元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】塾について、我慢できること、我慢できないこと

塾に通っていると、塾について納得できないことなどいくらでもありますね。

私自身、受験終了後に「本当に先生のおかげで合格できました。先生の授業を息子はいつも楽しみにしていたのです」とお礼を言っていただけることは多々ありましたが、おそらくは私の指導に納得いかないこともあったのだろうと思うくらいには経験を積んでいます。

今回は、我慢すべきこと、抗議すべきこと、転塾すべきこと、それぞれについて例をあげながら考察します。

授業が騒がしい

良く聞く話です。私自身の授業では、生徒が騒がしいことなど全くないのですが、隣の教室があまりに騒がしいので注意しに行ったことは何度もありますね。ガラリと教室の扉を開けて、「今授業中だ! 静かにしなさい!」と注意をすると、教室の中には教師が立っているのです。つまり、教師が全く教室をコントロールできておらず、生徒が好き勝手に騒いでいるという図式です。

はっきりいって「教師失格」です。こんな授業に高い授業料を払う必要はありません。

もしお子さんが、「授業中騒がしくて先生の声が聞こえない」と言ってきたら、すぐに教室長に抗議してください。一か月以内に改善されないようなら、転塾すべきでしょう。

 

教室が賑やか

「騒がしい」と「賑やか」、似ていますが別種です。「騒がしい」状態とは、生徒が好き勝手に騒いでいて授業が成立していない状態、「賑やか」な状態とは、生徒が授業に参加して活発に発言している状態です。とくに質疑応答をメインとした思考力系の授業を展開していると、生徒が発言したがり、「賑やか」になることも多いのです。これは、教師がコントロールしている状態ですので、むしろ歓迎すべきです。

ベテランの教師になると、発言できない生徒も上手に授業に巻き込んで、「楽しく」「ためになる」刺激的な授業を展開します。おそらくお子さんは、「今日の授業、すっごく楽しかった!」と報告してくれることでしょう。

 

乱暴な教師

言動が乱暴な教師、実はたくさんいますね。生徒を見下して「乱暴」にふるまうことでしか、自らを権威づけられない、レベルの低い教師です。

暴力は「犯罪」ですから即警察案件ですが、「言葉」による暴力も問題です。

これは我慢すべきではありません。即時に教室責任者に改善を要求してください。改善が見られない場合は、転塾の一択です。

 

時間が守られない

開始時刻と終了時刻を厳守するのは当然です。私も授業にあたっては、電波式腕時計をして、秒単位で開始時刻と終了時刻を守っていました。例えば1コマ80分の授業だとしたら、保護者はその「80分」の授業に対して対価を支払っていますので、一分一秒たりとも減らせません。こうした授業を行うためには、綿密な事前準備が必須です。経験を積んでくると、授業中に何度も時計を見ることなく、時間ぴったりに授業を終えることができるのです。

これができていないという場合、教師の準備不足・力量不足が疑われます。

とくに最悪なのは、「開始時刻」が守られない場合ですね。5時からスタートなのに、教師が教室に入ってくるのが5時数分過ぎ、そんな塾は転塾すべきでしょう。授業前の職員室の様子が容易に想像できるからです。

やっかいなのが、終了時刻でしょう。時間前に終わるのは論外として、授業延長をどうとらえるか。私自身も、生徒の反応が良く、気持ちよく授業をしていると、あっという間に時間になってしまうことなどよくあります。ただし、例えば3人の教師で3クラスを3コマで回している場合、1コマ目、2コマ目で延長すると、次の教師の授業時間に食い込んでしまいます。(SAPIXは休憩時間が無い塾です)かといって、3コマ目でも授業を延長すれば、お迎えに来ている保護者に迷惑がかかりますし、電車で帰る子供の帰宅時間が遅くなります。

結局のところ、延長はせず、終了時刻を厳守するのが正解なのです。

もしお通いの塾が、授業延長が日常茶飯事だったとして、「遅くまで熱心に指導してくれる」と勘違いしてはいけません。授業時間内に終わらせることができないレベルの教師であると考えましょう。

経験上、授業延長の常習犯の教師の授業は「ダラダラ」していて無駄が多いものでした。

他の生徒とのトラブルが頻発

子供はピュアだ、などというのは幻想であることを我々は知っています。大人にもいろいろな人がいるように、子供も様々です。真面目で素直な生徒も多いですが、そうではない生徒もいるのです。

一人の生徒を思い出します。

A子は、いじめの主犯でした。教師から見えないところで巧妙に他の生徒への陰湿なイジメを繰り返します。実は、A子は小学校でも「有名人」だったことを他の保護者から聞きました。せっかく入室相談に訪れたのに、「この塾にはA子さんがいるのですよね」といって入室を断念する方までいたのです。

ある時、授業中にA子の母親が教室内に怒鳴り込んできました。「うちのA子をイジメているのはお前か!」こう言って、一人の男子生徒の胸倉を掴んだのです。あまりの権幕に、受付も担当教師も制止できませんでした。どうやら家庭では、A子は「自分がいじめられている」と実態とは真逆の嘘を言っていたようですね。この男子生徒を排除する目的で母親を利用したのです。

私も責任者として対応しましたが、結局このA子を更生させることは不可能でした。退塾させるのが近道でしたが、証拠をつかませないこういうケースではそれも難しいのです。

もしお通いの教室に、A子のような子がいた場合は、「君子危うきに近寄らず」しかないでしょう。塾などいくらでもありますので、別にその塾にしがみつく必要はありません。

塾からの連絡が希薄

親としては、塾から頻繁に連絡があると安心です。しかし、個別指導塾ならいざ知らず、集団指導塾にそれを求めるのは「酷」なのです。

私もSAPIXで最盛期(自分が最も忙しかった時期)には、週5日~6日は授業に入っていました。1日の授業では、2クラス~3クラスを担当します。1クラスの人数は20名弱です。平均すると、1週間で延200名~300名の生徒を指導します。

授業は、4時半から9時まで行います。授業後も生徒の質問対応等ありますので、やっと体が空くのは10時くらいです。勤務時間は2時から10時ですが、2時から4時半までは、授業準備や採点やテスト作成や教材作成を行います。また、学校訪問にも赴きます。実のところ、ご家庭に電話を入れる時間がほとんど取れないのです。

昼間に電話をしても不在のご家庭がほとんどですし、夜10時以降の電話は「失礼」にあたりますから。

いただいた電話に「折り返す」のもままならない状況ですので、こちらから頻繁にご家庭に連絡することはほぼ無理なのはおわかりいただけるでしょうか。

塾の中には、「家庭に密に連絡する」ことを売りにしているところがありますね。いったいどんな魔法を使っているのか私にはわかりません。まさか教材作成や授業準備や学校研究などの時間を削っているのではないでしょうし。そんなことをしたらたちまち授業のクオリティは下がりますので。

塾とのコミュニケーションは、「何かきになったら親から連絡する」のを基本とすべきです。もしどうしても塾と密な連絡を取り合いながら受験勉強に臨みたい場合は、個別指導か家庭教師を選びましょう。

 

成績が上がらない

成績には、得点力のような絶対評価と、偏差値・順位のような相対評価があります。おそらく「成績が上がらない」というのは、偏差値・順位のことなのでしょうね。

これを塾のせいにするのは「お門違い」です。仮に学年100名の塾だとして、全員の「得点力」が上がっている状態では、いくら頑張っても偏差値は変わりません。そのかわり、その学年全体の合格実績は高まるはずです。もし成績が足踏み状態だとすると、相対順位は下がります。

お子さんの「上がらない成績」がいったい何を意味するのか、きちんと考えるべきでしょう。

そのうえで、あきらかに塾の指導に問題があると感じたのなら、これは転塾を検討すべきですね。もちろんその前に塾と面談を必ずしましょう。

残念ながら、調子のよい「口先」トークで生徒集めだけは上手だけど、まともな指導をできない塾など数多あるのです。