
勉強には、「予習・復習が大切だ!」と言いますね。
しかし、予習と復習はワンセットにできないほど異なる学習スタイルです。
予習スタイル
授業の前に、あらかじめ自分で勉強しておくのです。
例えば、学校の授業で「明治維新」を来週学ぶことになっています。
そこで、あらかじめ、教科書の「明治維新」の項目を熟読しておくのです。もしわからない事件名や人物名が出てきたら、その事件や人物についても調べておきます。教科書だけでは不十分ですので、詳しい参考書や資料集を参照します。もちろんネットで検索してもよいのですが、ウィキペディアの説明だけで満足するのは危険です。必ず複数のソースに当たるのはネット検索の鉄則です。
この場合、生成AIを使うのは避けましょう。
最近はかなり精度が高まっているとはいえ、まだ100%信頼できるとはいえません。もっともらしい顔をして嘘をつくという性癖は完治してはいないのです。
情報の真贋を見極められる人間が使うと、こんなに役立つ相棒はいないのですが。
もし、「明治維新」についてあまりにも予備知識が乏しかったり歴史嫌いの場合は、NHK for Schoolの視聴もおすすめです。これだけで何とかなるレベルではありませんが、歴史に多少は興味が出てくると思います。
幕末から明治維新にかけての歴史は、人物も事象も錯綜して、非常にわかりにくいのです。ここを予習だけで完璧に理解するのは難しいと思います。そこで、一通りの理解でかまいませんので、それより年代や人物をしっかりと把握・暗記することにつとめましょう。
ここまでの準備が「予習」です。
あれ? もう「授業」を受ける必要がないのでは?
そんなことはありません。授業では、錯綜していた知識をわかりやすく説明してくれるはずです。しかも予習済ですので、先生の説明がとてもわかりやすいと思うのです。また、予習していてよくわからなかった、そして授業を聞いてもよくわからなかった事があれば、先生に質問に行くことができますね。
つまり、「予習」というのは、家で「予習」した内容を授業で「確認」する、そうした流れになるのです。
もうおわかりのように、このスタイルは、中学生以上に適した学習スタイルです。仮に中学受験をしていなかったとしても、小学校でも学んでいるはずですので、「明治維新?その単語、聞いたことないなあ」という生徒はいません。
しかし、小学生にとってはつらい学習スタイルです。小学校よりも早い進度で受験勉強はすすみます。塾で学ぶよりも早く、自分一人で「予習」するのは困難です。結局のところ、父親か母親が教えこむことになってしまいます。これは「予習」とはいえません。
復習スタイル
白紙の状態で学校(塾)に行きます。
そこで初めて、新しいことを学ぶのです。
もし「明治維新」を学ぶのなら、「明治維新? 初めてきく言葉だなあ」状態でかまいません。授業では学校(塾)の先生から、わかりやすく説明されるはずですから。
そうやって授業を受けた後、家に帰ってから「復習」します。テキストや参考書を開き、授業を思いだしながら、再確認する作業が「復習」となります。
もし授業で完全に頭に入れることができれば、復習は不要になるのですが、それは不可能でしょう。限られた授業時間では丁寧に説明できなかったところもあるでしょうし、うっかり聞き逃したところもあるかもしれません。
丁寧に復習することで、その分野を完全に頭に入れるのです。
もうおわかりのように、これは小学生に適したスタイルです。
白紙の状態で授業に臨むところから勉強がスタートしますので、「何も知らない」小学生にはこちらのほうがよいのです。
結局どちらが良いのか?
これは結論が出ました。
知識がある生徒→予習スタイル
知識が無い生徒→復習スタイル
こうなりますね。
基本的には中学受験は予習スタイルよりも復習スタイルのほうが適します。これは、中学受験のカリキュラムと内容を、一人で自力で予習することができないからです。
しかし、このやり方は、授業の質がポイントとなります。限られた時間で、理解力に差がある生徒を相手に、初出の内容をきちんと説明するためには教師の力量が必要になるからです。
すべての塾の先生がそのレベルに達しているかどうかは不明です。
その場合は、むしろ家で父親か母親が最初に教え込む「予習スタイル」のほうが良いといえます。このスタイルなら、塾の教師のレベルによる悪影響が少なくて済むからです。
すでに予習済で予備知識がある生徒への授業をするのは難しくはないのです。
中高生が勉強するのなら、予習スタイルが最適です。とくに中高一貫校は授業の進度が早いのです。よほど理解力があり頭の回転が速い子でないと、すぐに授業から振り落とされてしまいます。きちんと予習して授業に臨んだほうが、授業の理解がより深まるのです。また授業が高度な内容に踏み込む中高一貫校では、生徒がある程度知っていることを教師も期待するのです。
中学受験塾は、「予習派」と「復習派」の二大派閥に分かれます。
前者の代表は四谷大塚ですね。なにせ使用しているテキストの名称が「予習シリーズ」ですから。この塾はテスト会としてスタートしました。生徒たちは自宅で予習シリーズを使って自学自習し、そのうえで週末(当時は日曜)のテストを受けに行く、そういうスタイルだったのです。授業はありません。このスタイルが可能なのは、生徒が優秀な場合だけです。中学受験黎明期には、優秀な子しか中学受験に臨まなかったので、このスタイルが成立したのですね。「四谷大塚の入会テストに受かれば、どの中学校でも合格できる」といわれた時代もあったのです。
しかし、中学受験の裾野が広がると、このスタイルだけでは通用しなくなります。そこで、授業で「予習」をするというスタイルに変化します。いちおう予習シリーズを読んで授業に参加するのですが、そこでもう一度きちんと解説されるのですね。
この「予習シリーズ」とテスト・カリキュラム体系は完成度が高いので、自前で教材・テスト開発ができない塾はみな四谷大塚の提携塾となりました。
四谷大塚の提携塾はみな「予習派」ということになります。早稲田アカデミーも提携塾ですね。ちなみに、日能研も予習型の塾です。
それに対して、「復習派」の雄はSAPIXです。そもそもSAPIXの大躍進の原動力となったのは、「復習主義」にあったのです。生徒の思考力を育てるのには最適なやり方です。
しかしこのスタイルは、教師の力量を要求します。もしかしてSAPIXが他塾ほど教室展開をしないのは、これが理由かもしれません。優秀な教師を集め育てるのは大変ですから。
お子さんの学力、家庭の支援体制、塾講師の力量、これらによって、どちらのスタイルが最適かが決まると思います。
もしこれから塾を選ぶのなら、その塾がどちらのスタイルなのか、そこも考えるとよいでしょう。