元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】逃げる子どもをどこまで追いかける?

夏休みが始まりました。

お子さんはまじめに勉強に取り組んでいるでしょうか?

中学受験における親の役割

よく、「お母さまはお子さんのマネジメントに徹してください」などと塾の説明会で聞きますね。私も同じようなことをたくさん話してきました。

子どもが最大のパフォーマンスを発揮できるようにマネジメントする。とても大切な役割です。

・タイムスケジュールの管理

・体調管理

・成績管理

まずはこの3つが主軸ですね。

そこに、学校情報の収集から志望校の選定まで、親の役割は無限大です。

もちろん両親がそれを分担していかなければなりません。

とはいうものの、お子さんと一番長い時間接する可能性の高い母親の負担が多くなりがちなのも確かです。

 

逃げる子どもの心理

実は、中学受験のための勉強は、将来に役に立つ、基礎教養を身に着けることとイコールです。理科・社会は、中学3年間で学ぶことを先取り学習しています。この基礎知識を持って中学生になるからこそ、より高度な学びに対応できるのです。私立中高一貫校の大学実績が素晴らしいのは、これも大きな要因です。国語についても、小学生で読むレベルではない文章を読解します。文章の読解は、あらゆる学びのベースですから、この時期にこれだけの読解力を身に付けることには大きな意味があるのです。算数についても、直接中学数学につながるものもたくさんありますが(和差算など多元連立一次方程式を解くのと同じです)、算数的思考、つまり論理的な思考トレーニングの良い練習になっています。

しかし、子どもたちにとっては、そんな将来のことなど認識できません。

大人でも、将来のビジョンを描き、それに向けて今を生きることはなかなかできません。みなさんは容易なのかもしれませんが、少なくとも私はできないです。長年この仕事をしていると、1年単位でリセットがかかる癖がついてしまいました。毎年2月を期に、入試が終わり、1年の総決算が明白になり、そして新しい生徒を迎える。これを35年以上もやっていれば、私の脳内カレンダーは、2月を基準に毎年更新されるのも仕方がありません。

まして子供たちは、まだ人生をほんの数年しか経験していないのです。来年など遥か遠い未来、それどころか一か月先もリアルに認識できないのが普通です。

後でかえってきたお母さんに怒られることなどわかっているはずなのに、ついつい一人で家にいると遊んでしまう。アニメ・漫画・YouTube・ゲーム等、誘惑はいくらでもまわりにありますので。

「どうして塾の宿題やっておかなかったの!」

怒られたところで、反省はできません。その瞬間だけは、「しまった! やっておけばよかったよな」と思うかもしれませんが、5分で忘れます。

子どもはそういうものなのです。

仕事の締め切りがせまっているのに、ついつい今やらなくてもよい片付けなど始めてしまう心理とでもいえばよいでしょうか。

 

対処法は2通り

こうした「逃げる子ども」に対処するには、方法は2つしかありません。

(1)監視する

 四六時中子どもを見張るのです。親が見張るのが難しければ、家庭教師でも個別指導でも自習室でも、何ならオンライン自習室というものもあります。とにかく、子どもが逃げ出さないように監視します。

「監視」というと反論がおきそうですね。「見守る」と言い換えましょうか。

弱い子どもの自制心を理解した上で、それに対処するのです。

これは決して悪いことではありません。

「子どもの〇〇〇スイッチはどこですか?」

「いつになったら自主的に取り組むようになるのでしょう?」

よく聞く質問ですが、それは理想、というよりは妄想です。自主的に自らを律して勉強する小学生。私も35年間で数人しか知りません。

やらねばならない勉強なのです。

親が「やらねばならない環境」を整えるのは、当然のことですね。

 

(2)恐怖支配

少々過激な言葉を使ってしまいました。恐怖支配というよりは、躾とよびましょう。

「これをきtんとやらないと後で怒られる」

普通のことですね。すでにみなさんが実践している通りです。

子どもを真剣に叱ることができるのは親だけです。

叱られるのが嫌で勉強する。

それで良いのです。

 

(3)楽しい

これは難しいですね。勉強が楽しいから率先してやる。そうした子も少数ながら存在します。

塾はそうしたことに長けています。子どもたちの競争を煽ったり、あるいは勉強する気にさせるような授業をしたり。

しかし、全ての塾、全ての教師、全ての生徒がそうした環境を実現できるはずもありません。もしそうした教師との出会いがあれば、それは僥倖です。

したがって、対処法にこれは含めません。

 

結局は追い続けるしかない

親の側が疲れ果ててしまって、「もう中受は撤退!」となってしまう方もいるかもしれません。

その決断を否定はできません。

しかし、勉強はやらねばならないものです。中受をしようがしまいが、勉強から逃げることはできません。(中卒で職人を目指すのなら別ですが、職人の世界にも別種の勉強が待っていると思います)

仮に中受を回避し、公立中学進学に切り替えたとしても、勉強は続きます。

お子さんを負い続けるしかないのです。