
先日の記事で、母親の心のゆとりの大切さについて書きました。
そこで、「いっそのこと週に1日は自分のために使いませんか?」と提案したのです。
すると、それに対する反響が大きかったので、もう少し続けてみたいと思います。
毎日仕事するのはきつい
私もこの仕事を始めた当初は、休みなく仕事をするのが当たり前だと思っていました。早朝から教材作りやテスト作りのために職場に行き、夕方から夜は生徒の指導、その後は学習相談や採点業務等、終電を逃すこともしばしばです。正月もお盆もゴールデンウィークも仕事、だいたい2か月に1日くらい休めたかな。これを何年も続けました。
これは完全に「アウト」ですね。過労死基準が裸足で逃げ出すレベルです。
命じられたというより、好きで自主的に仕事をしていたので続けられましたが、今考えれば「愚か」でした。
今でも教えることは大好きですが、さすがに週7日仕事をしようとは思いません。週1日の休みでも足りないかな。やはり週休2日というのは、心と身体の健康を保つのには適切なラインなのだと思います。
母親は「過労死基準」を超えている
「主婦・母親」の仕事には休みはありません。仮に1日7時間労働、週7日、休みなく1年働くと、総労働時間は2520時間となります。実際にはもっと働いていますよね。これ、完全に過労死レベルを超えています。
さらに、世の中には、家事労働・子育て<収入を得る労働 という「常識」が蔓延しているようですが、それは違います。みなさんもそう思われますよね?
私自身も、家事労働は普通にできますし、料理も得意ですが、それも「たまに」だから何とかなるのであって、毎日はつらいです。
家事は労働です。もしそれを外で行えば、賃金が発生すべき労働に他なりません。それを「無償」で行っているだけなのだと考えられるのです。
これに関しては1974年最高裁のこんな判決があります。
小学1年の女児が交通事故で死亡するという不幸な事件でした。この子が将来主婦になったとしても「逸失利益」が発生するか否かという点が争われたのです。少し長いですが判決文を引用します。
「おもうに、結婚して家事に専念する妻は、その従事する家事労働によって現実に金銭収入を得ることはないが、家事労働に属する多くの労働は、労働社会において金銭的に評価されうるものであり、これを他人に依頼すれば当然相当の対価を支払わなければならないのであるから、妻は、自ら家事労働に従事することにより、財産上の利益を挙げているのである。一般に、妻がその家事労働につき現実に対価の支払を受けないのは、妻の家事労働が夫婦の相互扶助義務の履行の一環としてなされ、また、家庭内においては家族の労働に対して対価の授受が行われないという特殊な事情によるものというべきであるから、対価が支払われないことを理由として、妻の家事労働が財産上の利益を生じないということはできない。のみならず、法律上も、妻の家計支出の節減等によって蓄積された財産は、離婚の際の財産分与又は夫の死亡の際の相続によって、妻に還元されるのである。
かように、妻の家事労働は財産上の利益を生ずるものというべきであり、これを金銭的に評価することも不可能ということはできない。ただ、具体的事案において金銭的に評価することが困難な場合が少くないことは予想されうるところであるが、かかる場合には、現在の社会情勢等にかんがみ、家事労働に専念する妻は、平均的労働不能年令に達するまで、女子雇傭労働者の平均的賃金に相当する財産上の収益を挙げるものと推定するのが適当である。」
これ、ぜひともご主人に音読させたいですね。
家事労働はいくらの賃金に相当する?
これについてはいくつもの試算があるのですが、2つだけ紹介します。
◆「機会費用法」による試算
「機会費用法」というのは、「家事に費やす時間を賃金労働に充てた場合、いくらになるのか」を計算する方法のことです。
内閣府によると、女性が1年間に家事労働に従事する時間は1313時間だそうで、これは1935000円に相当するのだそうです。割り算すると、時給1473円です。東京都の最低賃金が1226円ですので納得できる数字ですね。
ただし、年間1313時間が納得できません。
主婦には「家事の休日」が存在しません。
そこで、1日の家事労働時間が7時間だとして計算しましょう。休日はなしで計算するのは当然です。年間労働時間は2520時間に達します。
・1,473円(時給) × 7(時間)=10,311円(日収)
・10,311円(日収) × 30(1ヵ月の日数)=309,330円(月収)
・309,330円(月収) × 12(1年間)=3,711,960円(年収)
なるほど。月収31万、年収370万円となりました。女性の平均年収は372万円ですので、最高裁の判例にも合致する数値です。
◆家事代行サービスの料金と比較
仮に、家事労働全般・・・料理・掃除・洗濯・買い物等を「家事代行サービス」で働く人の時給に換算すると、「最低時給」換算になりますので、年収277万円となります。
しかし、家事をそのまま「家事代行サービス業者」にアウトソーシングした場合で計算するとどうなるでしょうか。家事代行サービスの料金は、1時間あたり2500円~4000円となっています。入会金や交通費等を考慮せずに平均3250円として、2520時間の家事労働全てを依頼すると、
3250×2520=8190000円
つまり、年間で819万円!の費用となるのです。
さらに、「子育てのプロ=保育士」、「生徒指導のプロ=塾講師」、「料理のプロ=栄養士・調理師」等に仕事を依頼すればもっと高額に算出されることでしょう。
仕事なのだから休日は必要
実に当たり前のことです。
家事労働=仕事
これを前提にするのなら、当然「休日」も必要となるのが道理です。
前の記事では「週休1日」と書きましたが、よく考えれば、「週休2日」が世間の常識です。ここは堂々と「週休2日」を要求すべきだと思います。
考えてみてください。週2日、家事から解放される休日があることを。
自分の服を買いに行くのもよいでしょう。コンサートに行くのも素敵です。
1泊2日で旅行にだって気軽に行けるのです。
そして、そうした「休日」の存在が、毎日の「仕事」をどれだけ耐えやすいものにしてくれることか。
夫や子どもにイライラすることも減るでしょう。
中学受験も「俯瞰」して見るゆとりができることでしょう。
また、「休日」の使い道として、勉強したくなるかもしれません。
趣味の習い事でも良いですし、大学の聴講生になるのも良い考えです。
あるいは、「中学受験」の勉強をやってみる気も湧いてくるかもしれません。私のお勧めは「社会科」の勉強です。中学受験の社会科は、「大人の常識」教科なのです。教養の幅が広がるばかりか、子どもにも教えられるようになるという一石二鳥の作戦ですね。
実践方法
「それは理想的だけど、現実にはねえ」
その「無理」という発想が、心の働きを狭めていることに気が付きましょう。
掃除・洗濯なんて、別に2日くらい省略しても何とでもなります。
食事の支度だって、別に2日くらいさぼったところで何とでもなるのです。スーパーでもコンビニでも、最近は「持ち帰り弁当」系が実に充実してますよね。
子どもの弁当も、コンビニのおにぎりでいいのです。それを「愛情不足」という輩には言わせておけばよろしい。
こうして開き直ってしまうと、心が軽くなりませんか?
もちろん、子どもにも協力させましょう。
「お母さんが何でもやってくれる」状態から、「うちのお母さんは週2日休む」へ切り替えるのですね。
夫が暴れるかもしれません。
「俺は週5日仕事をしているのだから、土日くらいは休ませろ!」
それに対しては、こう言い返したいものです。
「私は週7日365日仕事をしているのだから、2日くらいは休ませて!」
別に夫婦不和の奨励をしているつもりはありません。
子育て・家事については、夫婦は互いに気遣い負担するべきだと思っているだけです。
その上で、ゆくゆくは、「有給休暇!」もとりたいものですね。