
入試問題に関する話題を続けます。
「これは入試に出るから大事ですよ」
塾教師が頻繁に口にするセリフです。
「いいか!ここは入試に出るからな!」
塾の目的は生徒を志望校に合格させることですから、入試に出る大切な知識を強調するのは当たり前です。
そして教師がこういう根拠は、過去に出たことがある、これですね。
さらに何度もいろいろな学校で出たことのある知識・問題については、「入試によくでる」知識・問題として生徒に強調します。
しかし、ここには大きな問題があるのです。
毎年の入試問題に出る知識が積みあがっていくことで、ひらすら「入試に出る」知識が増えていくのです。
これは、生徒にとってはたまったものじゃありません。
しかし、一度でも入試に出た知識は、外すのが怖くて教えるのです。
だから、ひたすら教える知識が増大します。
私が新米教師だったころ、とあるベテランの先生がそうした人でした。実によく入試問題をご存じで、「これは〇〇年前に△△中で出たから」と言いながら、膨大な知識プリントを生徒に覚えさせていました。「こんな知識、もう入試には出ないだろ!」と内心思いながらも、反論することのできぬ自分のふがいなさに歯噛みしたものです。その先生に「反論」したくて、とにかくひたすら入試問題を解きまくったのは懐かしいですね。
「出る知識」と「大切な知識」
受験勉強の基本は、「入試に出る知識」を効率よく身に着けることには違いないのですが、それ以外にも「理解するためには大切な知識」も大切です。
例えば、「オイルショックは1973と1979」、これは入試に出る知識です。
さらに、「原因は第四次中東戦争とイラン革命」ここまでも覚えたいですね。
入試にはここまでしか出ません。
でも、第四次中東戦争って? そもそも第四次というくらいだから、何度も戦争してたのかな? どことどこが戦争したの? 戦争の原因は? どうしてそれがオイルショックの原因になった? イランって今アメリカが一方的に戦争を仕掛けている国だよね。これってもしかしてイラン革命と何か関係があるの?
気になることを考えだすと無限に出てきますね。
これらの疑問に対して、「そんなもの入試に関係ない!」と切り捨てる教師は最低な教師です。このあたりを詳しく語りだすと何時間あっても足りないのですが、これをぎゅっと圧縮して、10分程度でわかりやすく説明してあげましょう。
これは、「入試には出ないけれど理解するためには大切な知識」ですから。
「入試に出ない」と言える勇気
よく「この問題が的中しました!」という塾の宣伝を見かけます。しかしこれは当たり前のことなのです。教えたことが入試に出るように教えていますので。
しかし、入試は変化します。かつては頻出だった知識も、すっかり入試に出なくなることもあるのです。そうした時、教師は悩みます。
「これって、もう何年も入試に出ていないよな。そもそも時代遅れだし。だけど、本当に今後出ないと言い切れるのか? もしこの知識を教えないで、そしてそれが入試に出て、それが原因で生徒が不合格になったとき、責任はとれるのか?」
考えれば考えるほど怖くなってきます。だったら念のため教えておくか。
こうして最初の章にループします。
徹底的に入試問題を研究し、社会情勢の変化も考慮し、「もう入試にはこれは出ない!」と言う勇気を持った教師でありたいと思っています。
お通いの塾の先生が、「あれも大切、これも入試に出る、全部大事!」タイプの先生なのか、それとも「これは入試には不要。あれももう出ない。だからこれだけきちんと勉強しよう」と言える先生なのか。
とても大切な試金石です。