元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】校則の厳しい学校VS緩い学校

学校選びの際に、校則の厳しさ/緩さを気にする方も多いですね。

「うちの子は厳しい学校には向かない」

「うちの子は緩い学校だと不安」

6年間(10年間)続く通学ですし、思春期を過ごす大切な学校ですので、とても気になるのです。

学校の発信情報はあてにならない

学校が、「うちは厳しく指導します」というスタンスであっても、実際に通う生徒の声は「自由だよ」という場合も多いのです。逆に、「うちは生徒の自主性を重んじます」という学校なのに「すごく厳しい!」と生徒が言っている学校もあります。

さらに、同じ学校であっても、生徒によって受け止め方も様々です。

一般に、制服の有無、髪色、こういったあたりを指標にする場合が多いのですが、それだってあてにはなりません。

また、制服を着ている生徒が多いのでてっきり「制服必須」かと思うとそうでない学校もありますね。

例えば、慶応中等部はこうなっています。

 中等部には、 ふだんの登校のとき必ず着なければならない、 制服はありません。 中等部の服装に 対する考え方は、 自己の判断、 あるいは家庭の協力によって年齢にふさわしい、 しかも個性を生か した服装をするということにあるといえます。 ただ、 それにはその判断のよりどころとなるものを 与えねばなりませんし、 中学生という年齢層の少年少女には、 時には、 はっきりした基準を示さな ければなりません。 それが、 中等部の基準服ということになります。

中等部の制服といえば、女子はグレーのダブルのジャケットがなかなか大人っぽくて素敵だと思うのですが、あれは制服ではなかったのですね。

また、麻布学園といえば、「自由」な学校として知られていて、髪色も服装も何もかもが自由ですが、「標準服」という、昔制服だった黒の詰襟が存在します。中1の入学式では来ている生徒が大半ですが、その後も着ている生徒がどれくらいいるかどうかは不明です。たぶんほとんどいないでしょう。

女子学院といえば、女子校の中でも有数の「自由」な学校として知られています。しかし入学式や何かの儀式などで、セーラー服を着る生徒が多いのです。これは昔の制服を今でも作ってくれる洋服店があり、そこで大半の生徒が購入しているのですね。オフィシャルではないのに生徒が自主的に着ているということになります。

制服や校則の有無では、学校の「厳しさ/緩さ」はわからないのです。

 

実際に見に行こう

校則の厳しさ、というよりは、学校の厳しさ/緩さに関しては、実際に足を運んで生徒の様子を観察するのが一番です。学校のオフィシャルの見解はあてにならないと考えてください。

授業見学等があればいちばんですが、文化祭のようなイベントを訪れても、雰囲気はわかります。また、普段の通学の様子を見るのも有効です。

職業柄、制服を見るとどこの学校の生徒かだいたい見当がつきますので、電車内等ではその学校の生徒の様子が気になるのです。もっとも最近は制服をリニューアルする学校も多く、チェックのスカートにブラウス、グレーのズボンにブレザー、こういった制服が多くて区別がつかなくなってきました。

あるとき私鉄に乗っていると、乗り込んできた女子高生たちが数名。空いている車内とはいえ、限界まで短くしたスカートの足を大きく開いて一人で二人分のスペースを占領し、胸元もだらしなく、赤い口紅も鮮やかで、大声で話しながらポテチを貪り食っているのでした。自分が親だったら絶対に通わせたくない学校ですね。どこの学校か思わずスマホで検索してしまいました。

あるとき郊外型ショッピングモールを歩いていると、向こうから近くの大学付属中の制服姿の女子生徒たちが集団で歩いてきます。ちょうど下校時刻なのでしょう。横に大きくひろがり他の通行人の迷惑も顧みず、スマホを鏡がわりにして歩きながら化粧に余念がありません。中高生の制服姿の化粧は「みっともない」というのが私の価値観です。「みっともない」の語源は「見とうもない」、つまり「見たくもない」ということです。まさに「見たくもない」姿です。学校帰りに化粧するという意図がよくわかりません。家に帰るのでないとしたら、まさか塾ではないでしょうから、遊びにでも行くのでしょうか、化粧して。

電車に乗っていたところ、沿線の複数の学校の生徒たちがいます。グローバルが売りで最近人気のある共学校の制服姿女子生徒たちは、ドア付近に集団でかたまり、大きなリュックを背負ったり足元に置いたまま、スマホに皆夢中です。乗降客が迷惑そうに睨んでいるのにも気づきもしません。その近くで、明るい髪色にそめて私服の女子生徒はあの学校ですね。前に回したリュックの上に器用に参考書を広げて立ったたまま勉強しています。校則が厳しい女子校の生徒が数名、車内でスカートをたくし上げています。腰のところで何重にも折り込んで短くしているのですね。夏なのにニットのベストを着ているのは、スカートのウェスト部分を隠すためなのでしょう。おそらく学校ではスカート丈が厳しく指導されているので、その監視の目がないところでの所業です。

自由でグローバルな校風で知られる共学人気校があります。あるとき「高校生模擬国連大会」(渋谷の国連大学が会場でした)を見に行ったところ、全国から「真剣な目」をしたまじめそうな高校生が終結しています。みな、この日本大会でトップとなり、ニューヨークの世界大会を目指しているのです。学校毎にチームをつくり、英語でディベートするこの大会は、何度も足を運びましたが、高校生たちの様子が清々しく、「まだまだ日本の高校生は捨てたものじゃない」気にさせられます。2階席で私がそうした思いに浸っていたところ、外人教師に引率された高校生の集団がやってきました。この高校は模擬国連大会優勝の常連校で、学校内にいくつものチームが競って選ばれたチームが本選に進む、そうした学校です。おそらく先輩たちの勇姿を応援&見学に来たのでしょう。英語で会話する様子から、全員が帰国生であることがわかります。そしてその子たちが他の学校の生徒たちを貶すその会話が聞くに堪えないものだったのです。英語だから周囲にはわからないとでも思ったのでしょうか、その場にいる私など気にせず、口汚い単語が飛び交っています。もちろん教師は一切注意などしません。これは、私の考える「自由」でも「グローバル」でもありません。他者をリスペクトできない生徒を育てる学校、というのが私の感想です。

こんな光景は、いくらでも気づくことができます。

もちろん、ごく一部の生徒たちの様子をもって学校全体を語ることの愚は百も承知です。だからこそ、何度も足を運んで生徒の様子を見てほしいのです。

志望校があり、そこの「厳しさ/緩さ」が気になるのなら、まずは足を運んでみて、自分の目で確認することをお勧めします。

(私は昭和の価値観を引きずる人間なので、男女問わず中高生の「だらしなさ」は嫌いです。そもそも中高生は勉強が本分のはず。もっともそれを卒業生に言ったところ、「古っ!」の一言で一刀両断されました)

 

校則と偏差値の関係

批判を覚悟で言うと、校則の厳しさと偏差値には相関関係があります。高偏差値の学校ほど校則が緩く(無く)、そうでない学校ほど厳しいのです。

偏差値というよりは、その学校に合格するための努力値の差、と言い換えてもよいでしょう。まじめに努力し、親もそれを支援する家庭環境でないとなかなか合格が難しい、そうした学校は概して校則も緩い(無い)ですし、だからといって生徒たちは「乱れて」も「崩れて」もいません。髪色が「アレ」だとしても、実は真面目に塾に通っていたりもするのです。

学力レベルが高くない学校ほど「厳しい」印象がありますね。生徒をルールで縛らないと、問題行動を起こしたり、あるいは大学実績が低迷するので、補習・宿題などでがんじがらめにし、「遊び」の要素をなるべく排除するのでしょう。

しかし子供たちはいくらでも抜け道を見つけますので、うまくいくかどうかはわかりません。

もっとも、低偏差値で定員割れに近い学校なのに、生徒たちはまじめで雰囲気の良い学校もありますし、頭が良い子が集まっているはずなのに、生徒の行動が「?」な学校もあるのは承知しています。あくまでも私の偏見にもとづく意見にすぎません。

 

こうした傾向に反するのが、大学付属です。

大学付属は近年ますます人気で、偏差値も高くなってきました。

しかし、そうした「高偏差値」の人気校の生徒たちがまじめに勉強を継続しているかというと、そうもいえません。全員が付属の大学に進学できるとすると、遊ばずに勉強しようとするブレーキが働かないのです。この年代は周囲にも影響を受けやすいですから。その中でも自分で努力して希望の難関学部に進学する生徒は立派です。

もっとも、最近は傾向が変化しつつあります。

少子化の中の「青田買い」目的で、大学が私立中高を「附属化」「系列化」するケースが増えています。しかし、あまりに低学力の生徒を大学も受け入れたくはないので、一定水準の学力を求めるのです。そのため、中高が生徒にそうとう勉強をやらせる、そういう学校もあります。