元SAPIX 中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験相談】どのテストがあてになる?


「うちの子は、マンスリーテストでは点がとれずにクラスが落ちて、組み分けテストでクラスがαに戻るのです」

これは、SAPIXに通っている方からよく聞く相談です。ちなみに「マンスリーテスト」というのはその名のとおり月例テストで、「組み分けテスト」というのは数か月に一度実施される外部にも公開されているテストです。

受験塾に通っていると、多くのテストを受けさせられますね。これらのテストは、大きく3種類に分けられます。

(1)試験範囲が決まっているテスト

(2)試験範囲がないテスト

(3)志望校に特化したテスト

今回は、これらの3種類のテストについて考えます。

(1)試験範囲が決まっているテスト

前述したSAPIXの場合は、「マンスリーテスト」という名称で、ほぼ毎月実施されます。一か月間の学習した内容から出題される、試験範囲があらかじめ告知されているテストです。四谷大塚の場合は「週テスト」ですね。1週間の学習範囲から出題されるテストです。長年SAPIXにいた私からみると、毎週のテストは忙しすぎるような気もします。これでは復習・見直しの時間がとれるのかな? もっとも四谷大塚は1950年代の創業時から「テスト会」としてこの毎週のテストを続けていますので、理にかなっているのでしょう。あまり間違えない、つまり見直しに時間をとられない優秀な生徒にとっては有効なのだと思います。日能研は、「カリキュラムテスト(カリテ)」という名称のテストが2週間毎に行われます。SAPIXと四谷大塚の間ですね。各塾がこうしたスタイルをとるのはそれなりの裏付けとなる理由があるのでしょう。ちなみにSAPIXの場合は、「復習」を重視しているので、月1回くらいのペースが適切だという判断です。

早稲田アカデミーは四谷大塚の提携塾ですので四谷大塚スタイルです。

こうした「定期テスト」は、日々の学習をコツコツと積み上げてきた生徒が得点できるテストです。

 

(2)試験範囲が無いテスト

SAPIXの場合は、「組み分けテスト」という名称で、年に数回実施されます。名称は「組み分け」ですが、外部にも公開された「公開模擬テスト」の役割も担っています。その性質上、試験範囲は定まっていませんので、対策も無意味です。現段階の「実力」がそのまま反映されるテストです。四谷大塚では、おもに6年生で実施される「合不合判定テスト」がそうですね。このテストは、かつては中学受験生の必須のテストで、四谷大塚に限らず、他塾の生徒たちも大量に受験したものです。実はSAPIXも生徒に受験させていました。しかし、生徒数が増えたことで自前でも精度の高い判定が可能になったことと、合不合判定テストの受験者層とSAPIXの生徒層の学力が一致しないことを理由として、2010年から自前のテスト「合格力判定サピックスオープン」に切り替わりました。憶測ですが、四谷大塚は慌てたでしょうね。模試受験者から5000人規模の上位層がごっそり抜けてしまいましたので、さぞかし判定データが荒れたことでしょう。

こうした試験範囲の無いテストの特徴として、外部に公開された「公開模擬テスト」であることがあげられます。小規模な塾や個人でも受けられますので、自分の立ち位置を知るのに役立ちます。また、現在学習している内容がダイレクトに反映していませんので、とくに4・5年生までについては、「過去の栄光」がものを言う傾向があります。もともと地頭が良く、処理スピードが速い生徒が点を取りやすいのです。ただし5年生も後半になるともうそれだけでは通用しなくなります。コツコツと努力を続けてきた生徒に逆転されるのです。この逆転劇は、4年生の後半から5年生の前半にかけて見られる気がします。

 

(3)志望校に特化したテスト

「〇〇中学オープン」といった名称で実施されるテストです。文字通り、その中学を志望する生徒だけが受験するテストです。テスト問題のスタイルや傾向も、その中学校に似せて作られます。まさにその中学校を志望する生徒にとっては役立つテストに思えるのですが、注意しなくてはならないことが2つあります。それは、母集団の大きさと、模試実施目的の2つです。

例えば、SAPIXの「学校別SAPIXオープンー筑駒」であれば、おおむね500人ほどの受験者がいますし、そもそも筑駒に3桁の合格者を出している塾はSAPIXだけですので、他塾の生徒も含め、筑駒受験生の大半が受験していると思われます。しかもSAPIXの場合はすでに優秀層を抱えていますので、6年生になってから他の塾から優秀な生徒を引き抜く必要性がありませんので、純粋に「模試」として機能します。しかし、筑駒に数名程度の合格者しかいない塾の主催する「筑駒オープン」では、母集団の人数や判定精度に期待できませんし、模試の実施目的もわかりません。また、もし都立白鴎高校附属中を志望する生徒が受けるのならば、enaの実績が都立白鴎が113名、SAPIXが2名ですので、白鴎を第一志望とする生徒はenaの模試を受験すべきでしょう。

 

日々の努力が最重要

冒頭の「うちの子は、マンスリーテストでは点がとれずにクラスが落ちて、組み分けテストでクラスがαに戻るのです」という相談にお答えしましょう。

ちなみにαコースというのは、SAPIXの最上位クラスの名称です。大規模校舎になると、αコースだけでも複数設定されています。上から順に、「α1,α2,α3・・・・」となり、下から順に「A,B,C,D・・・・」となっています。もし6コースの校舎ならば、上から「α、E,D,C,B,A」という名称です。塾生の間では、「αコースとアルファベットコース」という認識のようですね。こうして成績で生徒を序列化するのは塾である以上仕方のないことです。

 

ご相談の件、これは看過できない状況です。

なぜなら、「マンスリーでは点を落とすけれど、組み分けテストでαに戻っているから、うちの子は大丈夫」という慢心が見え隠れしているからです。さらに、マンスリーテストで得点できていないということは、日々の努力の不足を意味します。

逆に、「マンスリーではクラスが上がるのに、組み分けテストで下がる」という場合は、今頑張っている日々の努力がやがて結実する日が必ず訪れますから、めげずに努力を継続しましょう。

 

どの塾に通っているとしても、「試験範囲が定まっているテスト」で得点できないのが一番問題だと認識しましょう。

結局のところ、日々の努力の継続のみがものを言う世界です。