
20日に、2026麻布中社会の解説授業を行いました。
生徒たちの反応も良好で、やはり麻布志望者は自分の意見を持つ生徒が多くて授業していて楽しいですね。
授業をしながら、あらためて麻布中の社会科入試問題について考えたことを書いてみます。
- 長文を読む
- 問4 奈良時代に瓦屋根が奨励された理由
- 問8 木曽川が水運に利用できなくなった理由
- 問10 高度経済成長期に住宅建設が増えた理由
- 問12 木材チップが森林の生育にもたらす影響
- 問13 森林開発と保護のバランス
- ★告知
長文を読む
多いときには、6000字を超える文字数のリード文を読まされるのが麻布の特徴です。今回は3900字程度でしたから、だいぶ読みやすかったと思います。
また、麻布の大きな特徴は、このリード文が意味を持つということにあります。
大半の学校の社会科のリード文は、あくまでも問いを立てる目的で書かれています。
「・・・・( 1 )天皇によってa中国の都を参考にした本格的な( 2 )京がつくられた。また、bこの時代には・・・・・」
問 空欄(1)(2)に当てはまる語句を漢字で答えなさい。
問 下線部aの当時の中国の国名とその都を答えなさい
問 下線部bの時代の文化として正しいものを全て選びなさい。
例えば、こんなかんじです。
別に文章の内容はどうでもよいのですね。あくまでも問を立てるために書かれています。
しかし、麻布は違います。
リード文に記述のヒントが盛り込まれていますので、きちんと全文を読み理解する必要があるのです。
今回のリード文は、森林とその開発、木材の利用法といったものでした。
麻布の社会科のテーマの特徴として、あまりに政治的であったり時事的なテーマを扱わないということがあげられます。
学校の授業は、そうしたことにもリミットを設けずに突き進んでいるのですが、入試問題ではもっと受験生の年齢を考慮したテーマが選ばれています。
問4 奈良時代に瓦屋根が奨励された理由
これは、生徒にとっても簡単だったようですね。簡単に言うと、「見栄を張る」ですね。超先進大国である中国の隣にあって、とにかく背伸びをしたかったのがこの時代の特徴です。まだまだ瓦屋根を導入するだけの余力はなかったのですが。
ちなみに、瓦葺の長所としては、耐久性や見栄え、そして防火性能があげられますが、何せ重いのです。
1平方メートルあたりの重量はこうなります。
瓦葺(現代)・・・60kg
瓦葺(昔)・・・100kg
杮葺き・・・20kg
檜皮葺・・・20kg
茅葺・・・50kg
意外に茅葺が重いですね。これは、何層にも重ねることによる重量増加です。
杮葺き(薄い木の板を重ね貼り)や檜皮葺(木の皮を貼る)は軽いのが利点です。
そして当時の瓦屋根は、とてつもなく重かったのです。一般的な寺院本堂は200~400㎡くらいの面積ですので、これだけで屋根重量は20t~40tということになります。
この荷重を支えるための柱や構造材には相当な太さの木材が大量に必要となるのです。
問8 木曽川が水運に利用できなくなった理由
意外と難しかったようでした。
木曽川を木材を運ぶために利用できなくなった理由を答える記述問題です。
下流の名古屋など大都市の人口が増え生活が変化したことが原因と問題文にすでに書いてあります。
まず、ダムを書かないといけません。
そして、そのダムが水力発電用のダムであることも書くのです。
1924年に木曽川に作られた大井ダムは、初の本格的な水力発電用ダムでした。
問10 高度経済成長期に住宅建設が増えた理由
都市部への人口流入
〇世帯数の増加・・・核家族化
〇人口増加
・第一次ベビーブーマー(1947~49生)
〇国による「持ち家」政策
・住宅金融公庫
・団地・ニュータウン
・減税
〇所得の向上
〇ライフスタイル変化・・・「マイホーム信仰」
〇地価の高騰・・・「土地神話」
⇒土地取得・住宅建設を急ぐ
〇建て替え需要
・・・戦後の「バラック」から脱却
列挙するとこんなところでしょうか。
ここから、自分で書きやすいものを2つ選んでまとめる記述です。
問12 木材チップが森林の生育にもたらす影響
最後の大物記述の直前に、なかなか「渋い」記述があるのも麻布の特徴です。
そもそも木材チップがわからないと解きづらいですね。
実は木材チップはサイズの規格が決まっているのです。それぞれの用途、ボイラーの仕様によって使うチップのサイズが異なるのですね。
イメージとしては、細目のチョークを半分に折ったくらいと思ってください。鉛筆サイズといってもよいでしょう。
このサイズですから、太い木を必要としません。間伐材で十分です。
間伐は、手間のかかる作業ですが、森林の維持管理には欠かせません。しかしただ捨てられるだけの間伐ではコストが引き合わない。木材チップとしての需要が、間伐を促し、森林保護につながるのです。
問13 森林開発と保護のバランス
これについては、どこまで具体例をあげられるかがポイントでした。
日ごろからアンテナを張り、さまざまな「雑多な」知識を蓄えている生徒が強いのです。
この問題については、生徒の持つ「情報量」が勝負を分けました。
「教養主義」というのも、麻布の社会科が求める資質の一つです。
問題の詳細な分析は以前に書いています。
★告知
7/20からスタートした「学校別過去問対策講座」、8/28まで、麻布・鴎友・海城・女子学院・渋谷渋谷の社会と国語の解説授業を6週にわたって実施します。
6:30~7:20という朝の時間を有効に活用できる講座です。
一話完結のような講座ですので、途中から気になる講座だけの受講ができますので、ご検討ください。