元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】SAPIXの親の相談ベスト10 その1

この35年間、数限りないお母さまの悩みに向き合ってきました。

その中から、良く出るご相談について書いていきたいと思います。

※個人情報保護の観点から、ご本人が読んでも自分のこととわからぬレベルまで設定を変えていますが、事実に基づきます。

 

クラスが落ちた

はい、これが最も多いご相談です。

ご存じの方も多いと思いますが、SAPIXという塾は、テストの成績によって毎月クラスが変わります。クラス数は、校舎規模によってさまざまです。小規模校舎だと、1学年のクラス数が3クラス程度のところもありますが、大規模校舎になると30クラスを超えます。だいたい6~12クラスくらいの校舎が多いでしょう。

1クラスの人数は、Max20名です。創業期には40名のクラスなどもあったのですが、やがて20名を最大とする教室サイズに統一されました。SAPIXのアイデンティティである「双方向」「討論式」の授業をするためには、20名くらいが限界です。40名規模でも、腕のある教師なら(私のように?)見事に双方向の授業を盛り上げられますが、経験が浅いと無理ですね。また、経験が豊富でも、教師の能力は千差万別ですから。

そこで、20名までの小さな教室設定になったのです。

ちなみに、5年生は2の倍数、6年生は3の倍数が基本です。5年生は1日2コマ、週3回で、6年生は火・木に1日3コマ×週2回です。これで、算数A、算数B、国語A、国語B、理科、社会の6科目の授業を毎週消化します。したがって、5年生は2の倍数、6年生は3の倍数が好ましいのです。

例えば、6年生で6コースの場合なら、レベルが上から順に、α・E・D・C・B・Aコースとなりますし、12コースなら、α1・α2・α3・I・H・G・F・E・D・C・B・Aコースという名称になります。

このクラス(SAPIXではコースと称する)が、毎月1回のテストで並べ替えられるのですね。テストの種類は2種類です。

 

マンスリーテスト・・・1か月間の学習内容の中から試験範囲を定め、告知して実施するテスト。内部生のみ受験(ちなみにテスト代は授業料に含まれている)。こちらは、1か月の頑張りがダイレクトに得点に反映します。つまり、さぼると点がとれず、頑張れば点がとりやすい、そういうテストです。

 

組分けテスト・・・年に数回、マンスリーテストのかわりに実施されます。これは試験範囲は決まっていませんので、総合実力テストの位置づけです。また、外部生にも開かれた公開模擬試験の役割も担っています。(こちらも内部生は授業料に含まれているので申し込み不要です。)

 

いずれにしても、毎月のテストでクラスが変わる、そういうことになっています。

 

月毎のクラス替えは、教えていた立場からすると、ちょうどよいと思います。毎週のクラス変更だと忙しすぎます。テストの最大の目的は、「自分の弱点を把握して手当する」ことにありますので、毎週のテストではその時間がとれません。かといって半年も同じクラスだと、クラス内の学力差が開きすぎて授業効率が落ちるのです。

 

単純にテストの得点だけでクラスを輪切りにしていきますので、当然クラスが上がることも落ちることも頻繁にあるでしょう。中には、「うちは万年Aコース」という方もいます。ある中規模校舎の室長をしていたとき、そうした生徒の親から受験直前にこう言われてしまったことがありました。

「室長先生は、うちの子なんかご存じないでしょうね。SAPIXには3年間通いましたが、一度も室長先生の授業は受けたことがありませんでした。そんな子ですが、せめて受験直前に激励の言葉くらいかけていただけないでしょうか」

これはこたえましたね。成績によって生徒の扱いを変えることは一切していませんでした。むしろ、下のコースの子を優遇するよう気遣いしていたくらいです。しかし、授業については、どうしても上のαコースしか入ることができていませんでした。

授業についてはレギュラー担当者が1年固定で入っていますのですぐに変わるわけにはいきません。せめて入試直前の1か月間、全クラスを巡回して、受験のアドバイスなどをしてまわりました。それ以来、なるべく偏りなくさまざまなクラスの授業を担当するように心がけたものです。

 

また、逆に、一度もα1から脱落したことのない生徒というのもいます。ネットの世界では「アルゼロ(α-0)」と呼ぶようです。そんな名称のコースはありませんので、ただのあだ名のようなものなのでしょう。「α1を超えた存在」といったほどの意味でしょうか。

たしかに、SAPIXには青天井に優秀な生徒も多く通っています。算数オリンピックメダリスト→数学オリンピックメダリスト→数学者、そんな生徒もいましたし、社会で活躍する人の経歴が「開成(桜蔭)→東大→・・・」などとなっていると、確認するとSAPIXの教え子だった、そんなことは多いのです。

 

しかし、そんな一部の優秀な生徒を除けば、やはり大多数の生徒は、毎月のクラス昇降で一喜一憂しています。

 

最初のご相談に戻ります。

クラス落ちは誰だってショックですね。まして、αからアルファベットへの降格はことさら気にする方も多いのです。

世間には、「SAPIXのコースを上げる」ことを標榜する個人指導塾まであるようですが本末転倒です。

クラスが落ちた場合は、きちんと分析してほしいのです。

◆マンスリーテストで落ちたのか、それとも組分けテストなのか。

 マンスリーで得点できなかったのは原因は簡単です。一か月間の頑張りが足りなかったのです。どの科目、どのテキスト内容がウィークポイントだったのかを確認し、即座に手をうちましょう。日曜日を使って、苦手だったテキストの復習をするだけです。

 組分けで得点できなかった場合は、とりあえずテストの間違い直しだけを丁寧にやっておいてください。試験範囲が無いテストですので、総復習は事実上不可能なのです。しかし、今やっている日々の学習が、半年後くらいの組み分けテストに影響しますので、今やっている内容をコツコツと積み上げていくことのほうが大切です。

◆苦手科目を明確にする

 テストの目的の一つは、苦手科目を浮き彫りにすることにあります。

◆点の落とし方に注目する

 ただのケアレスミスなのか、計算ミスか、漢字の間違いか、問題文の読み違いか、あるいは知識不足なのか、時間切れだったのか。

どういう種類の点の落とし方をしたのかをきちんと確認しましょう。そのためのテストですから。

 

テストの目的として、子供に奮起を促すというものがあります。受験生としての自覚など感じられないのんびりした生徒たちに、テストの得点という現実をつきつける役割です。

しかし、親が動揺する必要はありません。

テストを利用して学習につなげるのが王道なのです。

 

もし記述がウィークポイントだったら。

その対策について書いた本をぜひお読みください。サブタイトルには「麻布受験生のため」とありますが、全ての受験生に役立つ内容です。

 

また、私が直接論理記述の指導をする教室を開いています。

興味のある方は、いちどHPをのぞいてみてください。

lws.peter-lws.net