元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】学校の選び方 その4 ギリギリ合格の学校VS余裕の合格の学校

こんな声を耳にしたことがありませんか?

「ギリギリ(ビリ)で合格しても勉強についていけなくて苦労するだけ。それなら余裕で上位で合格できる学校で自己肯定感を高めながら過ごしたほうがよい」

思わず「なるほど!」とうなずきたくなりますね。

でも、はたしてそうなのでしょうか?

学校の先生の見解

これについては、どの私立中高の先生にうかがっても、みな異口同音にこうおっしゃいます。

「入学時の成績は、卒業時の成績と無関係です。どんな成績であったとしても、進学後の努力が大切なのです」

正論です。

これで結論が出ました。

でも、本当にそうなのでしょうか?

中堅校の場合

例えば、サピックス偏差値50の学校を考えましょう。この学校に進学する生徒の学力層は、45~55と仮定します。

実際には偏差値は目安程度ですのでこんな推論は成り立たないのですが、あくまでも例えですから。

45の子にとってみれば、「無理だと思っていたけれど合格できた!」となりますね。この子が合格時の成績は一番下です。55の子にとってみれば、おそらく60くらいの学校にチャレンジしたけれどうまくいかずに進学した学校です。この子が成績の最上位です。

この程度の差は、さほどのアドバンテージにもディスアドバンテージにもなりません。

学ぶ教科内容が変わるからです。

算数→数学・・・別世界です。算数が得意だったとしても、その後に数学が伸びる保証はどこにもありません。

国語・・・国語力は共通です。より難易度の高い文章へとシフトします。

理科・社会・・・中受の知識を常識として、より高度な、より広範囲の学習に入ります。

英語・・・新規の教科です。中学進学後の頑張りで運命が変わります。

とくに英語・数学という主要教科については、中学に入ってからが勝負です。

 

最難関校の場合

開成・麻布・渋谷幕張・渋谷渋谷・桜蔭・女子学院といった学校の場合なら、サピックス偏差値が60以上の子が進学します。

例えば、58がボーダーだったと仮定します。そうすると58の子が成績最下位ということになりますね。

しかし、サピックス偏差値58というのは、全国の中学受験生の中でも最上位層に相当します。そこに至る努力値も並大抵ではなく、都立高校の入試問題も普通に解ける(英語・数学を除く)レベルです。しかも努力だけではここまで到達できません。「地頭」といわれるものも優れています。

このレベルの子たちですので、中学進学後も努力を継続することで、けっして「落ちこぼれる」ことはありません。

しかし、最難関校が中堅校と違うのは、上位の層の厚さなのです。偏差値70を超えるような「モンスター級」に優秀な生徒も集います。そうした子たちを知ってしまうと、「かなわない」と思ってしまうのでしょう。「やっぱりギリギリ合格ではダメなんだ」と。

しかし、それは間違っています。

比較対象が異なるからです。

こうした最難関校には、普段の勉強をさほどがんばっていないのに定期テストでは高得点をたたきだす子もいます。その反面、自分の能力を過信して努力を怠り、いつのまにか消えていく(高校に上がれなかった)子もいるのです。

結局のところ大事なのは「継続した努力」に他なりません。

井戸の中の自己肯定感

余裕の合格(と思っている)の学校で得られる「自己肯定感」など、まさに井の中の蛙にすぎません。せっかくチャンスがあるのですから、少しでも上を目指し、少しでも刺激的な同級生に囲まれる、その方がはるかにプラスです。

 

「僕の学力では余裕の合格だったね。きっとトップに違いない」と考えて進学する生徒(しかもトップではないでしょう)と、「努力を続けてきたからギリギリ合格できた!」と考える生徒、数年後の伸びはどうなっているのか予想がつきますね。