元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験相談】社会科の知識はどこまで覚えればいいのでしょうか?

社会科が苦手な生徒からの相談です。

「どれくらい覚えればいいのですか?」

たしかに、社会科の知識量は膨大です。地理・歴史・公民・時事問題等、覚えるべきことは無限にあるのです。

もちろんたくさん覚えればいいにこしたことはありません。しかし、限界が。

どれくらい覚えれば中学入試に通用するのでしょうか?

必要な知識の総量

 

 中学入試で出題される分野の割合は、地理:歴史:公民=4:4:2 くらいとなっています。もちろん地理と歴史の融合問題や、どのジャンルにも入れづらい問題、さらに時事問題や伝統文化に関する問題など、出題範囲は多岐にわたるので、あくまでもざっくりとした目安です。

 

手元にある中学生用の歴史教科書の索引を調べてみました。

 

歴史人物・・・270名

歴史事項・・・540項目

 

ざっとこれくらいです。

しかし、これは「索引」ですから、本当に重要な語句しか抽出されていません。たとえば「傘連判状」「蒙古襲来絵詞」「松岡洋右」「ウイッテ」「プチャーチン」「大黒屋光太夫」「シドッチ」「ウィリアムアダムズ」「ヤン・ヨーステン」「松方正義」「大津事件」「児島惟謙」「民本主義」「寺内正毅」「登呂遺跡」「箸墓古墳」「李鴻章」、こういった語句は索引にありません。

そう考えると、索引には、必要な人物・事項の半分程度しかあげられていないと思われます。

実感としては、1500くらいの語句が歴史の学習に登場すると思います。

地理用語についてはさらに数え方が難しいのです。歴史ほど独立した「単語」を頭に入れなくてもよいのですが、今度は「位置関係」のような、語句にはなりづらい知識も必要となってきます。

公民用語については、数は歴史ほどは多くはないのですが、一つ一つの語句が非日常的な語句ばかりで、理解するのが難しいという問題があります。

 

以上を考えると、中学入試の社会科で要求される知識量(語彙数)は、3000くらいになると思われます。

3000と聞くと「多い!」と感じますが、たとえば中高の時に学ぶ英単語数は3000~4000語程度ですので、なんとなく「量」の感覚がわかるかと思います。

もちろん、これらの語句は相互に関連しあっていますので、単発の単語として覚えるというよりは、関連した知識の塊ごと頭に整理するようなイメージです。

 

語句の頻度

必要な語句数を3000として、それらすべてが「均等」に出題されるわけではありません。あらゆる学校の入試問題に登場するような「レギュラーメンバー」から、たまにしか見かけない控えの選手までいるのです。

したがって、社会科の知識を覚えるためには、頻度順を意識した学習が大切となってきます。

英単語でいえば、昔は「赤尾の豆単」、のちに「試験に出る英単語」、今は「ターゲット」「Duo」を使って、重要な語句から覚えるようなイメージでしょうか。

 

漢字で覚える

子どもたちは漢字が苦手です。苦手というより、漢字で書くのが嫌いです。知っている単語でもすぐにひらがなで書こうとします。そして、そうやって漢字を書かないでいるうちに、ますます漢字が苦手になるのです。

しかし、社会科用語は基本的にすべて漢字で覚えなくてはなりません。井伊直弼だって、溥儀だって、夏目漱石だって葛飾北斎だって、漢字で書くのです。親鸞のように漢字が必要ないものも少しはあります。もっとも親鸞のように「目立つ字」は、すぐに覚えたがるのが小学生ですが。

 

まず知識、は正解

これだけ大量の知識を覚えなくてはならない、そう考えると、次にこう考えてしまうのが人間の性ですね。

「知識だけ暗記したところで、意味がわかっていなければしかたがない」

「丸暗記よりも背景を理解するほうが大切だ」

「思考力で解けるようにしなければ」

もちろんこれは正論です。しかし、小学生にとっての正論ではありません。

たとえば、大人になっての英語の学び直しをするとき、単語の暗記から始める人は少ないと思います。うろ覚えだったとしても、数年間の英語学習の蓄積はありますので、今更単語集を覚えなくても何とかなる、という理由もありますし、今となっては丸暗記ができなくなっているという理由も大きいのです。

そこで、文章を読みながら、ライティングをしながら、必要な単語をブラッシュアップするのです。

しかし、英語初習の場合は、「四の五の言わずに単語を覚えなさい!」となりますね。ある程度の単語を知らないと、学習のスタートラインにすら立てないからです。

小学生にとっての社会科用語がまさにそんな状態です。

「四の五の言わずに覚える!」は、この場合大正解なのです。