
私が主催する教室「LWS赤嶺塾」での、「学校別過去問対策講座」が終了しました。
夏休み中の早朝の時間帯(06:30~07:20)を活用し、麻布・海城・鴎友・女子学院・渋谷渋谷の5校の入試問題を、国語・社会それぞれ3年分、6週間連続でオンラインで解説するという講座でした。
事前に解いておいてもらった問題を、答合わせしながら解説をするというスタイルで実施しましたが、丁寧に解説していくととても50分という時間では足りません。それでも参加してくれた生徒たちの笑顔(朝早いので眠くなる暇も与えない授業展開をしたのです)と成長(おそらくここまで丁寧な解説は初めてだったのでしょう)が見られ、成果が実感できたのは良かったですね。
オンラインならではの機動性(塾の夏期講習に行く前の時間の有効活用)が発揮できました。来年も、スケールアップして過去問対策講座を実施したいと思います。
もっとも、毎朝5時起きの私もちょっとだけつらかったです。受験生たちの頑張りを思えばそんなことは言ってはいられませんが。
あらためて過去問演習の大切さを実感しました。
国語:過去問は最良の読解素材
国語の指導で、どの塾の先生も頭を悩ますことがあります。それは「素材とする文章」選びです。
入試問題には、「最近出版された」本が多く使われます。古典的名著が使われることはあまりなく、入試の前年、あるいは5年以内くらいに出版された本が好まれるのです。
それには理由があります。
昔からある本を素材として問題を作ると、「すでに過去に出題されたことのある問題」に似てしまうのです。受験生たちも勉強してきていますから。「あ、これこの間塾のテストで出た!」という入試問題になってしまうと、入試の公平さが損なわれます。そこで、なるべく新しめの本が好まれる、というわけです。
当然、塾の国語教師も「最近の本」には敏感にアンテナを張り巡らしています。毎日のように書店に立ちより、休みの日には図書館に入り浸る、これが国語科教師の日常です。(もしそうしたことをしていない教師がいれば、それは国語教師失格です)
そうしてやっと見つけてきた素材も、そのまま授業で使うことはできません。生徒全員に同じ本を買わせるのなら良いのですが、一部を抜粋したりコピーをしたりして「プリント」「テキスト」にでもしようものなら、それは違法です。完全に著作権法違反となりますね。そこで、著作権管理者に申請をして、著作権料を支払って、許可をもらわないかぎり「教材」には使えません。しかもこうした申請は、毎年更新する必要があり、「去年はOKだったが今年は不許可」ということもあるのです。こうした著作権処理を考えると、国語のテキストというものは、中小塾には作れません。多くの中小塾が市販の教材(四谷大塚の予習シリーズや塾専門教材会社の出版物)を使うのはそれが理由です。
しかし、そんな「苦労」をしなくても済む方法があるのです。
それが、「過去問」を利用する方法です。
「過去問」には、各中学校の先生方が苦労して探し出し、著作権問題をクリアした文章がそのまま載せられています。しかも、入試に出しやすいところを選んで切り取っているのです。さらにそれに対応した問題まで付属しています。
これを利用しない手はないのです。
ちなみに、著作権問題に関しては、教師と生徒が同じ問題集を買うことでクリアできます。
つまり、過去問演習には、受験校の過去問を解いて得点を出してみる、という目的よりも、「良質な文章読解のトレーニングの素材とする」という目的のほうが大きいのです。
社会:実践的な知識の宝庫
社会科は膨大な知識の暗記をともなう科目です。しかし、ただ知識を覚えただけでは問題を解くことはできません。知識を「使いこなす」ことが求められるのです。
料理に例えると、材料やレシピを暗記したからといって、「美味しい料理」が「見栄え良く」、しかも「手際よく」作れるはずもありません。実際に手を動かして料理してみると、思わぬ失敗もありますし、想像とは違った味になることも珍しくありません。そうやって試行錯誤・悪戦苦闘を繰り返しながら、料理が身につくのですね。
社会科も、覚えた(はずの)知識を駆使して実際の問題を解かない限り、永久に得点力は上がりません。
問題文の読解力や資料の読み取り、正誤問題の解法、うろ覚えの知識の定着、記述の練習、すべての要素がつまった過去問は、やればやるほど社会科の得点力が安定してきます。
ただし残念ながら、多くの塾で社会科の知識取得カリキュラムがやっと終わるのは、6年生の7月ごろになります。公民分野が終了していないので、入試問題を1本まるまる解くことができないのです。地理・歴史に絞って解くのなら問題はありません。7月中旬以降に、本格的な過去問演習をスタートするとよいでしょう。