
やっと、暗記のコツをまとめた本を上梓できました。
暗記のコツ
社会科の暗記が苦手な生徒が実に多いのです。
そもそも、系統だてた暗記を怠ってきた生徒たちです。
おそらく、暗記のやり方を知らないのでしょう。
暗記が苦手
⇒知識が無い
⇒問題が解けない
⇒社会科が嫌いになる
⇒暗記しない
⇒さらに社会科が嫌いになる
この負のスパイラルに落ち込んだ生徒をたくさん見てきました。
もしテストを受けるとき、机上に年代の一覧表が置いてあったらどうでしょう?
公民用語をまとめたプリントが置いてあったらどうでしょう?
地図帳が置いてあったらどうでしょう?
テストなど楽勝ですね!
地図帳や歴史年代一覧表や公民用語集を頭の中にしまい、いつでも参照できる状態だったら。
そう考えるとワクワクしませんか?
今回書いた「記憶脳を作る」は、そんな状態を作るコツをまとめた本です。
本の中では、3種類の暗記法を紹介しています。
(1)超高速暗記法
(2)映像暗記法
(3)反芻(はんすう)暗記法
歴史年代、地名・地形、公民用語、社会科の知識には、覚えるのに適した暗記法があるのです。
ぜひ3種類の暗記法をマスターして、社会科を「得意教科」に変換してほしいと思います。
また、いったん「記憶脳」ができあがると、他教科へも応用ができるようになります。理科の細かい知識や、英単語なども簡単に覚ええることができるようになるのです。
社会科は知識が無いとどうにもならない
「いくら年代を丸暗記しても、時代背景がわからなければ意味がない」
「歴史は流れを把握するほうが大切だ」
「語句だけ丸暗記しても、内容を理解しなければ問題は解けない」
「そんな丸暗記なんて大人になると役に立たない」
「ネットで調べればすぐにわかる知識は覚える必要などない」
「中高でも調べ学習が主流だ」
「Aiが普及した今、AIを使いこなす能力こそ求められている」
こうした言説を聞いたことはありませんか?
いかにももっともらしく聞こえますが、全部嘘です。
これらは暗記ができない人間の「言い訳」にすぎません。
思考力や論理記述力は、豊富な知識の上に構築されるのです。
たとえば、こんな記述問題を、知識が全くない小学生(ただし作文は得意)と、知識が豊富な大学生(ただし作文は苦手)の両者に書いてもらうとします。
Q:選択的夫婦別姓について、賛成意見・反対意見、それぞれについて論ぜよ。
Q:江戸時代の日本でフランス革命のような市民革命が起きなかった理由について論ぜよ。
Q:ルソーの「エミール」について、そこに述べられた教育論について論ぜよ。
最初の問は、いかにも今後出題されそうだと考えて、私が麻布や鴎友を受験する小学6年の生徒たちに書かせている記述問題です。
2番目の問は、授業中に小6の生徒から出た質問です。
3番目の問は、ドイツの大学入試の口頭試問で出題された問題です。
もうわかりますね。
知識が無いと、お手上げです。
そもそも選択的夫婦別姓の諸問題や議論について知らなければ、何ともなりません。
フランス革命を知らないと何も書けません。
ジャン・ジャック・ルソーの『エミール、または教育について』を読んでいなければ、1文字も書くことはできません。
社会科に限りませんが、知識は武器なのです。教養の根幹なのです。
最近、「アクティブラーニング」「探求学習」といったものが流行り、知識の取得が軽視されている風潮を感じます。
知識があることを前提として、その上に思考力・記述力が構築されていくことを忘れてはなりません。
特に、小中学生(&高校生)の時期は、インプット主体の学習を徹底すべき大切な時期なのです。
ところで、ルソーの「エミール」は、なかなかの大著ですが、示唆に富んだ名著なのは間違いありません。岩波文庫が定番ですが、私のお勧めはこちらです。
文字サイズも訳文もだいぶ読みやすくなっています。ただし、全3巻なのは覚悟してください。
私も、学生時代に読んだっきりなので、正直言って内容はぼんやりとしか覚えていません。もう一度読み直すかどうか迷っているところです。
全3巻に腰が引けている場合は、こうした入門書もあります。
著者の苫野 一徳(とまの いっとく)氏は、40代の若手?哲学者・教育学者として知られています。
この本、実にわかりやすいのでおすすめです。
「エミール」については、「古臭い」「時代遅れ」「女性差別」といった批判もありますが、とんでもありません。現代にも通じる色あせない思想です。まあ確かに第5編の女子教育について書かれた章の内容は、今の時代の感覚からすれば違和感がありますが。
でも、「エミール」が書かれたのは1762年ですからね。260年以上前です。
1762年の重要な出来事は思い当たりませんが、田沼意次が老中になる10年前ですね。またジェームズワットによる蒸気機関改良(発明)の3年前です。
こんなに昔に書かれた著書が未だに教育者の必読書として読まれているということを考えると、教育というものの本質は変わらないということなのでしょう。


