中学受験のプロ peterの日記

中学受験について、プロの視点であれこれ語ります。

【中学受験】進学する学校が第一志望校

今回書くのは、実に当たり前すぎるほど当たり前のことです。

しかしとても大切なことです。

学校序列化の闇

 

まず、ものすごく当たり前のことを書きます。

学校に優劣などありません。

 

わかりやすい例をあげましょう。

 

開成中と麻布中

偏差値を見ると、5ほど開成が上になっていますね。

それでは、開成のほうが麻布よりもよい学校でしょうか?

◆東大実績

・開成 150(現役107)名

・麻布 82(現役52)名

これだけみると、開成>麻布 となります。

もし中高一貫校に進学する目的が、6年後の東大合格だけにあるのならば。

しかしそれならば、そもそも開成に進学することも有利ではありません。有名な体育祭を始めとした学校行事もありますし、大学受験に関係のない教科もやらされます。

それくらいなら、地元の公立中学から通信制高校に進学し、早くから鉄緑会等の東大一直線塾の勉強を主軸にしたほうが、東大への合格には有利となるでしょう。

 

そんな6年間をわが子に強いたいですか?

 

桜蔭中と女子学院中

偏差値では、桜蔭のほうが2ほど上ですね。

それでは桜蔭のほうが女子学院よりもよい学校でしょうか?

◆東大実績

・桜蔭 52(現役42)名

・女子学院 28(現役25)名

東大だけを考えるなら、桜蔭>女子学院です。

しかし学校の価値はそれだけなのでしょうか?

もし東大だけを考えるのなら、洗足学園が女子学院と同じ28名、全員現役合格でした。それでは、洗足学園>女子学院 なのでしょうか?

 

こうやって考えていくと、実は「偏差値表」に現れている学校の序列には、さほど重要な意味がないことになるのです。

偏差値が意味しているのは、

・その学校を目指して進学する生徒の4科目の学力レベル

これだけです。

もちろん、集う生徒の学力は学校の雰囲気や授業に大きく影響を及ぼします。

しかしそれは学校の魅力の全てではありません。

 

みなさんが「偏差値の呪縛」に囚われてしまったのは、受験産業の罪です。

勉強の進捗を評価するのに便利な指標でしたから。

 

受験本番を迎えた今、家にある「偏差値表」の類は、全て捨てることをお勧めします。

 

思い出話

 

過去にあった実例をお話しします。

 

タロウ君(仮名)は、第一志望としていたA中学を2回とも不合格となりました。最終的には、安全校として考えていたB中学に進学することになったのです。

母親からは、このような電話報告がありました。

「A中学は合格していたのだけれど、B中学に特待がもらえたのでB中学に進学することになりました」

もちろん真っ赤な嘘です。A中学の不合格は受験番号で確認済ですし、B中学の特待は、タロウ君レベルではもらえるものではありません。

おそらく母親にとって、B中学への進学は屈辱的なことだったのでしょう。だから、そんな見え透いた嘘をつくのです。

そもそも我々に対してそんな見栄を張る必要は全くありません。ですが、問題はそこではないのです。

母親のその態度が子どもにどんな影響を与えるのでしょう。

母親がタロウ君のB中学進学に際して、どのような態度で接しているのか容易に想像がつきますよね。

あまりにもタロウ君が可哀そうだと思います。

進学が決まったら、全力でほめてあげて欲しいと思うのです。

 

ハナコさん(仮名)は、第一志望としていたC学園に受かりませんでした。憧れのC学園の不合格を知った際には、ハナコさんは一晩泣き明かしたそうです。そこで両親はハナコさんを励まし、進学することになったD中学のすばらしさを語り、家族一同、気持ちを切り替えて前向きになるよう努力しました。

入学した後に、制服姿を披露しにやってきたハナコさんは、とても嬉しそうで、私もほっとしたものでした。

しかしその後、お父様からこんな話をうかがったのです。

「実は、全ての手続きも終わり、制服もできあがった入学式直前のタイミングでC学園から補欠繰り上がりの電話があったのです」

これは少し驚きましたね。通常繰り上がりは、2月の中旬で終わるからです。入学式直前での繰り上げ連絡は異例です。

「それでどうなさったのですか?」

「もちろん断りました。家中で、C学園よりもD中学のほうが合っている、かえってよかったと言い続けました。娘は、新しいD中学での学校生活を楽しみにしているのです。そこまで気持ちが切り替えられたのです。それを、こんな電話一本で。さも、入れてやるから有難く思えと言わんばかりの学校の姿勢が気に入りませんでした。今は、D中学こそが娘を入れたい第一志望校になっているのです。D中学で良かったと、私も再確認できました」

「娘さんにはお話されたのですか?」

「もちろん言っていません。言えるわけがありません。墓までもっていくつもりです。まあ娘が大人になったら言える時がくるかもしれませんが」

英断です。しかも、その責任を自分一人で負おうとしているのが立派です。

私の見立てでは、おそらくハナコさんは、たとえ今この話を聞かされたとしても、「私はC学園よりD中学のほうがいい!」と言いそうな気がしますが。

 

残念ながら、全ての受験生が第一志望校に進学できることはありません。

しかし、たとえどのような結果になろうとも、進学する学校が第一志望校になるのです。

進学が確定したら、家族の総意で、「この学校が最高!」と考えましょう。

 

とても大切なことだと思います。