
中学受験は親の並走が必須。
よくそう聞きますね。
私も何度も同様のことをお話してきました。
しかし、ふと考えてしまうこともあるでしょう。
「いったいいつまで並走すれば?」
小学生は総合的判断ができない
まず前提として、「小学生は自分で総合的に判断して行動できない」と考えてください。
例として、食事の支度を考えます。
冷蔵庫にある食材、家にある調味料、最近食べた物、家族の好み、かけられる時間と予算、市場の価格動向、こうしたことを瞬時に把握し総合的に判断して、「今日の夕食は〇〇を作ろう」と考え、実践する。考えてみれば、毎日すごいミッションをこなしていいるのですね。さらに栄養バランスから明日のお弁当にどう活用するのかまで考えているのですから、まさに神業?です。
私もかなり料理は得意ですが、どうしても「あれを作ろう!」と思い立ってから買い物をするので、食材が余ることが多いのです。あるときは「ボルシチ!」となってビーツを探し回ったことがありました。余ったビーツの使い道に往生したのを覚えています。
みなさんがこうした料理の達人の域に達したのはいつ頃でしょうか?
おそらくは、「家庭を持ってからいつのまにか」の方が多いと思います。
さすがに子どものころからそうしたスキルを持っている方はほとんどいないでしょう。
小学生にとって勉強も同じ状態です。
来週のテスト、来月の公開模試、〇年後の受験、そうした「未来」に備えて、今なにをどれだけやるべきなのか。自分の弱点、手元にある教材の種類、優先順位、自分の能力やかけられる時間、そうしたことを瞬時に把握し総合的に判断して、「だから今はこれを2時間やろう」と考え、実践する。これができません。
小学生は自らを律することができない
たとえ「やりたくない」「嫌い」なことであっても、必要とあらば我慢して取り組む。これが大人です。(もっとも私は偉そうに語れませんが)
しかし小学生にこれを求めるのは酷というものです。
夜までにこの宿題を片付けておかなければ、親に怒られ、明日先生に叱られる。それがわかっているのに、やらない(やれない)ものなのです。
刹那を生きるとでもいいましょうか。
あと1時間で夕飯なのに、今食べたいからお菓子を食べる。その結果夕飯が食べられない。そんなことはよくありますよね。
周囲の支えが必須
自律できず、総合的な判断もできない子どもを、「正しい」道へと導くのは周囲の大人の務めです。
ただでさえ「難しい」ことを学ぶ中学受験勉強、子どもが一人で勝手に自主的に取り組むことはあり得ません。
そう書くと、「いやいやうちの子はできた!」と言う方もいらっしゃるでしょう。
お子さんは百年に一人の「秀才」か、あるいは幼少期にそうとう厳しくしつけられたのか、どちらかだと思います。
大半の子どもたちは、「言われなければやらない」「言われてもやらない」ものなのです。
それでも、SAPIXで教えていると、私の授業だけは「おもしろくて」「楽しい」から「家でもやる」子がいます。もちろんそれは、子どもが「自主的」に学習に取り組んでいるのではありません。こちらがそう仕向けているのです。それがプロの技というものです。
好きな教科だけは積極的に勉強する子というのはいます。しかし、4科目全てにおいて完全に親の手を離れて自走できる子は、私の35年におよぶ指導経験の中でも、一桁くらいしかいませんでした。
受験まで並走
受験終了までは並走するのが普通です。
ただし並走の仕方は様々です。
ずっと隣で付きっ切りで勉強を教える並走もあれば、隣で親は違う勉強(や仕事)をしながら、子どもの学習状況の把握とアドバイスだけをする並走もあります。
さきほどの料理の例でいえば、材料はそろえてあげるが、実際に作るのは子ども、親は時おり簡単な声かけをするだけ、といったかんじでしょうか。
受験後も並走
実は中学受験後も並走は必要です。
そう聞くと暗い気持ちになるかもしれませんが、それは2か月だけですのでご安心ください。
中受が終わった2月の初めから、中学校がスタートする4月までの2か月間だけ、英語や数学の先取り学習に並走してあげてください。
そのあとは、学校にまかせて親の手から離れます。
そうした日を夢見て、今はお子さんの傍らにいてあげましょう。
※注意
「親は勉強に関わる必要は一切ありません。全て我々がやりますので、おまかせください!」
たまに(よく)こうしたことを言う塾があります。
私はこれを「おまかせ系塾」と名付けました。
私ならこうした「おまかせ系塾」を信用しません。
プロの目からみて?な塾ほどこうしたことを言いがちだということもあります。拘束時間は授業料に反映します。高額な授業料を徴収することが目的という場合も多いのです。仮に誠実な塾だとしても、自分の子どもの未来を、他人である塾に丸投げする勇気は私にはありません。
すべて塾の言いなりにしていたのに、合格できなかった。そんな話などいくらでも聞くのです。
どうか最後までお子さんの手を放さずに導いてあげてください。