
麻布と海城、成り立ちも校風もまるで違う学校ですが、併願する生徒が多い学校でもあります。
今回は国語の入試問題を比較します。
併願校
麻布・・・試験日:2/1
海城・・・試験日:2/1&2/3
1日に麻布を受けた生徒が3日の志望校として受験するケースが多いのです。しかも海城は2回入試とも募集定員が145名ずつで同じですから。
3日の他の選択肢としては、筑駒・早稲田②・慶応中等部・筑附・浅野といったあたりが併願校として名前がよくあがります。ただし、「進学校」という観点からは慶応中等部は外れるでしょうし、そもそも大学付属希望なら1日は慶応普通部か早稲田実業あたりを受けているでしょう。筑駒を併願する子も多いのですが、麻布ー筑駒、というラインナップの受験はなかなか勇気が必要です。緻密な漏れの無い得点力が必要な筑駒と、思考力・記述力で勝負する麻布の相性が悪いこともあります。また、筑附は募集定員が少ない(男女合わせて80名)ことと、共学であることから麻布の併願校としてはあまり聞きません。神奈川エリアの受験生には浅野が人気ですね。
ただし、麻布と海城はだいぶ雰囲気が異なる学校だと思います。
1891年の「海軍予備校」をルーツとする海城と、1895年創立の麻布は、生まれた年代は同じくらいですが、設立目的がまるで異なります。
海城もリベラルでグローバルが特徴とされていますが、やはり「規律」が根底にあります。それに対し、麻布は「自由」です。この麻布の自由は筋金入りで、過去に生徒たちが学園紛争により校長代行を放逐したことは有名です。
国語の入試問題
麻布
物語文1本勝負です。多くの学校は、物語文1つ、説明文1つで構成するのですが、この学校は物語文しか出題しません。もちろんだからといって来年度入試で説明文が使われる可能性はゼロではありませんので、受験生はどちらの対策も立てる必要があります。
もう一つの特徴は、記述問題の多さです。記号選択問題も少しは出ますが、ほとんどが記述問題となっています。麻布といえば思考力と記述力が4科目の特徴ですから、ここは驚くに値しません。
そして、素材選びにも特徴があります。文章が「平易」なのです。小学生にも無理なく読解できるであろうレベルの小説がとりあげられています。ただし文章量は長めですので時間に余裕はないでしょう。
設問の特徴としては、一つ一つの問に「考えながら」答えて記述していくと、その「考えたこと」が後の問のヒントになっていく、そうした構成があげられます。
いわばフルコースの料理を一皿ずつ片付けて最後にメインディッシュに辿りつくようなイメージでしょうか。
したがって、途中の問を大切にしないと、最後の記述に苦戦します。「これは飛ばして後回し」が通用しない問題なのです。
海城
海城も麻布と同様「思考力・記述力」を重視した学校と思われています。とくに社会科はほぼ記述問題だけですので。
しかし、国語に関しては真逆です。記述も出しますが、むしろ記号選択がメインなのです。
しかもこの記号選択が曲者です。
実は、問題を作成する立場からすると、国語の記号選択問題は作りづらいのです。正しい選択肢を用意するとしても、それがすぐに正解とわかるようでは入試になりません。かといって微妙な線をつくと、正解すら「不正解」に見えてしまいます。さらに、間違いの選択肢、いわゆる「ダミー」の選択肢の作成も大変です。こちらも、すぐに間違っていることがわかる選択肢では入試になりませんから、やはり「微妙」なラインを攻めるのですが、このあたりに出題者のセンスが問われることになります。
多くの学校の入試問題を見てきましたが、あきらかに出題ミスを疑いたくなるような選択肢などいくらでもありました。
それが原因かどうか、学校によっては模範解答を公開していません。それがポリシーなのかもしれませんが、私はひそかに「解答に自信がない」「解答のミスを指摘されても論破できる自信がない」のが理由ではと疑っています(もちろん私の勝手な思い込みにすぎません)
しかし、海城は攻めています。国語の先生がはっきりとおっしゃっています。
「選択肢を見ただけでは間違っているとは判断できないように工夫している。」
たしかに解いてみると、大人でも間違えそうになる怪しい選択肢が必ずといっていいほど仕込まれているのです。
したがって、解くときに、問題本文を読んで内容を理解して、それから設問「だけを」見て選択肢を選ぶと失敗します。常に本文の内容を参照しながら解かなければなりません。
さらに素材選び、とくに物語文の素材にもこだわりが感じられます。
一般に入試には小中高生対象とした青春小説、しかも最新年度のものが使われる場合が多いのです。
過去に何度も多くの学校で出題されたような文章は使いづらい、ということなのでしょう。例えば2027年の入試なら、2025年の後半から2026年の前半に世に出たような文章が好まれます。そのため、同じ年度の多くの学校でネタが被ることが多いのです。
しかし海城は、「他の学校と被らない」ことを狙っています。それは逆にいうと、他の学校なら選ばないような文章を好んで取り上げることを意味します。
主人公の少年が、何かをきっかけとして成長する、という「ありきたり」の展開が嫌いなようですね。
対策
海城の読解対策は、ひたすら論理で攻めるのが正解です。記号選択問題はそれしかないのです。正しい選択肢は、なぜそれが正しいといえるのか、誤った選択肢は、どうしてそれが誤りといえるのか、説明できるまでにならなければなりません。
麻布については、登場人物の心のひだまで読み取るような感性が求められます。こちらは読書量が勝負を分けると思います。小学生といえども、どれだけ読書をしてきたか、どれだけ感性を磨いてきたのか、そこが麻布の出題ポイントです。
そういえば、2025年の社会科では、読書と情報取得の違いについての記述問題が出題されていました。