
この時期に、私がいつも思うことがあるのです。
「お母さん、頑張りすぎじゃないですか?」
母親の現実
たとえば、こんなご家庭を想定してみます。
子どもが二人います。
姉が小6、受験学年です。面接のある学校を受験予定です。
妹は小3です。バレエとピアノを習っています。塾にも通っています。
もうこの設定だけで、忙しいことがわかります。
妹の塾と習い事の送迎だけで週4日はつぶれます。
そうしながら、学校説明会に足を運び、塾の面談にも行き、子どもの模試の成績も把握しながら志望校を考えなくてはなりません。
塾からは、「家ではあれをやってください」「算数はこの問題集をやらせてください」「過去問の丸付けは親がやってください」「・・・をやってください」「・・・をやらせてください」
と要求ばかりが出されますが、それらは結局母親の役目となるばかりです。
もちろん家事全般は一人でこなさなくてはなりません。
ママ友とのランチだって、全て断るわけにもいきません。お付き合いというものがありますから。
自分の友人とのランチ会を後回しにせざるを得ないのです。
父親は仕事が忙しく、頼りにはなりません。
本当は自分も続けていたかった仕事も、辞めざるをえませんでした。
こう書いていて、私もなんだか切なくなりました。
お母さま、ほんとうに忙しすぎます。
心や体を壊さないか心配になってしまいます。
チェックリスト
こんなチェックリストを考えてみました。
すべて、実際に生徒の母親たちとご相談している中で出てきたお話ばかりです。もちろん私は人間心理の専門家でもなんでもありませんが、こうした兆候がもしあるようなら、お母さまの心にゆとりが無くなってきているのではないかと思うのです。
〇睡眠不足が続いている
〇ささいなことで子どもに当たってしまう
〇子どものミスを許せないと思うことが増えた
〇夫の言動にイライラする
〇「私がこんなに頑張っているのになんで?」と思うことがある
〇プライベートなことを相談できる人がいない
〇正直言って、離婚を考えたことがある
〇受験を止めようと考えたことがある
〇鏡を見てがっかりすることが多い
〇一人で旅行に行きたくなる
〇学生時代の友人を羨むことが多い
〇自分の物を買わなくなった
〇最近体重を計っていない
〇ささいなことで涙が出るようになった
〇料理に失敗して鍋ごと捨てたことがある
〇ママ友としか会っていない
〇間食・夜食をよく食べるようになった
〇子どもに手をあげたくなった(手をあげた)ことがある
〇子どもと口論することが増えた
〇夫と口論することが増えた
〇塾を何度も移った
◆塾を何度も移るのはお薦めできません。もちろん気に入らない塾にしがみつく必要は全くなく、移るのも賛成なのですが、「何度も」となると別の問題を考えてしまいます。
受験塾、そうそう「気に入った」「心酔する」レベルのものはないのです。どこにだって不満はあります。それを許容できる範囲を考えるのが普通です。
そして成績が伸び悩むのも普通なのです。
「成績が下がった」→「塾のせい」
こう責任転嫁を繰り返すことは、正常な判断力が失われている可能性が考えられると思うのです。
◆家族が円満であることはとても大切です。それなのに、ちょっとしたことで夫婦間がぎすぎすするのは、子どもに良い影響があるはずないのです。
◆子どもはミスをします。言われたことも満足にできません。親の思い通りにはなりません。それが子どもです。
そんなことわかっていたはずなのに、つい子どもに当たったり許せない気持ちになる。母親に余裕が無い証拠です。
◆小学生くらいの子どもがいると、どうしても交友関係が、子どもを仲立ちとした「ママ友」に偏りがちです。
しかし、厳しい言い方をしてしまうと、ママ友とは「たまたま同じ地域に住んで、同じ学年の子どもがいて同じ幼稚園or小学校に通っていた」間柄にすぎません。適切な距離感が必要な関係といえるでしょう。
やはり、気兼ねなく何でも打ち明けられる友人の存在は大きいのです。そうした友人と、たまには会う時間がとれればよいのですが。
◆被害者意識、そういってしまえばそれまでですが、どうしても気持ちにゆとりがないとこうした考えに陥ってしまいます。
「私ひとりがこんなに頑張っているのに・・・・」という考えは、良い方向には進みません。
◆料理を鍋ごとすてるとはおだやかではないですね。料理を作っているときにぼんやり他のことを考えてしまったのでしょうか。普通ならリカバリー不能で鍋ごと捨てるレベルの失敗は無いはずなのですが。あるいは、リカバリーすることにうんざりして、捨ててしまえ!という気持ちになってしまったのでしょうか。
頑張らなくていい
普段の私なら、「子どもの未来のために親が頑張るのは当たり前」と豪語してはばかりません。
しかし、その前提として、母親が明るく元気でいることが重要なのです。
母親に余裕がないと、子どもにも伝わってしまいます。
もう少し肩の力を抜く、つまり「手抜き」を検討してみませんか?
◆週1日は解放日を宣言する
どんなに仕事が好きで充実している人でも、週7日、休みなしで仕事をし続ければどこかが壊れてしまいます。
子育て・家事についても、エンドレスで続くからこそ「つらく」なるのだと思います。
いっそのこと、「週休1日宣言」をして、週6日労働に切り替えてみてはいかがでしょうか。もちろん「週休2日宣言」も素敵です。
まるまる1日、自分だけのために使える時間があると思うだけで、楽しみになりますよね。ずいぶん心にゆとりが生まれると思います。
学生時代の友人に会うもよし、映画を見に行くもよし、服を買いに行くもよし、ウィンドウショッピングだけでも楽しいと思います。
「母親」にだって、「妻・母親」を休む日があっても良いと思うのです。
◆夫に責任転嫁してみる
これは当然です。子育ては夫婦で平等に負担すべき案件です。もし負荷が母親に傾きすぎているのなら、早急に改善しなくてはなりません。
さらに、「半分負担」などとぬるいことを言わず、いっそのこと全て夫に責任転嫁してみるのもよいかもしれません。少なくともそれくらいの開き直りができるようなら、気持ちにもだいぶゆとりが生まれます。また、父親の危機感を喚起できるかもしれません。
◆習い事を止める
近頃の子は、習い事の数が多すぎませんか?
・サッカー・水泳・バレエ・ピアノ・ヴァイオリン・英会話・ヒップホップダンス等
どれも「子どもが続けたがる」という理由でなかなかやめられないと聞きますね。
しかし、中学受験を考え、塾にでも行き始めると、たちまちスケジュールが崩壊します。
子どもの未来を考え、習い事をセーブする決断が大切です。
そのことが、母親の時間的ゆとりにもつながるのです。
◆子どもの学力を見極める
どんな子にも無限の可能性がある。
これは正しくもあり間違ってもいます。
とくに勉強に関しては、小4くらいになると、ある程度の未来、少なくとも3年後の到達点は見えてきます。
もしかしてこれは、勉強以外でもいえるかもしれません。「大器晩成」という素敵な言葉もありますが、小4の子どもの様子を見ていれば、「プロ野球選手」になれそうか、「パレリーナ」になれるのか、「ショパンコンクールで優勝」できそうかがわかると思います。
勉強でも、夢をもってチャレンジするのは私も大好きなのですが、その目標は、現実を見ながら常に調整すべき目標であることは事実です。
「憧れの学校」を1つ持ち、そのかわりに「現実的な学校」を考えることで、ずいぶん気持ちにゆとりが生まれると思うのです。
たとえば、慶應幼稚舎の受験に失敗し、中学受験でリベンジしようと考える家庭はたくさんあります。
それだからといって、「慶應普通部・慶應湘南藤沢・慶應中等部」だけにしぼった受験は、不透明な2次試験が存在するためかなりリスキーです。まして、成績が届いていない場合は「不幸なチャレンジ」になってしまいます。女子の場合なら、慶應湘南藤沢はS偏差値で60,中等部は65となっています。4年生の段階で偏差値が30のお子さんが目標とするのは推奨できません。「まさかのワンチャン狙い」は不毛です。親も疲弊するでしょう。
まてよ、「ワンチャンあるかも」と前向きに考えられるのならメンタルヘルスは絶好調なのかな?
◆開き直る
知人に子育ての達人のお母さまがいらっしゃいます。3人の子を育てる専業主婦なのですが、手を抜くのが上手なのです。夕飯の買い物に行っても、まず自分の食べたいものを選び、その後で子どもたちや夫の分を考えます。推しのライブに地方へ泊りがけで出かけることもあります。それなのに、子どもたちはまっすぐ育ちました。
「私も子どもたちに『絶対こうあるべき』という自分の価値観を押し付けないから。もしかして期待してないのかな?」
そうおっしゃいますが、そんなことはないのでしょう。3人とも中堅の私立に進学していますし、親子関係も良好ですから。
その子育てにたいるす「脱力」ぶりは、もはや達人の域というべきです。
なかなかこうまではいきませんが、「子育てはこうあるべき」「母親なんだから我慢するのは当たり前」「受験生の親はこうしなさい」といった「呪縛」から離れるのも大切だと思います。