
中学受験で面接を実施する学校はだいぶ少なくなりました。
とくに、コロナを契機として廃止する学校もありましたね。
しかし、それでもなお未だに面接試験を実施する学校があります。
今回は、そうした学校の意図を深読みします。
帰国生の面接
学校によっては、英検級の提出と面接だけ、あるいは小論文と面接だけで合否を決めるところがあります。
帰国生入試でよく見られますね。
この帰国生入試を例にして少し考えてみましょう。
別に帰国生だからといって、面接をしなくてもいいと思いませんか?普通に算国理社の4科目の入試を実施すればいいじゃないですか。その学校を受験する大多数の国内一般生はそうしているのですから。
ではなぜ帰国生入試だけで面接を実施するのでしょうか。
その理由・目的は3つあります。
(1)教科力が低い生徒でも欲しい
残念なことに、帰国生入試を受験する生徒には、算国理社の学習をきちんとしてこなかった生徒もたくさんいます。一般入試同様の教科テストでは、そうした生徒が不合格になること必定です。そこで、算国だけ、あるいは英語だけ、作文だけ、というように教科試験をしぼったり、実施しないことにします。もう、とにかく生徒が欲しい切実さが見えています。人気校の場合はハードルが高く、不人気校の場合はハードルが低いですが。しかも帰国生なら英語ができるから大学実績につながるだろうという本音まで透けていますね。
しかし、それではどんな生徒が入ってくるのか不安です。ただアメリカで生まれ育ったというだけの生徒が合格してしまいます。本来なら、現地校の出すReport cardで判断すべきなのです。
Uses active listening
Uses conflict resolution
Uses organization skills
Makes an effort
Cooperates
Gives personal best
Respects self and others
Turns in homework
Caring-showing concern for others
Meets school wide expectations
これはアメリカの例ですが、国ごと・地域ごとに異なる成績表を判断するのは困難です。そこで、面接を実施することで、「やる気がある生徒だった」「真面目に取り組んでくれそうだった」というように、合格の目安としたいのですね。
つまりここで実施する面接の目的は、「生徒の適性を判断し入学許可を出す」ことにあります。
(2)個性的すぎる受験生を排除したい
他にどう表現してよいものかわからなかったので、「個性的過ぎる受験生」という表現を使いました。よくいえば個性的、悪くいえば集団生活になじめない、そうした生徒のことです。学校側視点からすれば、「他の生徒とはずいぶん違う」生徒です。
国によって教育の目的も実施方法も大きく異なります。とくに個性を伸ばすことを優先する教育を受けていると、日本式の教育にうまく馴染めない生徒も多いのです。
「世界に羽ばたく人材」「生き抜く力」「自己の可能性を伸ばし」「国際人」などと耳触りの良い文言を並べていても、学校の本音は案外保守的なものです。ほとんどの学校で教育の目的は、結局のところは「大学合格」に置かれていて、そのための教育スタイルも昔から変わっていません。ここを、「アクティブラーニング」などの方向に全振りしてしまうと、大学実績が落ちるのです。そうすると受験生にそっぽを向かれ、経営に響きます。
したがって、帰国生にも学校の方針に従う姿勢が求められますので、それを確認するために面接を実施します。
私の知る限り、本当の意味で「自由で」「生徒の自主性を重んじ」「旧弊な校則で縛ろうとしない」学校は、男子校では麻布と武蔵、あとは共学のICU高校くらいですね。他にも自由とされている学校はありますが、その多くは「見かけだけの自由」か、「自由なだけ」の学校です。
つまりこの面接の目的は、「ある種の受験生を落とす」ことにあります。
(3)難しいご家庭を避けたい
別に帰国生の御家庭が「難しい」ご家庭というつもりはありませんが、幼少期から小学生にかけて日本の教育環境にいたことで醸成される「空気」のようなものがあるのです。それを知らないご家庭は、もしかして学校のやり方に素直に従ってくれないかもしれません。
・定期試験の採点方法に文句を言ってくる
・クラスの構成に苦情を申し立てる
・担任教師の変更を要求してくる
・DX/AIの導入の遅れに苦情を申し立てる
・理不尽(と思う)校則を変えようと活動する
これらはみな、卒業生や親から聞いた話です。海外、とくに欧米社会では、自己主張しないと何も評価されないカルチャーがあります。納得いかなければとことん争うのが常識です。しかし日本では、強い自己主張は嫌われる文化が根強いのです。これは良い・悪いの問題ではなく、そうした文化・歴史の違いですね。学校としても、対応が難しいご家庭の子どもは進学してほしくないのが本音でしょう。そう考える学校が、親の面接を実施するのです。
面接は重要
多くの学校が、「面接は参考程度です」「面接は合否に影響しません」といいますね。これを真に受けてはいけません。
本当に「重要でない」「合否に影響しない」のであれば、そもそも面接を実施しなければいいのです。男子校のほぼ全てで面接を実施しないのは、「学力さえ高ければそれでいい」というわかりやすい価値基準で合否を決めているからですね。
しかし、女子校の一部と大学付属校の一部では、面接を実施しています。これは明らかに、ある種の「フィルター」として実施しているのです。
つまり、「例年面接で落とされる受験生はいない」としても、あなたのお子さんが最初の一人になる可能性はあると考える必要があります。
学校の本音
帰国生のところで書いたとおりです。
・生徒の評価
・生徒の選別
・家庭の選別
面接の目的はこの3種類となります。
保護者面接が無く、受験生の面接だけの学校の意図は、評価と選別になります。
生徒募集に苦戦していて、変則入試を実施している学校の場合は、面接で評価して合格を出す場合も多いと思います。なかには、校長先生が自ら海外まで出向き、面接一発で合格を出す学校もあります。
ただし、帰国生入試や変則入試とは異なり、4科目の教科の試験をしっかりとやる学校の場合は、面接の目的は選別一つに絞られると考えてよいでしょう。
確認していないので噂レベルで恐縮ですが、とある人気大学附属中に合格した保護者に聞きました。制服の採寸に行ったところ、あるサイズ以上の制服がそもそも無かったそうです。つまり、このサイズ以上の体格の受験生は落としているのではないか、そうおっしゃっていました。にわかには信じがたい話です。きっと特注で対応しているだけなのだと思います。それとも私へのジョークのつもりだった?
乱暴な意見なのは承知でまとめてしまうと、面接の目的は「落とす」ことにあると考えましょう。つまり、ここで大切なのは「加点」を狙うことではなく、「減点」されないことにおくべきなのです。
対策
前項で書いたように、面接の目的を考えた場合、「いかに減点されないか」が重要であると思います。
学校が求める生徒像を把握したうえで、
・常識的な返答を
・しっかりとした口調で
・はっきり聞こえるように
・正しい言葉遣いで答える
ことが大切です。さらに、待合室にいるときからチェックされていると考えて、姿勢を正して順を待つことも大切です。だらしなく椅子に寄りかかってスマホを弄っている受験生は落とされても仕方がないですね。
こんな当たり前すぎるほど当たり前のことを守るだけで、面接はクリアできるのです。
慶應は別
ただし、慶應中等部・慶應湘南藤沢については少々事情が異なります。
何せ、教科試験をクリアした受験生の半数を2次の面接で落とすのです。
慶應普通部も同様でしょう。
◆減点されない
ことに加えて、
◆加点を狙う
ことが必要となってきます。
私は、この学校を受験する生徒に対しては、「教科試験で満点をとりなさい」と指導しています。不透明な面接対策に時間を費やすくらいなら、その努力を教科試験に向けるべきだと思うからです。教科で満点をとる受験生なら、そうそう落とされることはないのでは、と思っています。
この辺りの事情については、以下の記事で詳しく書き増した。