生徒たちの期待に応えるものではありません。
◆中高一貫校生対象の塾が開催する「準備講座」は進度が早すぎるのです。
これらの塾は、「早くからフル加速させることで、東大合格を確実にする」ことが目的となっています。
そのため、子どもの理解力や興味を斟酌せずに、独自のカリキュラムで突き進みます。
英語にしても数学にしても、最初の段階が一番重要です。
そこをただ加速して進めば良いというものではないのです。
このやり方は、一部の突き抜けた生徒たち、たとえばサピックス偏差値65超えの生徒向けのやり方です。
英語くらいなら、親でもまだ教えられるはずです。
といっても、だいぶ忘れてしまいましたね。とくに文法が怪し気です。
そこで、中学生の頃に戻ったつもりで、お子さんと一緒に英語を学び直すことをお勧めします。
親が一緒に子どもと英語を学ぶときの生涯は、「発音」だけです。
ここだけは、音声教材を上手に利用しましょう。
中学1年生くらいの内容なら、親子で2か月もあれば楽しく勉強できます。
それだけでも、英語に対する恐れを払拭する効果は絶大です。