
コロナ禍がもたらした負の影響は大きいのですが、これだけはプラスの影響だと思っていることがあります。中学入試会場への「早朝激励」の悪習が無くなったことです。
以前は、中学校の受験当日の朝、校門前に塾教師がずらりと並んで、試験を受けにくる教え子を激励するという「悪習」があったのです。
おそらく、最初のうちは、教え子を励ましに自然に教師が集うという「ほほえましい」イベントだったのでしょう。しかしすぐに形骸化し、塾から「強制的」に駆り出された教師が、夜明け前から中学校正門前で生徒を待つという「苦行」へとなり果てました。大手塾になると、自分が教えてもいない生徒を、塾の目印(カバン・バッジ等)で見分けて握手するという、意味のよくわからないことを「習慣」として継続していたのです。
私がこれを「悪習」と断定するのは、何の意味もない行動だからです。入試当日に塾の教師に握手してもらったくらいで得点は上がりません。それがたとえよく知っている先生からの激励であったとしても、得点向上には寄与しません。
これは、生徒のためというよりは、塾教師たちの自己満足、さらに塾の宣伝のために行っていただけだと思っています。それが証拠に、某大手N塾の激励は、生徒が一番大勢行列するピークの時間になると、塾の社長がビデオスタッフを引き連れて現れ、受験生と握手するパフォーマンスを5分ほど撮影し、すぐに黒塗りの車の後部座席におさまって帰るのが恒例でした。生徒を教えてもいないおじさんに握手されても何の効果も無いのです。
2月の酷寒の夜明け前に2時間以上外に立っている教師が体調を壊すのは必至ですね。たしか20年以上も前の話ですが、京都の日能研の教師が過労死したのは関西の受験真っ最中の1月だったと思います。詳細は知りませんが、入試激励も遠因となったのかもしれません。
さて、そうやって受験生を待っていると、校門の外に、試験会場に入るでもなく、遠巻きに受験生の様子を見ている親子連れが必ずいたのです。
5年生が、親と一緒に入試会場を下見に来ているのですね。
「〇〇ちゃん、来年はあなたの番よ」とでも言っているのでしょう。
入試激励に行かなくなって久しいもので、今でもそうした親子がいるのかどうかはわかりません。
でも、きっといるのでしょうね。
もし行くつもりなら、「絶対に」おやめください。
見世物ではないのです。彼らは人生を掛けた入試に臨もうとしているのです。
これは、逆に考えればすぐにわかると思います。自分たち親子が入試本番を迎えている朝、入試に無関係な親子に見物されたいですか?
中学入試は、時として親たちから正常な判断力を奪ってしまうのかもしれません。
・わざわざ太宰府天満宮までお守りを買いにいった母親
・小学1年生から毎年東京から鹿児島のラサール詣でに通った親子
・受験まで毎週〇〇中学の校門看板を触りにいった親子
・神社に「お百度参り」をした母親
・子供の合格を祈って、親が大好きだった飲み物を1年以上口にしない「〇〇絶ち」をした
どれも実話ですが、入試は残念な結果に終わりました。
子を思う親の気持ちは素晴らしいですが、少々冷静さを欠いています。
合格に神仏のご加護は不要です。あらゆる験担ぎは意味がありません。
実力がそのまま出るだけです。