この時期になると、周囲から聞こえてくるのは、父親(母親)の海外赴任の話題です。
私の知人にも何人か、4月からの海外赴任が決まった方がいます。
僅か1カ月程度の準備期間で、あらゆることを処理しなければならないので、ものすごく大変そうです。
そしてお子さんがいる場合、子どもの教育をどうするかについては皆悩まれます。
私のところにもよく相談が入るのです。
将来の教育をどうするのか
英語圏であれ非英語圏であれ、小学生であれ中学生、高校生であれ、将来どの国の学校に進学するのか、ここが最大のポイントになります。
たとえば小学生低学年でアメリカに行ったとしましょう。おそらく現地校に入れると思います。週末だけ日本語補習校で日本語を維持する、そういうスタイルです。
ここで、大きな問題が生じます。アメリカの小学校と日本の小学校(中学受験生)では、勉強の質も内容も大きく異なるという問題です。目的のベクトルが違うというかんじでしょうか。仮にアメリカの小学校で優秀な成績であっても、日本の中学受験には歯が立ちません。
そうすると、将来の教育環境については、このような選択肢が考えられるのです。
A:日本の教育環境に戻る
B:日本の教育環境には戻らない
どこかのタイミングで、日本の教育環境に戻ることを考えるのなら、日本国内の生徒たちと同等の学習を独自に進めておく必要があります。
あれ? 帰国生入試なら、英語だけでOKですよね?
そう思われる方も多いと思います。
しかし、帰国生入試で進学する学校は、国内の一般生も多数通う学校です。その中に混ざって勉強するためには、彼らと同等の学力が無ければなりません。
入口だけ特別待遇であっても、進学後の特別待遇は期待できないのです。
ただし、一部の学校では、国内にありながら、英語のみで授業が受けられ、海外大学進学の道が開けるところもあります。
・インターナショナルスクール
・国際バカロレア認定校
・その他
インターナショナルスクールはわかりますが、国際バカロレア(IB)認定校でも、海外と同等の教育を実践しているところがあります。東京都立国際高校や、玉川学園などですね。
また、その他では、広尾学園や三田国際学園が、英語のみで授業(全教科ではない)が受けられるコースが存在します。
ただし、こうした学校は数がすくなく、競争率が高いことに加え、日本の大学受験には選択肢が狭まることは覚悟が必要です。
将来日本の教育環境には戻らない、Bの選択をされた場合には、この記事はもう読む必要がありません。現地校での成績を上げ、高度な英語力をつけ、学校以外にも社会活動をすることを考えるべきでしょう。
日本に戻って困らないために
実は、中受・高受・大受ともに、帰国生入試は有利です。
受験科目が少ないことや、試験日が前倒しになっていたり、面接や論文で合格が決まったりと、一般入試よりもあきらかに有利です。
そういえば、過去にそれを狙って高校からアメリカに単身留学した子がいました。3年後に日本の大学に「有利な帰国生枠」を使って実力以上の進学を果たしたのです。しかし本人曰く、「アメリカの高校生活は、控え目にいって地獄だった」そうです。
日本である程度は英語を頑張っていたとはいえ、いきなりアメリカの現地高校に行ったのですから。授業が理解できない、課題についても何が出されたのかすらわからない、周囲は誰も助けてくれない、そんな状況だったとか。まさにサバイバルですね。
学年、赴任先を問わず、いずれ日本に戻って日本の教育環境に入ることになるのなら、日本の学生と同等の学習を独自にするべきなのです。
大変なのはわかります。
私の指導していた生徒で、小5から英語圏(の僻地)に行った子がいました。そのまま順調に日本で学んでいれば、おそらくは開成でも筑駒でも問題がないほどの優秀な生徒でした。本人は開成に強い憧れを持っていたので、赴任が決まったときにはそうとう暴れたと聞きました。それでも、本人は参考書や問題集を山盛り現地に持参して、現地でも一人で受験勉強を続けたそうです。その本人の様子を見て、母親は子どもと一緒に中学生になるタイミングでの帰国を決意しました。これで見事開成に合格したのなら美談ですが、受験はそんな甘い世界ではありませんでした。
しかし、この経験は彼にとって無駄だったとは思いません。進学した学校もそうとうな難関校ですし、一般入試で合格できる力に加えて英語力という武器、さらに異文化体験、そして「頑張った」体験を持って進学したのです。
ICTがこれだけ普及している現在、海外にいても日本と同等の情報は得られますし、授業すら受けられる環境があります。
海外に行っても、日本と同等の学習を継続することを強くおすすめします。