中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【入試問題】2026攻玉社 2回 社会科入試問題について


昨日の記事で、2026攻玉社1回社会の入試問題について書きました。
アニメのタイトルを知らないと答えられないという最悪な問題です。
嫌な予感がしたので、第2回入試の問題も見てみることにしました。
 
ゴジラについて
大問1のリード文は、「ゴジラ」についてです。
実はゴジラは入試に頻出の怪獣?です。第五福竜丸事件のビキニ環礁水爆実験で誕生したという経緯がありますので、第五福竜丸事件とからめた問題が多くみられます。
ただし、今回の攻玉社の問題は、文章全体がゴジラや映画から展開しているのは、ゴジラの監督が攻玉社中出身だからなのですね。
 
この文章の空欄埋めは4つでした。「第五福竜丸」「アインシュタイン」「湯川秀樹」「パグウォッシュ」です。
「アインシュタイン」を答えるヒントは、「1955年、哲学者ラッセルと物理学者( )が、核兵器の廃絶・科学技術の平和利用を訴えた。‥‥ラッセル=( )宣言として発表され・・・」となっています。
これ、「ラッセル=アインシュタイン宣言」を知らないと何ともならないですね。核兵器の廃絶を訴えたというだけなら、オッペンハイマーでもロートブラットでもよくなりますので。せめて「相対性理論」のヒントくらいはほしいところです。あるいは、少し難しいですが、エネルギーと質量が交換できるという、まさに原爆の基礎理論を打ち立てたことを書いてくれれば。この問題は、むしろ知識が無い子のほうが有利です。「科学者の名前? アインシュタインくらいしか知らないよ」で正解になりますので。
問題は、「パグウォッシュ会議」です。1995年にノーベル平和賞を受賞しましたので、その頃は答えられる問題でしたが、もうさすがにネタとしては古すぎます。歴代のノーベル賞受賞者・団体を全て覚えるわけにはいきません。オバマやマザーテレサならともかく。
 
国会議事堂の建築の型を選ぶ問題もきびしいですね。4つある選択肢のうちから2つまではしぼれますが、「ドイツ型」なのか「フランス型」なのかわかったでしょうか。
社会科見学でぼんやりしていると解けなかったかもしれません。
 
鉄腕アトムの作者を選ぶ問題もありました。もちろん答えは簡単です。さすがにこれは常識でしょう。ただし、社会科の問題としては認めたくありませんね。手塚治虫の偉大さは理解していますが、「社会科」として出題すべき問題とは思えません。
そしてダミーの選択肢がこうです。


・赤塚不二夫、永井豪、堀井雄二、長谷川町子、藤子不二雄、鳥山明、やなせかたし
 
まあ有名漫画家ばかりといいたいところですが、堀井雄二は知りませんでした。誰だ?
調べたところ、ドラクエシリーズを生み出したゲームデザイナーだそうです。


前回も書きましたが、正解が出れば許されるということではないのです。ダミーの選択肢のチョイスに、作問者のセンスが表れると思うのです。
 
目黒不動についての正誤問題も出されました。
青木昆陽を知っていれば答はすぐに出ます。
しかし、他の選択肢はこうなっているのです。


「在原業平の黄表紙「金々先生栄花夢」では・・・・」
在原業平は社会科では教えません。これは、百人一首を知らないとわからないでしょう。それにしても、また黄表紙ですか。この先生、よほど黄表紙が好きなのでしょうか。第一回の出題でも、「恋川春町」がダミーの選択肢に出ていました。そして「金々先生栄花夢」は恋川春町の作品です。
「黄表紙」は小学生は学びません。理由はいうまでもないですね。
   
「井原西鶴」については、「日本永代蔵」「世間胸算用」のタイトルだけは教えますが、「好色一代男」「好色五人女」を教えないのと同じ理由です。浮世草紙にしても黄表紙にしても、江戸の庶民の風俗を知る格好の資料ですが、残念ながら小学生の範疇を超えるのです。
 
「目黒不動の正式名称は泰叡山 瀧泉寺といい、真言宗の寺院である。」


目黒不動が何宗の寺院なのか、知るはずがありません。まあ勘の良い子なら、泰叡山の文字を見て、「比叡山みたい。ということは天台宗?」となるかもしれませんが。

そういえば、上野戦争で彰義隊が立てこもったのは、「東叡山 寛永寺 」です。こちらも天台宗ですね。こうした寺院の成り立ちや仏教の宗派については、掘っていくと実におもしろいのですが、残念ながら小学生の学ぶ範囲を超えてしまうので、真言密教と天台密教の違いや、法然と親鸞の思想の違いなどを教えるわけにはいかないのです。

「寛永寺」を書かせたのは今年の開成中でした。
 

「原爆の炸裂する悲劇の瞬間と人は残酷な惨劇さえも乗り越えることができるというメッセージを描いた『明日の神話』の作者を選びなさい。なお、作者は、大阪の万博記念公園に保存されている『太陽の塔』も制作している。」


さすがに「明日の神話」では解けません。「太陽の塔」なら知っているでしょう。
ところで、岡本太郎以外の選択肢はこうなっていました。


峠三吉・大江健三郎・井伏鱒二・こうの史代・丸木位里
 
今の小学生は、文学史は弱いのです。そもそも本を読んでいませんから。
井伏鱒二くらいは常識だろうと思いますが、大丈夫かなあ。
峠三吉は知っていますか? 「原爆詩集」で知られる詩人です。もちろん小学生は知るはずもありません。丸木位里も知らないでしょうね。
こうの史代? 誰でしょう? 私も知りません。調べたところ、漫画家だそうです。ああ、ヒットしたアニメ映画「この世界の片隅に」の作者なんですか。
 
何度も言いますが、正解が出ればそれでOKではないと思うのです。ダミーの選択肢、選ばれない選択肢にも細心の注意を払って作るのが、真剣に入試に向き合う受験生に対する出題者の誠意だと思います。
 

2025年11月、「特撮の神様」として知られる円谷プロダクションの創業者である円谷英二が、VES(アメリカの視覚効果協会)で日本人初の殿堂入りし、表彰された。過去には、ウォルト・ディズニーなどの世界的な映像クリエーターが殿堂入りしている。円谷プロダクションが制作している作品を次の中から1つ選び、記号で答えなさい。

・スーパー戦隊シリーズ

・仮面ライダーシリーズ

・ウルトラマンシリーズ

・タイムボカンシリーズ

円谷プロといえばウルトラマン、それは大人の常識です。しかし、これを社会科の入試問題として出題する意図が全くわかりません。

しかも、小学生からすれば、過去の作品です。知らなくて当然ですし、知る必要も全くありません。

 

他にもっと出題すべき重要な知識があるだろ!

 

これが私の率直な感想です。