元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】学校の選び方 その1 学校情報の集め方

昨年自分が書いた記事を見直していて、こんな記事を見つけました。

peter-lws.net

そういえば、学校説明会シーズンになったのですね。

今回は学校選びの第一歩、学校情報の集め方についてまとめます。

想定しているのは、両親とも地方出身で首都圏の中学入試事情が全くわからない、そうしたご家庭です。つまり何も知らないところから考えてみます。

第一歩は「中学受験案内」から

様々な塾から出ています。

(手元にあったのは2年前のものでした)

「2027年度入試用」が、だいたい今ごろ出版されるのです。

 

どれでも同じ、と言いたいのですが、全く違います。

私の一押しは「SAPIX版」です。SAPIXに義理立てするつもりは毛頭ないのですが、いちばん「まじめ」で「見やすい」と思います。

「四谷大塚版」も悪くはないですが、このあたりは好みの問題かと。

その他の塾・出版社のものはお勧めしません。

そのあたりについてはこちらで詳しく書きました。

peter-lws.net

まずは「学校名」「所在地」「レベル」について知らないとその先へは進めませんから。

家から無理なく通学できそうな学校について、リストアップしましょう。

通学時間の目安は、Door-to-doorで1時間以内です。

これを超えると、6年間の通学がつらくなります。

乗り換えの手間、混雑具合(上りか下りか)も大切です。

もちろん、「たとえ1時間半かかってもどうしても通いたい」学校もあるでしょう。

 

次に公式HPをチェック

リストに挙げた学校の公式HPをチェックしてください。

チェックポイントはこんなところです。

〇HPのトップページに何が載せられているのか?

 これは、学校が何を一番大切にしているのかが如実に表れます。

ふわっとした雰囲気重視のトップページもあれば、わかりやすさを優先したもの、あるいは受験生フレンドリーなものまでさまざまです。

〇受験生が知りたい情報が過不足なく載せられているのか?

HPを見るのは、「その学校を検討している受験生」です。必要な情報が得られなければ役に立ちません。受験生に対する学校のスタンスがうかがい知れます。

〇大学実績

 これは重要です。その学校のレベルがあからさまになりますね。学校によってはまともに大学実績を出していない(出せない)学校もあります。

「過去5年で合格した大学」となっていて、大学名が列挙してあるだけの学校もありました。5年前に一人だけ合格した、そんな大学が並べられてあっても何の参考にもなりません。むしろ、「見せられないレベルの実績なんだな」ということがわかります。

また、国公立&有名私学の数字だけ並べて、「その他有名大学多数」と省略している学校もあります。その学校の卒業生で、「有名大学」以外に進学した生徒は「その他」扱いされているのです。そんな学校を私は信用しません。

まるで某塾のチラシのように、下品な色彩で大学実績を誇示している学校もあります。これも子どもを通わせる価値を感じません。学校は「教育機関」であって、「塾・予備校」ではありません。

〇沿革

その学校を、誰がいつどんな思いで設立したのか。これは大切です。それこそが学校のアイデンティティであり、「理念」に他ならないのです。

学校によっては、沿革が載せられていない所もあります。よほど隠したい「黒歴史」でもあるのでしょう。

〇理念・教育方針

これについては、やたらに「英単語」を多用している学校については要注意と私は考えます。例えば「多様性」と書けばいいのに「Diversity」と表記するようなかんじでしょうか。

 

「Find your color, Change your mood.

最新のColor Paletteで、私らしさをUpdateして。リップ1本で、今日のMy StyleをComplete」

 

化粧品の宣伝文句をAIに作らせてみました。さすが最近のAIは、もっともらしい文を考えてくれますね。でも化粧品ならいいのです。これが学校になるとどうでしょう?

おもしろいので、AIに「英単語を多用した」理念を作らせてみました。

 

本校のエデュケーション・フィロソフィー

グローバル・フロンティアを切り拓く、ディスラプティブな次世代リーダーの育成

これからのボラティリティが高く、アンプレディクタブルなVUCA時代において、従来のドメスティックな価値観にコミットし続けることは、リスクでしかありません。本校では、アーリーステージである中高一貫の6年間を通じて、生徒一人ひとりのポテンシャルをマキシマイズし、世界水準のグローバリストへとトランスフォーメーションさせます。

 

ね、胡散臭いでしょ?

でもこんな学校、本当にありそうで怖いです。

 

学校に足を運ぶ

学校に行ってみなければ何もわかりません。説明会・オープンキャンパス等に行きましょう。

〇校長先生のお話

〇担当の先生のお話

これらから、学校が何を大切にしているのかがよくわかります。

また、校長先生から感じられるお人柄も重要です。

〇生徒の様子

学校によっては、平日開催の説明会の後に授業見学させてくれるところや、土曜開催の場合はクラブ活動の様子などを見せていただける場合もあります。また、生徒が学校を案内してくれたり学校の様子を語る機会があったりもします。

〇校内の掲示物

実は私はいつもここに注目しています。グローバル化を標榜しているとある人気校にお邪魔したことがあります。教室内に生徒が作成した「All English」の制作物がありました。ただし近寄って良く内容を読んでみると、とても幼稚な内容でがっかりしたのです。うわべだけ見栄えをよくしても、中身が伴っていないということでしょう。理系教育に力を入れているある学校では、西表島まで研修旅行に行った報告が張り出されていました。しかし高校生とは思えぬレベルで、これもがっかりしたものです。

※注意

 最近の私立は、どこも学校の設備が素敵です。日の差し込むカフェテリアやライブラリー、生徒が集うスペースなど、あこがれてしまいます。しかし学校の価値はそんなところにありません。お金をかければ何とでもなる施設に目を奪われないようにしましょう。

 

大規模合同説明会

東京国際フォーラムや、パシフィコ横浜といった「大箱」を使った合同説明会形式のイベントがいくつも開催されています。

数十校から百数十校もの学校が一同に会すビッグイベントです。

ここに行けば、いくつもの学校の情報が気軽に手に入る、と「お得」なかんじが満載ですね。

しかし、行く意味はありません。

学校ごとに小さなブース(机1本、先生二名、椅子二つ程度)がずらりと並び、気になる学校のところに行っていろいろ話が聞ける、というしつらえですが、人気校は混んでいてろくに相談できませんし、閑古鳥が鳴いている学校の話を聞いてもどうなんだろう、と思いますね。

そもそも、騒がしくて、とても落ち着いてお話を聞ける雰囲気ではないのです。しかも、「気軽に立ち寄れる」という設えは、「たいして真剣に学校を探していない」層まで惹きつけます。

足を運ぶだけ時間の無駄というものです。

 

塾主宰の説明会

 日能研やSAPIX等大手の塾ではさかんです。

ただし、特別な話が披露されるわけではありません。学校主催の説明会と内容は同じです。会場が学校なら行く価値はありますが、どこかのホールや塾内でやるものなら、やはり参加する価値はありません。

せっかくの説明会の機会は、ぜひ学校に足を運ぶべきだからです。

これは、すでにその学校に何度も足を運んでいて、今更学校の様子を見る必要がない方向けです。しかしそうした方ならそもそも説明会も不要ですね。

 

信頼してはならない情報源

 独断と偏見で、いくつか取り上げます。

◆ママ友情報

 信頼する理由がありません。その友人が信頼できないのではなく、「客観性」を欠く情報だからです。たとえ一足早く憧れの学校に子どもを進学させた方だとしても、たった1名か2名程度の経験しかありませんので、情報を一般化できないのです。

あくまでも「そうした意見もあるのね」程度にしか聞くべきではないですね。

◆ネット情報

 これが最も怪しいのです。そもそもどこの誰が何を目的として情報を上げているのかを考えてみましょう。

※このブログもネット情報の一つにすぎません。いちおう私としては、自分の名前と看板を出して仕事をしていますので、信頼していただける情報を心がけてはいますが、私の主観にすぎないのは確かです。それでも、ブログを読んでいただければ、きっと信頼していただけると信じて書き続けています。

◆雑誌情報

進学情報誌として私が信頼しているのは、「進学レーダー」と「さぴあ」の2誌だけです。「進学レーダー」はかつては日能研内部生のためのものでしたが、今は書店で市販されています。「さぴあ」は残念ながら内部生限定誌です。

その他の、たとえば「東洋経済」や「日経」「朝日新聞社」あたりが出している情報誌もありますが、参考にはなりません。

まじめに「中学受験」に向き合っている人たちが作っているのではないからです。そもそも社内に中学受験の専門家はいません。

 

結局のところ、学校情報については、自分の目で確認し、直接学校から得た情報だけが信じられる情報ということになるでしょう。