
喫緊の問題です。
子どもたちが「危ない!」のです。
緊急事態
知覚が変化する
情緒が不安定になりイライラしたり不安になる
集中力がなくなる
妄想がはげしくなる
知的機能が低下し物を考えられなくなる
何もやる気がしなくなる
社会生活に適応できなくなる
思考能力および問題解決能力が低下する
これを見てどう思われますか。
「確かに! うちの子にあてはまるものがある」
「やっぱりスマホの使い過ぎは良くないのね」
そう思われるでしょうか。
実はこれは、スマホではなく「大麻」の及ぼす影響です。
厚生労働省および警察庁のHPから引用しました。
スマホ依存は、違法薬物中毒に等しい害悪がある。
まずそう認識することからはじめないといけないのです。
愛知県豊明市の挑戦
2025年10月1日に「豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」が施行されました。話題になったのでご記憶の方も多いでしょう。
一部引用します。
豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例
スマートフォン、パソコン、タブレット等は便利な機器であり、今や生活に欠かせない必需品です。一方で、ゲーム、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、動画の視聴や配信等の過度な使用により、睡眠時間の減少による生活リズムの乱れ等、健康面や社会生活で影響を及ぼすほか、家族間の対話時間が短くなる等、親子関係や家庭環境にも影響を与えるなど、特に心身が成長期にある子どもにとっては、乳幼児期も含め健全な育成を阻害してしまうおそれがあります。ここに、スマートフォン等の過剰使用が引き起こしかねない身体面、精神面及び生活面への悪影響に関する対策を総合的に推進するため、この条例を制定します。
極めて妥当というか当然の内容ですね。
しかしこうして言語化することが大切だと思います。
条例全体はそう長くはないのですが、議論を呼んだ部分を紹介します。
(スマートフォン等の適正使用の推進に向けた基本目標)
第4条 余暇時間における電話や生活に必要な機能の使用以外でのスマートフォン等の使用(以下「余暇時間におけるスマートフォン等の使用」という。)について、1日当たり2時間以内を目安とするよう、市、保護者、学校等及び専門職等が連携して促す。
2 子どもにとって、十分な睡眠時間の確保は、心身の成長に不可欠であることに鑑み、余暇時間におけるスマートフォン等の使用について、小学生以下は午後9時、中学生以上は午後10時を目安とし、以降の時間帯の使用を控えるよう、市、保護者、学校等及び専門職等が連携して促す。
3 余暇時間におけるスマートフォン等の使用については、子どもだけでなく、保護者も含めた各自の目安となる使用時間や時間帯等、家庭でのルールを決めるよう、市、学校等及び専門職等が連携して促す。
この条例が画期的だったのは、具体的な数値をあげたところです。
1日2時間以内
さらに、夜の使用についても、小学生は午後9時まで、中学生以上は午後10時までと明記しました。
この条例が報道されると、世論は賑わいましたね。にぎわうというか、どちらかというと「炎上」しました。
・そんなの各自の勝手だろ!
・市が決めるな!
・各家庭の裁量で制限すればいいだけ
まあだいたいこんな論調だったと思います。
報道によると、小浮正典市長は炎上覚悟だったのだそうです。
「炎上するだろうとは思っていました。でも炎上しないと議論にならない。だからスクリーン時間の目安は必ず提示すると決めました」
条例をよく読むと、2時間以内の使用制限を求めた相手は子どもだけではありません。保護者を含む大人たちにも節制を求めたところが画期的だったのです。
私はこの条例を支持します。市が条例を定めねばならぬほどの緊急事態であると認識しているからです。
ちなみに「豊明市」は「とよあけ」と読みます。市町村の読み方って、意外とフリガナが表記されていないのです。公式HPを調べても書いていないので、私はいつも英語表記をチェックします。そこに住んでいる人にとっては常識(それはそうだ!)だからなのでしょう。しかしよそ者にとっては読めないのは困りますね。
豊明市は豊田市の西に10キロほど離れたところにある市です。名古屋市との市境あたりに桶狭間古戦場があります。人口は6.9万人ほどで、名古屋圏の郊外住宅都市ですね。
教育のデジタル化の功罪
教科書のデジタル化やGIGAスクール構想などにより、教育現場にデジタル機器が浸透したことによる影響(とくに悪影響)については、先行研究が多数ありますので、私ごときは論評すべき立場にはありません。
しかし、個人的な意見としては、あまりにも「生煮え」すぎると思っています。
「本当に必要だから」導入しているとは思えないのです。そもそも現場の先生方がそれを求めていたのかが疑問です。「導入実績」を優先させたのはあきらかですね。
そして導入された機器は、Chromebookが約60%、iPadが 約25%、残りはWindowsPCだったのです。
クロームブックについては私自身は使ったことがないので何ともいえませんが、おそらく導入理由としては、クラウドで管理しやすいことと、価格が安いことが理由でしょう。iPadについては、私も複数台愛用していますが、持ち歩きのしやすさと一台ですべてが完結するところが好まれたのでしょうね。価格も安い機種がありますので。
しかし、今や家にPCが1台も無い家庭は無いと思うのです。国(地方公共団体)が配る必要性は無いと思います。もしPCを買えないご家庭ならば、そこを行政が支援しましょう。
※ここまで書いてきて、ふと気になったのでPC普及率について確認しました。
すると、66%~96%までの数字が出てきて、どうにもはっきりわかりません。もしかしてタブレットPCをPCに含めるかどうかで数字が乱れているのでしょう。小学生を対象とした「家にPCがありますか?」という調査では96%となっていたので、子育て世代にしぼれば、ほぼ全家庭にスマホ以外のPCがあるとみなしてよいのでしょう。
ただ、スマホの大画面化・高性能化がすすみ、今やプロの作家でスマホのフリック入力で小説を書く(信じられない!)人がいる時代です。今後は家庭のPC(デスクトップ&ラップトップ)所持率は下がるのでしょうね。
本気で教育のDXを推進するのなら、教室に生徒の人数分のデスクトップPCかノートPCを用意しておけばよいと思います。家庭のPCとクラウド連携すればよいですね。
そうすることで持ち歩きを考えた中途半端なPCを使わなくてすみますし、家庭での管理もしやすいでしょう。
デジタル化を推進していた北欧では紙の教科書に回帰しているとか、PISAのスコアが日本だけ低下を免れたのはデジタル化が遅れたおかげであるとか、そうした意見も見かけます。おそらくそうなのでしょう。とくに教科書については、紙の教科書で用が足りているのに、デジタル化する意義が私にはわかりません。すくなくとも現場ではそんなものは求められていないと思うのです。
話題はかわりますが、ふと思い出したことがあります。
1950年代から1960年代にかけて、「三種の神器」とよばれる家電がありました。
電気洗濯機・電気冷蔵庫・電気掃除機 の3つです。これらのうち、もっともはやく普及したものは何だかわかりますか?

一目瞭然ですね。
例えば1967年を見ると、電気洗濯機が80%、電気冷蔵庫が70%なのに対して、電気掃除機は47%の普及率です。
今の私たちからすれば考えられないですが、これには理由があります。
それは、「家庭での必要性」の度合いによるのです。
電気洗濯機が無い時代の洗濯は主婦にとって地獄でした。瞬間湯沸かし器の普及率が5割を超えたのは1972年です。つまりそれまでは真冬に冷水で手洗いしていたのです。1952年に登場した洗濯機は、脱水機すらついていない(正確にはゴムローラーで挟んで絞る機構があった)ものでしたが、当時の高卒初任給の6.8倍の価格でした。
それでも「欲しい!」家電だったのです。
電気冷蔵庫の普及が遅いのが意外ですが、これは氷式冷蔵庫がすでに家庭にあったことに加え、主婦が夕飯の買い物を毎日するのが普通というライフスタイルによるものでしょう。
そして掃除機は、旧来の日本家屋では箒で外に掃き出す掃除スタイルでしたから不要だったのですね。いわゆる「団地スタイル」の住居が掃除機の必要性を生みました。
こうして何かが本当に普及するためには「需要」が存在しなければなりません。供給サイドの思惑だけでは普及しないのは当然です。
教育現場でデジタル機器がどこまで本当に求められているのか、その議論が不足していると思います。
スマホと教育DXは全く別の問題
スマホでは勉強はできません。
「隙間時間に英語アプリで勉強」する方も多いでしょうけれど、従来だって電車内で単語帳をめくる学生など多数みかけたものです。無理やりスマホでアプリ化する必要性はないのです。
学校ではスマホの使用は禁止or制限されているところがほとんどですので、使うことはありません。家庭では調べものならPCを使ったほうがはるかに使いやすいですし、勉強にもスマホは使いません。学校からの連絡や課題提出でクラウドを使うにしてもスマホは不要です。通学の行き帰りの時間については、本を読みましょう。単語帳でもよいですね。
そう考えると、スマホの必要性はこの2点に絞られます。
・コミュニケーションの道具
・遊び・娯楽の道具
コミュニケーション・ツールとしてはスマホは他では代替ができない能力がありますね。PCのメールだと即時性が若干欠けますし、持ち歩きはほぼできませんから。LINEもメールも、スマホの得意分野です。もちろん電話や画像通話も。
そう考えると、スマホ依存症の人が時間をとられているのはこれらなのでしょう。
・過剰なコミュニケーション(ライン・インスタ・Threads・X等)
・ゲーム
・YouTube・TicTok・音楽そのほかの暇つぶし系
依存症ではない私には他に思いつかないのですが、他にまだ何かありますか?
大人から範を示す
簡単なことです。
本当に必要な時以外、スマホを手に取らなければよいだけです。
たったそれだけで、子どもに対して「良い影響」を与えられます。
まずはそこから始めるべきでしょう。
ところで私がこの主張をすると必ず周囲の「若い」知人や家族から、「それはあなたが古い人間だからだ」とばかりに年寄り扱いされるのです。
いちおうこれでもデジタル機器には強いほうだと思っています。少なくとも仕事には最大限活用しています。
ただ生活の時間を「無駄にスマホとともに」過ごしたくないだけです。
そもそもあの小さい画面の中に没入する姿が「みっともない」という価値観を持っています。
子どもに対して、「スマホにしがみつく姿はみっともない」と言える大人でありたいですね。