元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】塾の見分け方 その3 「出ない」といえる勇気

入試問題に関する話題を続けます。

「これは入試に出るから大事ですよ」

塾教師が頻繁に口にするセリフです。

「いいか!ここは入試に出るからな!」

塾の目的は生徒を志望校に合格させることですから、入試に出る大切な知識を強調するのは当たり前です。

そして教師がこういう根拠は、過去に出たことがある、これですね。

さらに何度もいろいろな学校で出たことのある知識・問題については、「入試によくでる」知識・問題として生徒に強調します。

しかし、ここには大きな問題があるのです。

毎年の入試問題に出る知識が積みあがっていくことで、ひらすら「入試に出る」知識が増えていくのです。

これは、生徒にとってはたまったものじゃありません。

しかし、一度でも入試に出た知識は、外すのが怖くて教えるのです。

だから、ひたすら教える知識が増大します。

 

私が新米教師だったころ、とあるベテランの先生がそうした人でした。実によく入試問題をご存じで、「これは〇〇年前に△△中で出たから」と言いながら、膨大な知識プリントを生徒に覚えさせていました。「こんな知識、もう入試には出ないだろ!」と内心思いながらも、反論することのできぬ自分のふがいなさに歯噛みしたものです。その先生に「反論」したくて、とにかくひたすら入試問題を解きまくったのは懐かしいですね。

 

「出る知識」と「大切な知識」

受験勉強の基本は、「入試に出る知識」を効率よく身に着けることには違いないのですが、それ以外にも「理解するためには大切な知識」も大切です。

例えば、「オイルショックは1973と1979」、これは入試に出る知識です。

さらに、「原因は第四次中東戦争とイラン革命」ここまでも覚えたいですね。

入試にはここまでしか出ません。

でも、第四次中東戦争って? そもそも第四次というくらいだから、何度も戦争してたのかな? どことどこが戦争したの? 戦争の原因は? どうしてそれがオイルショックの原因になった? イランって今アメリカが一方的に戦争を仕掛けている国だよね。これってもしかしてイラン革命と何か関係があるの?

気になることを考えだすと無限に出てきますね。

これらの疑問に対して、「そんなもの入試に関係ない!」と切り捨てる教師は最低な教師です。このあたりを詳しく語りだすと何時間あっても足りないのですが、これをぎゅっと圧縮して、10分程度でわかりやすく説明してあげましょう。

これは、「入試には出ないけれど理解するためには大切な知識」ですから。

 

「入試に出ない」と言える勇気

よく「この問題が的中しました!」という塾の宣伝を見かけます。しかしこれは当たり前のことなのです。教えたことが入試に出るように教えていますので。

しかし、入試は変化します。かつては頻出だった知識も、すっかり入試に出なくなることもあるのです。そうした時、教師は悩みます。

「これって、もう何年も入試に出ていないよな。そもそも時代遅れだし。だけど、本当に今後出ないと言い切れるのか? もしこの知識を教えないで、そしてそれが入試に出て、それが原因で生徒が不合格になったとき、責任はとれるのか?」

考えれば考えるほど怖くなってきます。だったら念のため教えておくか。

こうして最初の章にループします。

 

徹底的に入試問題を研究し、社会情勢の変化も考慮し、「もう入試にはこれは出ない!」と言う勇気を持った教師でありたいと思っています。

 

お通いの塾の先生が、「あれも大切、これも入試に出る、全部大事!」タイプの先生なのか、それとも「これは入試には不要。あれももう出ない。だからこれだけきちんと勉強しよう」と言える先生なのか。

とても大切な試金石です。