
先日、書店の参考書コーナーで、「大学入試用現代文語彙」といったジャンルの参考書を何冊か手に取ったのですが、少々驚いてしまいました。
そこに載せられていた語彙が、簡単かつ当たり前の語彙ばかりだったからです。
不可分・担保・指標・鼻白む・如才ない・果報・所以・周到に・嫉妬・著しい・概念・演繹的・帰納的・示唆・概念・対照・領域・前提・典型・解釈・依存・表象・滞在
こんなレベルの語句が、一覧表になっていて、読み方と意味がまとまっていました。
英単語ではないのです。日本語単語です。
今どきの大学受験をする高校生は、こんな語彙も、こうしたテキストを使って覚えなくてはならないのでしょうか。
語彙数の目安
日本で教育を受けている日本語ネイティブの語彙力の目安はどれくらいなのでしょうか。
様々な調査データがあるのですが、幅がありすぎて参考になりません。
そこで、国語辞典の語彙数を見てみることにします。
◆小学生用国語辞典
数冊調べてみるとこうなっていました。
・例解学習国語辞典(小学館)・・・40900語(48800語)
・例解小学国語辞典(三省堂)・・・46500語
・新レインボー小学国語辞典(学研)・・・43300語
以外に多いですね。もっとも、「エフ・・・アルファベットの6番目の文字」「エム・・・アルファベットの13番目の文字」といったものまで項目建てされています。これが「語彙」かどうかは微妙ですが、それらを全て合わせて4万語程度ということです。
◆中学生用国語辞典
・例解新国語辞典(三省堂)・・・6万語
・旺文社標準国語辞典・・・5万語
◆一般国語辞典
・新明解国語辞典(三省堂)・・・7万9千語
・三省堂国語辞典・・・8万4千語
・旺文社国語辞典・・・8万5千語
・明鏡国語辞典(大修館書店)・・・7万3千語
・岩波国語辞典・・・6万7千語
◆大型国語辞典
・広辞苑(岩波)・・・25万語
・大辞林(三省堂)・・・25万1千語
おそらく普通の大人であれば、小学生用の国語辞典の語彙は当然として、中学生用の国語辞典にある語彙も身についていると思います。
これでおよそ5万語~6万語ということになりますね。
ちなみに、アメリカ人の英単語の語彙数を調べた調査によると、10歳で 1万語以上、高校卒業時には 3万語、読書好きな子なら5万語、一流大学卒業レベルだと10万語だそうです。なるほど、日本語も英語も同じくらいのようですね。
その他、アメリカのスラムで暮らしている低学歴の人たちの語彙数は、大人でも5000語~1万語程度だったという恐ろしいデータもあります。
これについても、おそらく日本でも同様の調査をすれば同じような結果になりそうなことは予想がつきますね。
語彙の身につけ方
(1)読書
王道かつ最良のやり方です。
そもそも、現代文の読解に必要な語彙を、「単語集」を使って覚えた経験など私にはありません。みなさんもそうですよね。
いつのまにか語彙が身についていた、そういうものだと思うのです。
しかし、そのためには読書が必須です。
小説でも論説文でも、本を読むと、そこには知らない単語が必ず出てきます。文章を読んでいるうちに何となく意味がつかめる場合もありますし、文章中に語句の意味が説明されている場合も多いですね。そうしているうちに、自然と語彙が身に着く、そういう物だと思います。
読書から語彙を身に着けるためには、「背伸びした読書」をしなくてはなりません。例えばライトノベルのような簡易な語句しか使われていないような本を何十冊読もうと語彙は増えませんから。
(2)大人と会話する
本来これも王道のはずでした。ただし、現代の子どもたちには難しいかもしれません。
・周囲に大人が家族と教師しかいない
・子どもを大人扱いして話してくれる大人がいない
教師も家族も、子どもにわかるような語彙で話すものです。そして周囲には子どもに気遣いしないで話すタイプの大人達がほとんどいません。
この環境では、会話から語彙を身に着けることは難しいでしょう。
(3)辞書を引く
これも王道です。いや、王道でした。
残念ながら、紙の辞書を常に引く子どもは絶滅危惧種となりました。辞書は厚くて重くて面倒くさいからです。
そこでわからない語句が出てくると、すぐにスマホ(PC)で検索するようになったのです。
大人でもそうですね。紙の辞書など使わない大人たちが、「国語辞典を引きなさい!」と子どもに指導したところで説得力ゼロですから。
もうこれはそういうものだとあきらめるしかありません。それでも調べるだけだいぶマシですから。
※電子辞書はお薦めだったのですが、カシオが生産から撤退する現在、「時代遅れ」の物になりつつあるようです。それでも、正確な情報が集積されている持ち歩きできる辞書としては未だに有効です。スマホではなくて電子辞書で調べる習慣を身に着けるのもよいですね。