元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】歴史学習のバイブル=歴史資料集

歴史を学ぶ上で欠かせないのが「歴史資料集」です。

歴史資料集の位置づけ

歴史を学ぶアプローチには、いくつもの道があります。

まず王道なのが、「ストーリー」としての歴史の学び方です。歴史にはドラマがあります。それを「物語」として語ってあげる、物語として把握する、そうした学び方ですね。これは特に歴史初習者には有効です。坂上田村麻呂の蝦夷征伐、平将門の乱、源平の戦い、承久の乱、大化の改新、明治維新、こうした事象について語ってあげると、生徒は目を輝かせて聞き入ってくれます。もちろん語り手である教師の力量次第ですが。

しかしこうしたアプローチは、王道ではあるのですが、効率的でないという問題点があるのです。もしすべてを語ってあげるとすると、1年間でも足りません。

人物名や年代を暗記するというアプローチも有効です。これは効率優先のやり方ですね。ただし面白くはありません。

そしてもう一つ、とても有効なのが「歴史資料集」からのアプローチです。金閣と銀閣、北山文化と東山文化について、文字だけで語るのは困難ですが、写真を見せればすぐに理解できますね。 鎌倉文化は質実剛健などと語るよりも、東大寺南大門の金剛力士像を見ればすぐに納得できます。歴史資料集には、こうした重要な写真だけでなく、地図や表、年表などがまとまっています。

私が観察したところ、隙間の時間に歴史資料集を読みふけっているような子は歴史が得意です。

 

どんな歴史資料集を買うべきか?

中学生用のものを買ってください。書店で探すと、大学受験用の高校生が使う歴史資料集はいくつも見つかるのですが、中学生用のものは少ないのです。

そんな中で、定番というかお勧めのものは2冊あります。

まずは、帝国書院のこちら。

帝国書院といえば、地図が得意な出版社ですね。中学受験用の定番の地図帳といえば、「中学校社会科地図」です。何十年も前からの定番で、寡占状態です。

中学生用のこの地図を、中学受験生も使います。ちなみにSAPIXもこれを使っていますが、表紙だけオリジナルデザインに変えています。出版社も商売ですので、一度に数千部も購入するとなると、そうしたサービスもあるのです。

さて、帝国書院の歴史資料集ですが、昔は使い物になりませんでした。金閣も法隆寺も載っていないという欠陥商品だったのです。それには理由がありまして、そもそもこうした資料集は、中学校に販売するために制作するのですね。市場規模が中学受験生の20倍もありますので。帝国書院は中学生の教科書も作っていますので、その教科書とセットで資料集も学校に販売していくのです。そのため、教科書に掲載されている写真は、資料集から割愛されていた、というわけでした。実は資料集に載せる写真は、それぞれの神社仏閣等に使用料を支払って掲載するのですが、この使用料が高いのです。しかも、自分で撮影した写真を使用するとしても、同様の利用料がとられます。日本全体の宝、いや世界遺産にもなっているのですから、自分で撮影した写真くらい自由に使わせてほしいと思いますが、ダメなのですね。おそらく帝国書院はこの写真利用料を節約したのでしょう。

しかしいつの頃からか、きちんと資料集単独でも使用に堪えるものに進化しました。

この「アドバンス中学歴史資料」、なかなか見やすくできています。地図が得意な会社らしく、歴史地図にも見るべき点があります。しかも教科書同様にとても安い! たしか800円程度だと思います。さらに、私立中学でも、帝国書院の歴史教科書を採用している学校なら、こちらの資料集を採用している可能性が高いと思われますので、中学入学後にも使えるかもしれません。学校用と家用に2冊あると、通学カバンの重量を軽減できますので。

さて、もう1冊お勧めなのがこちらです。

歴史資料

これ、今はたぶん廃版です。浜島書店のHPを確認すると、おそらく後継は「資料カラー歴史」だと思います。

浜島書店は、このほかにも「学び考える歴史」「よみとき総合歴史」「つながる歴史」と、中学生用の資料集だけでも4種類も出しています。どれも面白そうな編集ですが、「資料カラー歴史」が一番まじめな構成です。

私立中学でも採用の多い資料集ですが、1つ問題があります。浜島書店という出版社は、学校教科書専業の出版社で、一般書店売りはしないのです。この歴史資料集も、書店でもアマゾンでも売られていません。

実は、だいぶ以前にSAPIXでもこの浜島の資料集を採用しようとしたのですが、「学校にしか売りません!」と門前払いでした。感じが悪いですよね。商売なんだから、けちけちしないで売ればいいのに。と文句をいっても始まらないので、いろいろ手をまわして、採用にこぎつけたという思い出があるのです。今でも生徒はこれを買うことになっています。

SAPIX生以外でこれを入手しようとすると、教科書を扱っている神田三省堂か、あるいは一般売りもしてくれる教科書販売会社ということになります。私は、ブックオフで手に入れました。私立中高生が多い町のブックオフには参考書の掘り出し物があるのです。

まあ無理して浜島のものを探し回らなくても、帝国書院のものを書店かアマゾンで買えばよいでしょう。

歴史資料集を使った学習法

普通なら、歴史の学習と併用して開くということになるでしょう。しかしそれだけではもったいない。これは、「読み物」として、興味のおもむくままにいつもページを開くのがお勧めです。

ただし、けっこう細かい知識も載っています。高校受験レベルを超えています。中学受験でも出ない細かい内容もあります。しかし、歴史を学ぶということはそういうことだと思います。テストに出るから覚える、出ないから不要、という割り切りは、ときとして理解の妨げになるのです。歴史を理解するためにその知識が必要、そういう場合も多いと思います。

 

歴史の学習に最適な学校教科書についてはこちらで記事にしました。

peter-lws.net