
今回は、実例をご紹介します。
タロウ君(仮称)の場合です。
家庭の方針
タロウ君の両親は、どちらも中学受験経験者です。実はその両親、つまりタロウ君の祖父母たちも中学受験経験者でした。タロウ君の母親の友人にも、中高時代からの友人や、中学受験塾時代からつきあいのある「塾友」もいます。
こうした環境でしたので、タロウ君が中学受験をするのは当たり前、という環境でした。
ただし、「ぜったい俺の母校に!」という思いは父親にはありません。「何が何でも医学部!」という思いもありません。息子が将来どのような道に進むとしても、役立つ学力や教養を身に着けることを考えていたのです。
したがって、学校選びについても、先入観を持たずにフラットな気持ちで臨みました。まずは学校説明会に足を運び、先生方の思いに耳を傾ける、そうした学校選びだったのです。
習い事としては、運動系・音楽系・文化系の3種類をやらせていましたが、最終的には音楽系の習い事だけにしぼりました。本人も嫌がらずに練習していましたので、音楽系だけを週1回続けました。
小学校入学前
小学校受験は全く考えていなかったので、ごく普通の幼稚園生活を送ります。ただし、「本が好きになる」子にしたい、という思いはあったのです。読み聞かせについてはまったくやりませんでした。子どもが自分から本を開けるようにしたかったからです。そのために、言葉の取得は早めにすすめました。
まずは、こんな絵本から入ります。
この本は、お勧めです。
なかなかに味のあるイラストとともに、あらゆることばが載っているのです。
「このページから、はしっている人を探そう」
であるとか、
「このページの絵をつかって、物語をつくってみよう」
といった遊びをしたそうです。
この本は全10巻です。
全部そろえなくても良いと思いますが、1冊手に入れてみると、なかなかに楽しく遊べます。
小学校1年~2年
小学生から、「勉強」を始めます。
そのために、塾の通信教育に入会することにしました。
選ぶにあたっては条件がありました。
・タブレットは使わない
・変なキャラクターは使われていない
・中学受験の先取り色が弱い
この3点を考慮して選びました。
選んだ通信教育は、周囲に誰一人使った人がいないものでしたが、古色蒼然とした古典的な紙ベースである点が気に入ったのです。
ただし、そのままの学年のものでは易しすぎたので、1学年上げて、2年生用のものから始めました。
小学3年生
まだ塾には行きません。
市販の教材を使って、父親が教えます。
土日の2日間、これが「父親塾」の開講日です。
算数については、基本問題を丁寧に解くことを重視します。
国語については、漢字・語句といった知識をきちんと身に着けることを重視します。
理科・社会については、暗記することより理解することを重視します。
小学4年生
はじめて受けた大手塾のテストでは良い点がとれました。
4年生から塾に入れる予定だったのですが、ここで迷います。
「すでに1年以上塾で学んでいた子と同等以上の学力がついている。今までの学習の成果が上がっている証拠である。それなら、急いで塾に入れる必要はあるのか?」
結局は、父親塾を継続することになりました。
小学5・6年生
定期的に受ける公開模試の成績は順調です。
ということは、塾に通う必要がないことを意味します。
とくに嫌だったのが、生活時間が乱れることでした。塾に行くことで、どうしても就寝時間が遅くなります。睡眠時間を優先すると、通塾は難しいのです。
しかし、父親塾だけというのも正直不安です。受験情報も欲しいです。
そこで、家から近くて拘束時間の短い集団指導塾を探しました。何とか許容できるところを見つけて、5年生から週2日だけ通うことにします。
父親塾も継続していますが、教材を探す必要がなくなり父親はほっとします。塾の教材を先に解いておけば、子どもの質問にも対応できますので。
6年生になると、入試問題演習を自宅ではじめます。塾でも6年生から授業日数が増えたのですが、それは断りました。基本は塾で学び、入試演習は自宅で、そうしたリズムができあがりました。
入試とその後
受験はうまくいきました。第一志望校にきちんと合格できたのです。
「早くから塾に行けば、もっと効率よくもっと学力がついたのかもしれないが、つまづいたり回り道をしながらの親子の濃密な時間は貴重だった」
これが父親の感想です。
「毎日夕飯を家族で食べられ、早寝早起きの生活で健康でいられたのがよかった」
これは母親の感想です。
受験後の様子を聞くと、完全に親の手を離れ、自分で毎日学校の復習に取り組んでいるとのこと。鉄〇会やS〇G等の塾に通う同級生達を横目に、相変わらずの自宅学習を継続しています。とにかく学校の授業命で、定期試験の成績を上げることが目標なのだそうです。
このご家庭の場合、親子関係が円満だったポイントは3つあります。
1.父親が学習面で最強だった
子どもから見れば、父親は偉大です。なにせ4教科を全て教えてもらい、あらゆる質問に答えてくれる存在なのですから。そんな関係が6年間続きましたので、学習面においては父親を尊敬するしかありません。さからう要素が無いのです。
しかしその子どもの信頼に応える父親の努力はそうとうなものでした。塾に丸投げしてしまえば楽だったはずですが、それは嫌だったのですね。
2.母親が学習に口出ししなかった
中途半端に口出しされることを子どもは一番嫌います。徐々に自我が確立してくる年代ですので、つい感情的に歯向かってしまうのです。しかし、母親は自分の得意分野である生活面に特化しましたので、親子喧嘩する余地は少なかったのです。せいぜい「早くお風呂にはいりなさい!」「食器はじぶんで片付けなさい!」「脱いだ服は洗濯機でしょ!」といった程度でしょうか。
3.生活リズムを崩さなかった
就寝時間を確保したのが大きかったのです。睡眠不足は精神状態を不安定にします。きちんと睡眠時間を確保し、食事時間も規則正しくしたことが結果としてよかったのでしょう。
4.学校選びが柔軟だった
子どもの成績を考えながら、学校名にこだわらずに柔軟に学校選びをしました。受験した学校、結局受けずにすんだ学校等、考えていた志望校全てが、「そこに通うことになったらとても満足」できる学校だったのです。偏差値にこだわりすぎない志望校選びは、子どもを追い詰めずにすみます。
子どもの反抗期について考察した記事です。参考になると思います。


