元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】小6から始めて間に合うのか?

中学受験勉強を始める時期については、きちんとした調査はありませんが、塾に通い始めた時期と考えると、いくつかのデータがあります。

以前なら、小4の春に通塾を始めるのが普通でした。しかし、各塾の思惑による「青田買い」が加速し、今では小1~小3での通塾も増えましたね。私の感触では、小3までに4割、小4から6割くらいだと感じています。

もちろんこれは「受験塾へ通い始めた」時期ですので、それまで自宅で中学受験を意識した勉強をさせていた方も多いはずです。

 

しかしそうした中、小5,あるいは小6から中学受験勉強を始めようとする方もいます。過去にご相談を受けたのはこうしたケースでした。

A:海外帰国生・・・急に帰国が決まり、急遽中学受験をすることになった。

B:転居・・・急に東京への転勤が決まり、急遽中学受験をすることになった。

C:子どもが言い出した・・・急に子どもが中学受験をしたいと言い出した。

D:首都圏の受験事情を知った・・・親の意見が変化した

E:いじめ問題や噂により公立中学を回避することにした

 

Aのケースは時々ありますね。なにせ海外赴任・帰国は前触れなく決まることも多く、あらかじめ予定を立てるのが難しいですから。ある方は、パリ在住で東京の中学を受験すべく現地で頑張っていたのですが、そのままロンドンにスライド赴任し、今度は高校受験に切り替えることになりました。また、ある方は、諦めました。海外赴任が多く、何の予定も立てられないので、子どもたちの教育については、「その時できることをやる」しかなかったからです。

 

Bのケースもありますね。中学受験は首都圏や関西圏等の特殊な状況です。それ以外の地域の大半では、地元の公立中学からの高校受験が主流ですから。そのつもりだったのに、急に中学受験をすることになることもあるでしょう。

 

Cについては、おそらく子どもの同級生たちが皆塾に通いはじめ、一緒に遊ぶ仲間が減ることが主因だと思います。あるいは、どうしても一緒の中学には行きたくない場合や、高校受験を回避して好きなサッカーを思い切りやりたい場合などもあるでしょう。

 

Dについては、時代と地域のギャップですね。それまでは地元の公立中学へ進学するつもりだったのに、さまざまな情報を得て意見が変わりました。

 

Eについてもたまにうかがいました。昭和の時代とは異なり、最近の公立中学は「荒れて」いるところは非常に少ないと思いますが、それでもいろいろな生徒がいることは事実です。

何年か前のことですが、たまたま近所の公立中学校の卒業式帰りの生徒たちと遭遇したことがあります。普通の住宅地の中学校で、とくに学校が荒れているという噂を聞いたこともなく、まあごく普通の中学生たちばかりという印象でした。しかしその時遭遇した男子生徒3人組の姿に目が点になったのです。

まさにこのイラスト通りです。学ランの裾は短く、地下足袋にゲートルを巻いていました。手には卒業証書入れ。

どういうファッションセンスなのかはわかりませんが、漫画の世界って本当にあるのですね。それとも何かのコスプレだったのかな?

 

小6からでも間に合うのか?

 

結論から言います。

間に合うわけがありません。

ただし、「どれくらいのレベル」になら間に合うのか? という質問なら答は変わります。

〇それまでの勉強の質と量

〇目指す志望校のレベル

この二つによって、「間に合う」「間に合わない」は大きく変わります。

 

私事で恐縮ですが、私は大人になってからピアノを習い始めました。

習い始めて数か月後に「発表会に出てみない?」と言われて、思い切り首を音がするほど横に振ったのですが、結局は出る羽目になり、ショパンのワルツ、たぶん3番を弾いたはずです。もちろんゼロから始めて数か月で弾けるわけはないのですが、それまで完全に自己流でピアノには触っていたので何とかなりました。

もし本当にゼロから習い始めたとしても、数か月で弾ける曲はありますが、革命のエチュードは不可能です。

革命のエチュード、格好いい曲ですよね。いつか弾いてみたいと思って何度かチャレンジしてはみたのですが、全く歯が立ちません。基礎からきちんと時間をかけて積み上げないと到達できない山はあるのです。

 

中学受験についても、全くのゼロから1年で受験するのか、それとも自宅学習をしていたのかによって大きく変わります。

また、どのレベルの学校を目指すのか、ここも重要ですね。

ゼロから1年で開成中に合格するのは不可能ですが、間に合う学校もあります。

理社を捨てて算国の入試、あるいは単科入試の学校を受けるという手もありますし、推薦型入試を実施する学校もあります。「思考力入試」と称して、変則的な入試を行う学校もあります。例えば、登山靴・スニーカー・ビーチサンダル、3つのイラストを見て、「登山に適している順を理由とともに答えなさい」などといった問題もあるのです。

 

一般的傾向としては、難関校&大学実績を伸ばしたい学校ほどオーソドックスな4科目入試を実施し、とにかく生徒数を確保したい学校ほど変則的な入試となるようですね。

 

いずれにしても、「間に合う」「間に合わない」を論ずるよりも、「今から間に合う」ためにはどれくらいの努力が必要か、そしてどこまで到達できるのかを考えるべきだと思います。

 

ただし、どんな学校を目指すにしても、「間に合う」ために必要な絶対条件が1つだけあります。

それは、「日本語運用能力」がきちんとしていること、です。

「基本的な国語力」と言ってもよいでしょう。

この力を身に着けるのには時間がかかります。幼児期からの生活や習慣、コミュニケーションの量や質が大切だからです。

 

したがって、冒頭の質問の答としては、

「国語力(日本語運用能力)がついていれば間に合う」ということになるでしょう。

 

★小6受験生対象に、「過去問の正しい取り組み方」についての動画を公開しています。

先月実施したオンラインセミナーの圧縮バージョンを再録したものです。

ぜひご覧になってみてください。

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