
中学受験をするにあたって、大きく誤解されていることがあります。
それは、塾に行かなければ受験勉強できない、という誤解です。
この誤解があるので、「中学受験=塾に通うこと」という思い込みが固定します。
「中学受験しようと思って」
「どこの塾にするの?」
こういう会話になるのでしょう。
今回は、そこから1歩ひいた、冷静な塾選びについて書きたいと思います。
実は中学受験に塾は不要
これは私の信念です。
それを解説した本も書いてしまったほどです。
まるで自らの職業を全否定しているようですが、真実ですので仕方がありません。
詳細は拙著をお読みいただくとして、簡単にその理由をまとめます。
(1)家庭学習時間が重要
中学受験のための勉強はこのようにすすみます。
塾で教えてもらう
⇒家で復習する
⇒塾で確認する
⇒家で復習する
⇒塾で教えてもらう
これは復習スタイルの塾(SAPIX)の流れです。これが予習スタイルの塾(四谷大塚)になると、こう変わります。
家で予習する
⇒塾で確認する
⇒家で復習する
⇒家で予習する
復習スタイルなら、塾の役割は「新しいことを学ぶ」ことにあります。予習スタイルなら、塾の役割は「確認する」ことにあります。
どちらが良い・悪いということではありません。まあ合格実績を見ると明らかな気もしますが。
いずれにしても、塾の役割は極めて限定的です。家庭学習の比重が高いことを前提としてください。
※一部の塾には、「全てお任せください」といって、毎日通うことを求めるところもあります。自習室完備を売り物にしている塾もありますね。しかしこういった塾は、あまりお勧めできません。本当に「全てお任せして」大丈夫な塾なのかどうかがわからないからです。慎重な対応が必要です。
(2)親でも教えられる内容
中学入試なのです。12歳の小学6年生が解く問題なのです。いくらなんでも親に教えられないはずはありません。もちろんプロにはプロのノウハウというものがありますが、今や市販でも良い参考書・問題集はいくらでも入手可能ですし、ネットで勉強もできます。
(3)責任は親しかとれない
たしかに塾は受験のプロです。教え方も上手ですし、教材も豊富です。しかし、最終的な子どもの成績・合否の責任はとれません。塾にまかせっきりの方は、このあたりをどう考えているのかと思います。
塾を利用するというスタンス
塾屋の立場からいうと、「先生に全ておまかせします。先生を信頼しています」と言われるのが、一番怖いですし、一番奮い立ちます。任された以上、とことんやってやろう! そう思います。私も若い頃はそうでした。
ただし、全てを任されることには、教えるこちらにも重い責任が生じますので、生半可な気持ちではいられません。今でも覚えていますが、そうして任された生徒の受験番号を書いたメモを持って、開成中の合格発表を見に行ったのはよいのですが、怖くて校門をくぐれなかったことがありました。「もし受かっていなかったら」そう考えると、足がすくんだのです。私の知人の塾の先生は、合格発表を見に行くのに、ポケットに辞表を入れていったそうです。もし教え子が不合格だったら、それしか責任の取りようがない、そう考えたのだとか。
しかし、時代は変わりました。
今や、そんな先生は絶滅しました。
そもそも、ご家庭とそこまで強い信頼関係を築けない時代になったと思うのです。おそらくネットがいけないのでしょうね。少しの正しい情報から多くの誤った情報まで、いくらでもネットで入手できるようになりました。そのため、保護者が「情報過多」になった気がするのです。「先生にまかせます」と言う方が減ったのはそれが原因なのでしょう。塾の側も変化しました。生徒の成績向上のために、プライベートの時間を費やす先生は絶滅危惧種です。休みは2か月に1日だけ、早朝から深夜まで授業の教材を作る、そんな教師はもういません(かつての私です。今考えればよく過労死しなかったものだ)。
それで良いのだと思います。むしろ正しい関係になったというべきでしょう。
塾は必要に応じて利用するもの
その冷静さが大切だと思います。
※こんな塾に注意!
たまにありますね。「全てお任せください!」と大見得を切る塾が。
「大見得を切る」・・・実力以上に自分を大きく見せようとする、できないことをできるという、自信があるように見せかける。
まさにその通りです。全てを任されて、それでも何とかできる塾教師なんて、全国にいったい何人いるのか。少なくとも私にはできません。論理記述指導についてなら、相当な自信がありますが。
今まで何人も見てきました。週6日も、そうした塾に通ってしまい、家庭学習時間がとれずに過去問演習もままならず沈没していった生徒。「私の教え方についてこい」とばかりに特殊な算数指導を受けた結果、4科目で算数だけが足をひっぱる教科になってしまった生徒。
塾なんて、利用するものです。それでよいのです。
塾に求める優先順位
塾に期待するものを整理しましょう。そして、優先順位をつけてみるのです。
◆算数の解き方を教えてもらう
◆国語の読解方法を教えてもらう
◆理科の解説をしてもらう
◆社会科の説明をしてもらう
◆テストを実施してもらう
◆弱点分析をしてもらう
◆学校情報を提供してもらう
◆入試情報を提供してもらう
◆自習室を利用したい
◆宿題を出してほしい
◆宿題チェックを丁寧にやってほしい
◆子どものやる気を引き出してほしい
◆受験勉強を超えて幅広い教養を語ってほしい
◆切磋琢磨できるライバルがいてほしい
◆学習のペースメーカーとなってほしい
◆親の不安を解消してほしい
◆いつでも疑問・質問に対応してほしい
◆子どもだけに向き合ってほしい
これらの要望のうち、何が一番必要で、どれがそうでないのか。この優先順位をたてましょう。
それがわかると、塾選びの基準も見えてくると思います。
塾選びは妥協が大事、でも譲ってはならないものも
ご家庭の求める全てに応え、全てを満足させてくれる塾は存在しません。
「これだけは譲れない」「ここだけは強化してほしい」
そうした要望をかなえてくれる塾であれば、多少のことには目をつぶる、つまり妥協することが必要なのです。
しかし、一つだけ譲ってはいけないことがあります。
それは、「信頼できるか」というものです。
塾といえども、最終的には人と人の関係で成り立っています。
「この先生、いつも安請け合いするけれど・・・」
「何だか人として胡散臭い雰囲気が・・・」
「不動産の営業マンみたい・・・」
そんな風に感じたのなら、撤収すべきです。
「この先生なら信頼できそう」
「この先生はプロだわあ」
そう感じる先生と出会えたのなら、そこが通うべき塾ということになるでしょう。
こちらの記事でも丁寧に解説していますので、ぜひお読みください。
