
中学受験の弊害かもしれない事象を考察します。
「僕は友達と一緒に公立中学に行きたいから受験しない!」
そう言いだす子がたまにいます。
対処に困った母親から相談を受けることがあるのです。
大人たちは、中学受験を経て進学すると、小学校時代の友人と疎遠になることを知っていますが、まさか「どうせ疎遠になるから」とは言えません。
子どもの将来を、小学校の友達と一緒にいたいという理由で変えてしまうことの愚かさを子どもに説くこともできません。
もし親が中受をせずに地元の中学に進学したのなら、小中、さらにもしかして高校まで体験を共有した友人がたくさんいることでしょう。それがわかっているからこそ、子どもに反論できません。
もし親が中学受験を経験していたのなら、「地縁」にもとづく友人が少ない(皆無)でしょう。成人式で、出身中学単位で集まるグループを横目で寂しく見た経験があるかもしれません。
従来は、中学受験をすることは、小学校時代の友人関係をリセットすることとイコールでした。
しかし、SNSの発達が状況を変えたのです。
SNSの先駆けのミクシイがサービスを開始したのが2004年、それから2009年頃まで流行りました。「〇〇小学校〇〇年卒業生」などといったグループが多数あり、大人になってからそこを見たことで小学校時代の同級生たちとの交流が復活した、などという話も聞きます。
Facebookの日本でのサービス開始は2008年、Instagramの開始は2014年です。
そしてLINEがスタートしたのが2011年、翌年から爆発的に普及しました。
ちなみにiPhone 3Gの日本上陸は2008年です。
LINEでつながるのが当たり前になったのが2012年とすると、その当時小6だった子は現在26歳ですね。
つまり、そのあたりの年代を境目に、小学校時代の交友関係が持続するかどうかが変わったと考えてよいでしょう。
卒業生たちに聞いてみると、塾や小学校での友達だった子同士で、互いの文化祭に招待しあったりしているそうです。
もちろん連絡ツールはLINEです。
ただし、中高生の生活の大半が「学校」関連であることを考えると、公立中学→高校受験の世界にいる子とはなかなか世界線が交差しづらいのは確かです。中3になると受験で忙しいだろうからと遠慮し、高校生になってから再び会うようになった、といったあたりが普通でしょう。
冒頭の子どもに対してはどのように説得するでしょうか。
A:あなたの人生なのだから好きにすればいい。別に無理して中学受験をしてもらおうとは思わない
B:高校受験は中学受験よりもっと大変だから。
C:中学受験をすれば、中高でもっとたくさんの「良い」友達と出会えるから
D:小学校時代の友達は長続きするものではない
どれも不正解ですね。
私ならこう話をします。
「その君の『友達』だが、君が同じ公立中学校に来ることを望んでいるのだろうか。君が今までの中学受験のための努力を放棄して一緒に遊ぶことを願っているのだろうか。もしそうならそれは『友達』でもなんでもない。ただの、一緒に遊ぶのが楽しい遊び仲間に過ぎない。本当の『友達』なら、君がどんな中学校に進学しても交流は続く。つまり、君が『友達』と一緒に公立中学に行きたがる理由は、現在のつらい受験勉強から逃げるための口実に他ならない。自分の逃げ口上のために『友達』の名を口にするな」
思い切り正論ですね。
ただし、この「正しい理屈」は小学生には響かないでしょう。
しかし、子ども相手でも、きちんと理を尽くして話をすることがとても大切だと思います。