
塾の選び方に悩む方も多いですね。
初めての塾選び
転塾の悩み
そこで、私が「ニュートラル」な立場から、良い塾・悪い塾の見分け方を伝授します。
教科力とは?
塾にとっての「教科力」は、最重要な、いわば「生命線」とでもいうべきファクターです。
教科力の無い教師、あり得ません。
この教科力は、いくつかの側面があります。
(1)学力
これはシンプルに、「入試問題が解ける」学力です。
たかが12歳の子どもが解く中学入試問題です。プロなら解けるのが当たり前!ですね。
しかし恐ろしいことに、まともに入試問題も解けない教師が「偉そうに」塾教師を名乗っているから困りものです。
実際に、私が以前SAPIXで教師の中途採用を担当していたころ、他塾で活躍(本人談)し、多くの生徒を最難関校に入れた(本人談)教師が、採用テストで点がとれずに不合格となっていたものです。別に難しいテストではなく、ただ中学入試レベルのテストを解いてもらっただけなのですが。
(2)発展学力
ただ中学入試問題が解けるだけでは仕方がありません。それは、やっとスタートラインにたっただけにすぎません。
その事象の背景、あるいは中高で学ぶ内容、そうした幅広い学力がなければ、授業がモノトーンの面白みのないもので終わってしまいます。
とくに国語・社会・理科については、いかに「幅広い」知識を持っているのかが授業の明暗を分けますね。この幅広い発展学力、教養と呼んでもよいでしょう。
例えば歴史の授業で、テキストに「1192年鎌倉幕府成立」と書いてあったとします。すると生徒から必ずこう指摘されます。
「先生! 鎌倉幕府は本当は1185年にできたんだよね」
まあこれは常識なのですが、それでうろたえてしまうレベルの教師もいるのです。1185年で教えるようになったのは、14年前の教科書改訂からでしたから、それ以前の知識のままupdateしていない教師なのでしょう。教師によって対応は3つに分かれます。
「くだらないこと言うな! テキストのとおりに覚えればいいんだ!」
逆切れ教師、嫌ですね。
「ああ、そういう説もあるけどね。まあ1185年に平家が滅亡したから、それで鎌倉幕府成立っていう場合もあるね。でも、1192年に鎌倉幕府が正式に朝廷から認められたから、そっちが正しいんだよ」
いかにももっともらしいですが、だいぶ怪しい嘘が混じっています。
「そうなの? たしかに1185年には守護・地頭が設置されてるよね。でもそれで幕府って呼べるのかな? ごめん、ちょっと先生にもはっきりとはわからないから、今度調べておくよ」
少したよりないですが、信頼できるのはこの先生です。
この件に関する正解を紹介しておくとこうなります。
実は、「征夷大将軍になる⇒幕府を開く」という考え方は江戸時代のもので、鎌倉時代にはそうした概念はなかったのです。
1180年 源頼朝が鎌倉に侍所を設置して東国支配の拠点とする
(治承4年)に鎌倉の大倉郷に頼朝の邸となる大倉御所が置かれ、また幕府の統治機構の原型ともいうべき侍所が設置されて武家政権の実態が形成されました。
1183年 朝廷が頼朝の東国支配を認める
朝廷は寿永二年十月宣旨(1183年)で頼朝に対し、東国における荘園・公領からの官物・年貢納入を保証させると同時に、頼朝による東国支配権を公認した。
1184年 公文所(政所)と問注所を設置
1185年 守護・地頭を各地に設置
文治の勅許(1185年)では頼朝へ、与えられた諸国への守護・地頭職の設置・任免を許可
1190年 頼朝が右大将になる
(建久元年)頼朝が権大納言兼右近衛大将に任じられ、公卿に列し荘園領主の家政機関たる政所開設の権を得たことで、合法的な統治機構となる
1192年 頼朝が征夷大将軍になる
このように、「鎌倉幕府」は段階を経てできあがっていったのですね。
そこで、「1180年代から徐々に幕府の支配体制ができあがっていった」と教えるのです。
ここにあげた全部の年代を覚える必要はありませんが、1185年と1192年の二つは、頼朝の支配体制の確立の過程として覚える必要があります。
(3)教材作成力
教材を作ることができる教科力がある教師は、多くはありません。これはただたくさんの知識を持っていてもだめなのです。
・入試に必要な知識・・・過去・現在・未来に出題される知識
・理解に必要な知識・・・生徒が理解を深めるために必要な知識
・知識の整理・・・複雑な知識をわかりやすく整理できる力
ここまで備わっていないと教材は作れません。
テスト作成においても必須の力です。
教科力の見極め方
まさか入塾する前に、その塾の先生に教科の質問をするわけにもいきませんね。でも、すでに通っている塾なら簡単です。電話でも面談でも相談すればいいのです。
例えば、「どうして最近は鎌倉時代は1185年からと教えているのですか? 私が習ったころは1192年だったのですが」などと質問すればいいのです。
あるいは、
「日本の農地の土地生産性は世界の中ではどんなレベルなのですか?」
「お米の関税ってどれくらい?」
「アメリカでコシヒカリは作れるのですか?」
「アメリカのお米ってどれくらい安いのですか?」
「京都が原爆投下の候補地だったって本当ですか?」
いくらでもありますね。
少々意地が悪く思えますが、そんなことありません。
たとえ即答できなくても、「すいません、調べさせてください」と言う教師なら信頼に値する教師です。